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新憲法の日本語訳(22)

2006年01月22日 | ミャンマー新憲法
第11章 非常事態に関する規定

410 管区内であれ、州内であれ、連邦の国土内であれ、自治権を得た地域であれ、行政権に関する事業を憲法の規定に従って行なうことができないことが判明した場合、また関係する地域の当局が通知してきた場合、大統領は防衛と治安に関する評議会と協議し、法律に準ずる効力を有する命令を発令して非常事態を宣言することができる。

411 第410条の規定により非常事態を宣言した場合、大統領は、
(ア)関係する管区、州または自治権を得た地域であれ、統治権を掌握できる。その統治権を適当な組織を設置または適当な人物に委任することができる。
(イ)そのように執行するとき、必要であれば関係する管区、州または自治権を得た地域の立法権を行使できる事項の中から行政に係わる事項のためだけに立法権を行使できる。
しかし、立法権の権限を他のいかなる組織、いかなる人物にも委任することはできない。

412
(ア)管区であれ、州であれ、連邦国の領土内であれ、自治権を得た地域であれ、その一部分であれ、国民の生命や財産に危害を与える非常事態が起きた場合であれ、またはそのような事態が起きる可能性が十分にある場合であれ、または関係する地域の当局が提起した場合であれ、大統領は防衛と治安に関する評議会と協議し、法律に準ずる効力を有する命令を発令して非常事態を宣言することができる。
(イ)上記の(ア)により、大統領が防衛と治安に関する評議会において協議するとき、評議会の構成員が全員揃わない場合でも、国軍最高司令官、国軍副司令官、国防省大臣、内務省大臣と協議し、早急に非常事態を宣言できる。
その宣言は防衛と治安に関する評議会に早急に提出し承認を得ること。

413 第412条により非常事態を宣言した場合、
(ア)非常事態を宣言した地域において元の状態に回復させるために、当該地域に関係する当局、当局の構成員、地域の公務員の組織、その構成員が現行の法律に基づいて、職務を行なう場合、国軍の協力を得て行なうこと。
(イ)大統領は必要であれば、軍事行政権による命令を発令することができる。その命令において、国軍最高司令官に対して行政権に係わる権限と責務、国内における治安の安定と法の支配に関係する司法権に関する権限を決めること。国軍最高司令官はその権限と責務を自分自身であれ、または適当な軍に属する者に行なわせることができる。

414 大統領は法律に準ずる命令を発令し、非常事態を宣言したとき、
(ア)その命令において、非常事態宣言の効力が及ぶ地域と期間を設定し、発表すること。
(イ)必要であれば、非常事態宣言が発令された地域に居住している国民の基本的権利の一つまたはそれ以上の権利を必要に応じて制限したり、または中止させることができる。

415 大統領は非常事態を宣言し、第410条と第411条による非常事態の対処にせよ、第412条と第413条による非常事態の対処にせよ、第212条(イ)(ウ)(エ)に従って行なうこと。

416 第415条による大統領の提起を連邦議会が承認し期間を延長した場合、法律に準ずる命令はその延長期間が終了するまで効力が続く。

417 国家の主権を騒乱、騒擾や暴力的な方法によって奪取しようとすること、またはそのように試みることにより、連邦制が崩壊し民族の団結が維持できない、または国家の主権を失うような非常事態が起きた場合、またはそのような事態が起きる可能性が認められる場合、大統領は防衛と治安に関する評議会と協議し、法律に準ずる効力を有する命令を発令し非常事態を宣言できる。
そのように宣言した場合、非常事態宣言の効力が及ぶ範囲は国内全地域であり、期間は1年間であると発表する。

418
(ア)第417条により非常事態を宣言したとき、大統領は国内を早急に元の状態に回復させるために、必要な非常事態に対する対処ができるように、国軍最高司令官に国家の立法権、行政権、司法権を委譲すると宣言すること。
その宣言を行なった日から、全議会の執行部の立法権に関する職務は中止されたとみなされる。その議会の任期が終了したとき、自動的にその議会は解散したものとみなされる。
(イ)そのように国軍最高司令官に国家の全権を委譲した日から、憲法にどのような規定があれども、大統領と副大統領以外の、憲法に基づいて関係する議会の承認を得て任命された組織の構成員、自治権を得た管区、自治権を得た地域の執行部に属する全員は辞職したものとみなされる。

