猪名川一庫ダムの上流でとれるアユ
夏の自由研究アユの研究編
ここは、漁協が放流しているアユとダムで世代交代している天然アユがいる
そこで、漁協の協力でとれているアユが放流されたアユで釣り残されたものか
ダム湖で世代交代しているのか調べた
参考にしたのは以下のもの
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水産と海洋 第15号 2009年8月発行
河川等での内水面漁業では,漁業権の免許にあたって放流などの増殖行為が義務付けられてます。アユでは,漁協が中
間育成した人工種苗や海産・湖産などの種苗を放流していますが,どの種苗がよく釣れたとかが常に話題となります。
昔から体高が高い・痩せているなどの体型で,天然遡上・湖産アユ・人工種苗を区別する人も多いのですが,体型は漁場
のアユの密度と餌となるコケの状態で様々に変化します。そこで,試験研究機関などが調査するときには,アブラ鰭など
を切って標識放流し,再捕時に区別していますが,標識していない場合は,側線上横列鱗数(背鰭と側線の間の鱗の枚数,
図1,以下「鱗数」)を数えて判別できることを東大海洋研が報告しており,当センターでも利用しています。鱗数は,
湖産>海産>人工の順で少なくなります(背鰭前端部で計数した場合,湖産種苗:23 ~ 25,海産種苗:18 ~ 22,人工
種苗:15 ~ 18 枚)。ただし,背鰭の前側で多く,後側で少なくなるため,常に同じ位置から数える必要があり,最近で
は第3棘または第5棘から斜め下方に計数しています。
漁期後半になるとアユも大きくなり,目をショボつかせる覚悟があれば数えられますが,7~ 10cm の稚魚の鱗を数
えるには,実体顕微鏡などで拡大し,針などをあてて数えていました。そのため,慣れない人が数えるのは大変です。
最近の岩手県内水面水産技術センターの報告では,鱗をはがし薄めた墨汁で染めて実体顕微鏡で数えているとのこと
です。淡水魚支場時代に,「墨汁などで染めて数えやすくできないか」などといろいろと努力した研究員もいましたが,
デジカメの普及前で,鱗をはがす方法には至りませんでした。
試しに,最も数が多いといわれる陸封アユ(椋梨川)を用い,計数する背鰭下部の鱗をはがし,デジタルカメラで接写
してみると,意外とハッキリと写っています(写真)。デジカメ画像だといくら小さな種苗でも拡大して印刷すれば,実
体顕微鏡や虫眼鏡で目をショボショボさせることもなく数えられそうです。また,画像を強調する処理を行えば,より
鮮明にみることができます。鱗数も,種苗の生産場やその年の生育環境によって多少増減するため,放流した種苗の鱗数
を記録しておくと後で参考となります。また,隣接する漁協の放流魚とも区別できる可能性が高まります。
なお,最近では,人工種苗に下アゴに分布する孔(下顎側線孔:天然魚は,概ね片側 4 孔)が少ないものが多いことから,
これで区別している水試もあります。
長良川のアユ日記(blog2007/6/28(木) 午後 4:54https://blogs.yahoo.co.jp/ayukichi_gujo_syokuryo/archive/2007/06/28より)
ハリで突いたような穴(下顎側線孔)が左右対称に4個並んでいるのが天然(2番目の写真)、
そうでないものが人工(3番目の写真、この場合は左右3個づつで整然としていない)というわけである。
人工の場合は左右の数が違ったりして一目瞭然のものが多い。
ちなみに1番目の写真の上のアユが天然で、下のアユが人工である。
ただし、海産の天然種苗や琵琶湖産の天然種苗を放流している場合は、天然遡上ものと同様に下顎側線孔は4個が対に整然と並んでいる。
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以上の方法で猪名川一庫ダム上流のアユが放流かダム湖産かを判定した。
今回とれたものはすべてダム湖産であることがわかった
多くのアユが海に戻らず琵琶湖のアユのように世代交代しているようだ