遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

蒼朮を焚く

2020-07-18 16:25:32 | 日記

令和2年7月18日(土)

蒼朮を焚く : おけらやく

山野に生える白朮(おけら)、キク科の多年草の

根を陰干ししたものを蒼朮といい、これを火に

くべると特異な匂いがする。

おけら(キク科の多年草)

 

蒼朮は、湿気を払うのに好いとされ、梅雨時期や

出水後等に屋内でいぶす習慣が在った。

梅雨の丁度今頃、鬱陶しい室内の湿気を払い、黴

を防ぐ為に「蒼朮」を焚きこめること。

蒼朮は本州、四国、九州等のやや乾いた草原に自

生する「おけら」の根を乾燥させたもの。

 

平安時代から、一年の邪気を払う元旦の御屠蘇に

使われていた。

貝原益軒著の「大和本草」にも、「蒼朮を刻んで

燃やせば邪気と悪臭が去り疫病を除く、常に焚く

べし」とあり、健胃、風邪の予防にも薬効がある

と記述されている。

おけら

 

俳人夏井いつきさんの著書)絶滅寸前季語辞典」

に「蒼朮を焼く」の記述が在り、紹介する。

梅雨の時期、黴を防ぐために、室内の湿気を払う

習慣。「おけらの根(キク科多年草)を乾燥させ

たものを焚いた「蒼朮」なるものが「おけら」と

いう植物であることが判ったが、、、、中略、、

大辞典を広げてみると、、、、、ナンとまたまた

新ハッケーンである。「健康、利尿、解毒、鎮痛

剤として、あるいは発汗を止めたり、湿気を払っ

たり」する点は、他の歳時記類の記述と変わらな

いが、ここにもう一つ別の利用方法を示す出典が

引かれている。

「女も男も狐臭(わきが)というもの、さても

さてもいやなるもの也、、、、、、腋臭の事を

「狐臭」と書いてあるのにも吃驚したが、こんな

草の根っこを煎じて呑んだくらいで効くのだろう

か? またまた私の好奇心がムクムクと起こって

くる。 ウーン本当に効くんだろうか?

が、次の瞬間、わが身を使った人体実験が出来な

い事に、ハタと気づきガックリする。

そして己の好奇心がひとまず一段落してくれた事

にホッとする。 それにしてもこんな根っこ一つ

に、こんなに様々な効能が在るならば、是非これ

は国会でも焚いてみていただきたい。

煙(けむ)にまく

 

黴臭くキナ臭い派閥争いだの、国民には全く見え

てこない密室性だのに、ヒョッとすると思わぬ効

果を発揮するかもしれない。」

(夏井いつき著:絶滅寸前季語辞典より、引用)

 

今日の1句(俳人の名句)

焚きやめて蒼朮薫る家の中     杉田 久女