419 国家の全権を委譲された国軍最高司令官は立法権、行政権、司法権を執行することができる。国軍最高司令官は立法権を自分自身であれ、自分自身が参加する組織を設置してであれ、執行することができる。
行政権と司法権については、適当な組織を設置して、または適当な人物に対して、委任し執行することができる。

420 国軍最高司令官は非常事態が宣言されている期間中、必要な地域に居住する国民の基本的権利の一つまたはそれ以上を必要に応じて制限したり、中止したりすることができる。

421 大統領は、
(ア)第417条と418条により非常事態を宣言し、国軍最高司令官に国家の全権を委譲したことを連邦議会が開催中のときは、その通常会議において、連邦議会が開催中でない場合は、緊急会議を開催して報告すること。
(イ)国軍最高司令官に委譲された全権を行使し任務を終了できないため、一定の期間、延長したいと理由を付して提起してきた場合は、防衛と治安に関する評議会と協議し、通常の場合、1回の延長につき6ヶ月、2回まで延長できる。その延長に関する決定事項は連邦議会の緊急会議を招集して報告すること。

422 大統領は国軍最高司令官がその者に与えられた責務を果たしたと提起したとき、連邦議会の任期が終了前の場合、連邦議会の緊急会議を招集して報告した日から、また連邦議会の任期が終了していた場合は、国軍最高司令官から提起を受け取った日から、第418条により国軍最高司令官に対して国家の全権を与えた命令を、防衛と治安に関する評議会と協議し、撤回したことを宣言すること。

423 大統領は第422条により、国軍最高司令官からの提起を受けたとき、連邦議会が開催中の場合は、全議会とその執行部の立法権を暫定的に中止していたことを撤回すること。その後、憲法に含まれる行政権と司法権に関する新組織を憲法に基づいて組織し、責務を与える。その組織の任期は、開催中の議会の残りの任期のみである

424 大統領と副大統領、国民議会の議長、民族議会の議長は連邦議会の任期が終了していても、憲法の規定の通り、新大統領、新副大統領、国民議会の新議長、民族議会の新議長が選出されるまでの期間、その職務が継続する。

425 防衛と治安に関する評議会は連邦議会の任期が終了していた場合、国軍最高司令官がその者に委譲された全権を行使しその任務を終了できないため、一定の期間、延長したいと理由を付して提起してきた場合は、通常の場合、1回につき6ヶ月、2回まで延長を認めることができる。

426 防衛と治安に関する評議会は大統領が第417条と第418条により、非常事態を宣言し、国軍最高司令官に対して国家の全権を委譲する件に関して、国軍最高司令官がその者に与えられた責務を果たしたと提起した報告書を受け取ったとき、第418条により国軍最高司令官に対して国家の全権を委譲する命令を撤回することを宣言すること。

427 防衛と治安に関する評議会は、
(ア)憲法に基づいて議会がまだ設置できないとき、立法権、行政権、司法権を執行する。
(イ)この憲法に含まれる規定に基づいて、新大統領が選出され連邦レベルの関係当局が組織されるまでの期間、国家の全権を行使する権限を有する。そのように行使するとき、立法権については自身により行使する。行政権と司法権については、連邦レベル、管区レベル、州レベル、自治権を得た地域のために、適当な組織を設置するにせよ、適当な人物に対してにせよ、委任し執行させることができる。

428 防衛と治安に関する評議会は憲法に含まれる各段階の執行組織、自治管区の執行部、自治区の執行部及び選挙管理委員会を憲法に含まれる関係する資格条件に合致する人物により構成し職務を与えること。

429 防衛と治安に関する評議会は第426条による命令の撤回を宣言した日から6ヶ月以内に憲法の規定に従って総選挙を実施すること。

430 第428条により設置された組織は総選挙が行なわれ、憲法の規定に従って設置された立法権、行政権、司法権に関する各組織が発足するまで各職務を継続して行なうこと。

431 防衛と治安に関する評議会は国家の全権を行使するとき、大統領の名において執行する。

432 非常事態が宣言されている期間であれ、防衛と治安に関する評議会が国家の全権を行使している期間中であれ、治安の安定、国内の平穏、法の支配が元の状態に早急に回復させるために必要な処置を行なうために権限と責務を与えられた関係当局の組織、その組織に属する構成員、地方の公務員の組織、その組織の構成員、軍事関係の組織、その構成員の正式な処置は合法なものである。その合法的な処置について訴追することはできない。

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