「心のバリアフリー化」を図るための研究報告書が発行された。
次のタイトル書である。
心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業企画実行委員会 委員長 坂巻 熙(さかまき ひろむ)編「平成22年度心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業」平成24(2012)年2月29日刊(社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会)
本誌の「第2章 座談会 心のバリアフリーに関するアンケート調査をめぐって」(p.63~p.107)から興味深い発言を引用する。
その第17回目。
坂巻 熙氏(淑徳大学名誉教授、元毎日新聞社論説委員)は、心のバリアフリーを言葉で主張しても直接利害が生じる場面になれば反対の主張に変わると、以下のように指摘する。(p.106~p.107)
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【引用始め】(p.106~p.107)
坂巻:
理念で心のバリアフリーが必要だと言えば、皆さんは「それは賛成です、その通り。」と言うけれど、それでは、自分の隣に障害者施設が来たらどうするか、必ず反対に回る。放射線と同じですよね。
廃棄物を処理する時に、自分の所に来たら困るって、みんなそう言うわけだけれども。
心のバリアフリーを言うならば、具体的な事実で各個撃破で行くしかないし、国や行政で欠けたところがあれば変えていく。
千葉県の場合、差別を禁止する条例を作った。
それをどうやって県民に広げていくかということが必要。
それは国の差別禁止法の制定につながってくる。
【引用終わり】
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以前、障がい者施設は人里離れた場所につくることが常識であった。
入所施設の多くはそうした場所につくられている。
それが今でも一般の人には根強い常識になっている。
だから、グループホームなどが隣にできることに反対や抵抗となる理由の一つである。
しかし、今の福祉施設は、地域移行こそ主流である。
福祉施設建設にあたって、住民たちの説得には多くエネルギーを要する。
しかし、それを克服しない限り心のバリアフリー化なんて実現できない。
うまくやっている多くの事例を示して、忍耐強い住民理解に努める必要がある。
(ケー)