社会福祉士のたまごにあたる、金子剛彦さんより感想をいただきましたので、ご紹介します。
刑務所における社会福祉士の役割が今後重要となってくるであろう、ということをかつて大学のスクーリングの中で聞いたのきっかけに興味を持つようになりました。
以前たまひよの懇親会で私が役員の方に刑務所見学はできませんかね?と一言伺ったところすぐに快諾してくださり、前回の地域定着支援センターの講義から刑務所見学へとつながり、知らなかったことばかりの連続で、さらに更生保護の分野についての関心を持ち、社会福祉士の仕事の奥深さを思うことができました。
刑務所内では受刑者の人が刑務作業をしている光景を目の当りにしました。木材加工や洗濯バサミの組み立てを黙々と行っており緊張感が漂っておりました。
また独房と雑居房を見学しました。本やテレビも制限はあるものの見ることができ生活の匂いを感じました。
その後会議室でメインの社会福祉士の方のお話。
出所対象者が上手く福祉サービスを利用できるよう地域定着支援センターや行政へつないでいく。また本人にも再犯防止の動機づけ、その後の人生へ想像してもらうために面談を繰り返し行っていく、地味ながらも手厚い支援をしていることに感服しました。それでもまだ支援が必要とおっしゃり今後更生保護における社会福祉士の役割は変化しながらも重要度と期待度がますます高まって行くのだなと思いました。
ただ支援により成果をあげているケースもあれば、残念ながら再犯に至ってしまったケースもあり、難しさにも直面していることでした。
印象に残ったのが85歳の出所予定者が家族に「もう帰って来ないで欲しい」と言われ苦慮したケース。このようなケースは山ほどあり、今後とも増えていくと思いました。
何とか福祉サービスにつなげたい、と支援しても受け皿がない。それならまだ刑務所の方がましだと再犯を繰り返す。人生最後まで犯罪、刑務所から縁を断ち切れず終えていく。一方で福祉サービスを活用し、また高級な老人ホームで最期を送れる高齢者。
なぜこのような格差が生まれてしまうのか。私の中で今後福祉を考え実践していく中で大きなテーマとして位置づけられた一日でありました。