私の思いと技術的覚え書き

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昨年9月の神戸トラック暴走事故で逮捕

2020-01-30 | 事故と事件
 昨年9月3日の神戸トラック暴走事故で、経営者と営業所長が逮捕されたという。下記Net報道によると、運転手が事故前にブレーキの不調を訴えていたにも関わらず、運転を継続させており今回の事故が生じたという。

 いったい当該トラックのブレーキにどんな不具合が発生していたのか感心がもたれるところだが、何ら情報の発表はない。本来はこの様に場合によってはさらに重大な損害が発生したと思われる案件は、事業用自動車事故調査委員会で事故の原因報告がなされなければならないだろう。

 それと、予て拙人は考えていたこととして、近年輸送効率(荷台の拡大)を目的として、小径タイヤによる低床4軸車が増加しており、事故の該当車もそうなのだが、この小径タイヤ=小径ドラム(もしくはディスク)は、ブレーキ熱容量の減少が生じることが想像される。つまり連続制動により、従来の大径タイヤより耐フェード性能に劣ることが想像されるのだが、メーカーや国交省の新規検査には合格しているとはいうものの、果たしてどの程度耐フェード制動が劣るのか検証し、一定の問題があるのなら、改めて注意喚起するくらいの配慮があってしかるべきだろうと思う次第だ。類似の事故再発を防ぎ、持って世の交通事故被害を減少させるという本気の取り組みに期待したいところである。 

神戸トラック暴走 その7 2019-09-12
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/bdda7f106f8375d40053d2dff31d508c


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関西 NEWS WEB
トラック暴走事故で所長ら逮捕 01月29日 18時06分
 去年9月、神戸市の坂道を下ってきた大型トラックが車などに次々と衝突し9人が死傷した事故で、警察は、整備を怠ったトラックのブレーキが、きかなくなった結果事故が起きたとして、運転手が勤務していた熊本県の運送会社の所長ら2人を業務上過失致死傷の疑いで逮捕しました。
 去年9月、神戸市灘区の坂道を下ってきた大型トラックが車6台に次々と衝突したあと、道路脇の川に転落した事故では、運転していた福岡県糸島市の宗由紀人さん(57)が死亡し、歩行者など8人が重軽傷を負いました。
 この事故で警察は29日、整備を怠ったトラックのブレーキがきかなくなった結果、事故が起きたとして、運転手が勤務していた熊本県玉名市の運送会社、「サンサービス九州営業所」の所長、樺英二容疑者(63)ら2人を業務上過失運転致死傷の疑いで逮捕するとともに、会社の事務所や大阪の本社を捜索しました。
 捜査関係者によりますと、トラックはブレーキがきかない状態のまま数キロにわたって坂道を下っていたとみられ、事故の前には運転手が会社の上司にブレーキの不調を訴えていたということで、警察は安全管理の実態を詳しく調べることにしています。
警察は2人の認否を明らかにしていません。
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神戸多重事故で運送会社社長らを逮捕 業務上過失致死容疑 兵庫県警
毎日新聞2020年1月29日 20時54分(最終更新 1月29日 20時54分)
 2019年9月、神戸市灘区の市道で大型トラックが川に転落し、男性運転手(当時57歳)が死亡、8人が重軽傷を負った事故で、兵庫県警灘署は29日、運転手が所属していた運送会社「サンサービス」(大阪府摂津市)の社長ら2人を業務上過失致死傷の疑いで逮捕した。
 逮捕容疑は19年9月2日、トラックのブレーキに不具合がある可能性を知りながら、運転をさせない注意義務があったのに、神戸市東灘区の倉庫へ荷物を届けるよう指示し、同月3日、同市灘区でトラックを他の車などに衝突させて運転手を死亡させ、8人に重軽傷を負わせたとしている。
 捜査関係者によると、トラックは川に転落する直前、2キロ以上にわたり下り坂を暴走していたとみられる。【黒詰拓也】
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ブレーキ整備怠り運転指示疑い、暴走で運転手死亡
1/29(水) 20:28配信産経新聞
 神戸市灘区で昨年9月、大型トラックが車などに次々に衝突して川に転落し、男性運転手を含む男女9人が死傷した事故で、兵庫県警灘署は29日、トラックのブレーキ整備を怠ったなどとして、業務上過失致死傷の疑いで、大阪府摂津市の運送会社「サンサービス」社長、田口剛容疑者(52)と、運転手が勤務していた同社九州営業所の所長、樺英二容疑者(63)を逮捕した。認否を明らかにしていない。
 逮捕容疑は昨年9月2日、トラックのブレーキに不具合があるのに整備するなどの適切な対応を怠った上で、運転手の宗由紀人さん(57)に貨物の運搬を指示。翌3日午前に事故が起きて宗さんを死亡させ、乗用車のドライバーら男女8人に重軽傷を負わせたとしている。
 同署によると、トラックは六甲山からの下り坂を数キロにわたって暴走。車4台に衝突した後、道路脇の川に転落した。
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2 コメント

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Unknown (ぽん)
2021-01-13 17:08:35
低床4軸化でブレーキサイズがダウンし連続制動に弱いとありますが、もしブレーキサイズが落ちても4軸に分散してブレーキかけられる分(制動中の荷重は前よりになるので)良いかと思ったのですがそうでもないのですか?
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Unknown (wiseman410)
2021-01-13 22:20:56
ご存じのようにブレーキ装置とは、運動エネルギーを熱に変換して吸収するものです。この制動作用により生じた熱は、制動装置の摩擦体の主要部(ドラムやディスク)を昇温させる訳です。この時、短時間の単発制動などでは問題は生じませんが、長時間の連続制動となると、摩擦体主要部の熱容量というファクターが極めて重要な問題になります。すなわち、摩擦体主要部の放熱が間に合わず、制動装置からの吸熱が続けば、摩擦体は急激に温度を昇温しつつ摩擦係数を減少してしまうと云う現象(フェードと云う)を生じてしまうのです。つまり制動装置として、なるべく連続制動において制動力低下を起こし難い設計をするには、摩擦体主要部(ドラムやディスク)の熱容量を高めたいという要素が生じるのです。なお、熱容量は、部材が同一であれば、その質量(体積と考えても良い)に比例すると云われ、ドラムの径や、ディスクの径や厚さを増すことで確保しています。この様なことで、低床4軸車では、車輪の数と共に制動装置も増えますが、制動装置の主要摩擦体質量が減少することがあると考えています。なお、エンジン排気量の減少によるダウンサイジングと共に、エンジンブレーキの効きも低下しますし、低床化により熱容量の低下を起こすことは、車両メーカーも理解しつつ、リターダーなど、補助減速装置の標準化など対策はなされてはいるところです。
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