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大型左後輪脱落が多い件・国交省への意見

2022-01-31 | 問題提起
大型左後輪脱落が多い件・国交省への意見
 このところ、全国各地の報道で、大型車の左後輪が脱落する事故が、この1月の中で、渋川市と長野市の2件生じている。確かに報の写真を見ると左後輪が2本同時に脱輪しているのだが、もう一つの共通点として、何れも後輪2軸車で、脱落した部位は、左の後後軸であるということを意識する。つまり、後輪2軸の内の後ろ側の車輪と云うことだ。

 このことは、最近の2例だけの話しなので、必ずしも直ちに本質を突いているかは判らないが、筆者の過去の知見からも、脱落するのは単車(トラクタも含む)であっても、トレーラー車であっても、複軸以上車の何れかであることが多いと意識せざるを得ない。

 このことが何を意味しているのかと云えば、複軸車の旋回においては、その旋回半径の計算などにおいては、複軸の中央に旋回基準となるホイールベースの基準点があると仮定している訳だが、実際の旋回においては、必ずしもその様な基準点で旋回している訳ではない。後2軸車の旋回においては、2輪のそれぞれが、かなり左右に滑る(こじられる)様なムリな動きを強いられつつ、旋回動作をしていると思える。その様な後輪2軸車の後後輪については、どちらかと云うと左右に引きずられる様な大きな動作を伴うことが、日光いろは坂みたいな左右に大舵角を必用とするトラック後部に接近後続して観察していると判るのだ。

 この後輪2軸車において、ある程度ムリな力が働くことは車両メーカーも十分承知して車両設計を行い、それに十分耐えられるホイール取付ボルトの強度とか締め付けトルクを設定しているのだろう。ただし、ボルトもしくはナットの締め付けトルクとは、ボルトの締結力とか緩みに対する耐性は、ボルトの軸力を適性に持っていくための、便宜的な手法であることを知る必用があるだろう。筆者の知見では、ある信用ある記述によれば、適正トルクによる軸力のバラツキは±30%もの差異がでるといることを聞いている。この主な理由は、ねじ部や座金部の摩擦力の差異によるということだ。

 と云うことで、最近のエンジン強度部位(クランクやコンロッドキャップ、シリンダーヘッドのボルトには、旧来のトルク法でなく回転角度法による締め付けが指定し軸力のバラツキを抑制する手法がなされている場合が多い。

 ただし、この角度法による締め付けは、手作業で行うことが前提となるが、大型車のホイール締結の様に大きな締結力(すなわち軸力)が求められ、比較的多頻度の繰り返し作業が行われるとなると、手作業では困難でインパクトレンチを使用することになる。インパクトを使用し、最終的にはトルクレンチで確認するのだが、それでも±30%の軸力差異が生じるとしたら甚だ問題で、本件事故の抑止が難しいことになってくる。

 そこで、考えるのは、そもそも根源である軸力を直接計測出来るセンシング技術を早急に検討してみることは必要だと思う次第なのだ。

 と云う様な問題を本日(1/31)国交省整備課へ電話し伝えたのだった。その内容の総論は先の通りだが、強調したのは以下だ。
①左後輪の脱落が多いと云われているが、それは後輪2軸車であるのか。そして、後後輪が多くはないか?
②OBD車検の効用は理解しかねるとかサイバーセキュリティーも問題もあるだろうが、脱落タイヤ1本で100kgもある破壊力のあるものが脱落しているということの重大性を考えると、ボルト軸力をリアルモニタリングできる仕組みの促進を促せないだろうか?(たぶん車両メーカーでは研究しているはずだが、コストの関係で打ち出せないのだろう)

【参考記事】
大型車の左後輪タイヤ脱落が多い件のおける、ある専門家と称する意見に異論
2022-01-29 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/e3466d67cb451ad4cf5df11dcb0542bb


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