野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

今日の一番星

2023-02-28 | 市民講座

★一番星(いちばんぼし)★

 お日さまが西の空に沈(しず)んで夕やけがしています。さあ、星のかがやきはじめる時間になりました。一番星をさがしてみましょう。夕方になって最初(さいしょ)に見えはじめる星が一番星です。今週(こんしゅう)は、どの星が最初に見えるでしょうか。

 では、寒(さむ)くないようにして、夕方の6時すぎぐらいに外に出てみてください。まだ、うすあかりが残(のこ)っていますよ。まわりに街灯(がいとう)や自動販売機(じどうはんばいき)などの明かりがあるところをさけて、お日さまの沈んだ方向(ほうこう)からにぎりこぶし4個(こ)ぶんほど左斜(ひだりなな)め上の空をさがしてください。明るくかがやく星があります。

イチバンボーシミーツケタ!

 きょうは二つ。金星と木星です。

 3年に1回。特に今年は「夕方で見やすい」位置にあります。

 この星は「金星」です。太陽のまわりを、1億(おく)kmほどはなれて、226日ほどで一周している惑星(わくせい)です。ずいぶん明るくかがやいていますね。お日さまの光を反射(はんしゃ)してかがやいているのです。

 明るくかがやいているのが惑星の王様「木星」です。太陽のまわりを7億8千kmほどはなれて、1周するのに12年かけて一周する惑星です。木星を回る月は95個もあります。1610年、ガリレオがはじめて観測して4つの木星の月を発見しました。ガリレオ衛星とよばれ、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと名前がつけられています。エウロパには表面の氷の下に液体の海があると考えられる証拠が見つかっています。

 

 「恒星は星座をかたちづくる星」、「惑星は星座の間を惑(まど)いながら動く星」とおぼえておきましょう。

次回2024年は太陽と重なり観察できず、その次2025年は明け方の空になるので観察は苦手。

夕方での接近は2026年6月10日です。おたのしみに。


さわらびは、その滝のどこにある、ワラビ

2023-02-28 | 兵庫の自然

ワラビ

「石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも」

先日野鳥観察でいった平磯公園にあった石碑にあった歌です。

万葉集巻八の冒頭を飾る、志貴皇子(しきのみこ)が詠んだ歌です。

この歌は、小学校の教科書にも載っています。小学校では鑑賞するのに、教師からつぎのような問がでます。

「作者はどこからこの情景を見ているのでしょう。 滝の上、真ん中、下から見上げている場所から」

「教科書の解説文には「滝」と載っているけれど、どんな滝だとおもいますか。」

「さわらびは、その滝のどこにあるのでしょう」

「植物の萌え出ずる春の到来を歓んで詠んだ歌」を感じ取ればいいと思うのですが、視覚的に理解を深めるのが小学校の勉強なのでしょうか。

植物学者はまた別の視点でこの歌を見ます。「さわらび」です。

滝のある場所には、ワラビは生えないだろう。この歌の「さわらび」とは、「ゼンマイそれもおそらく渓流沿いによく生えるヤシャゼンマイ」(木下武司.2010.万葉植物文化誌.八坂書房.p.617)

落ち着くところは「ワラビ」の名が古くからシダ植物全般を指す和名で、なんらかのシダ植物が生えていたということに。

 今回は ワラビ コバノイシカグマ科ワラビ属

世界各地に分布している。日本では北海道〜九州の丘陵地の草原や道ばたに生える夏緑性のシダ。日本に分布するものは北米に分布する亜種 subsp. Japonicum。(海老原淳 著.2016.日本産シダ植物標準図鑑Ⅰ.学研.p.367)。

 和名についても諸説。新芽の様子が「子供の手」に例えた「童手(わらべで)」、「童手振り(わらべてふり)」が変化して「わらび」がなんとなくしっくりします。

ワラビはシダ植物では進化した部類になるのは、シダ植物の進化「二環網状中心柱」で述べた。

ワラビは、平均温度が 10℃以上になると萌芽しはじめます。不定芽は前年の秋にすでに形成されているので、地温(10~15 センチの深さの温度)10℃になると伸びはじめ、15℃以上になると急にのびはじめます。

ワラビは、肉質のやわらかいもの、堅いものがありますが、それは生育地の環境が左右するそうです。

ワラビは、乾燥を極端に嫌う性質があり、適度の土壤水分と空中湿度と、土地が柔らかいところだと柔らかいワラビがとれるとのこと。日当たりのよい乾燥地のワラビは固い理由はそこにあります。

 

たくさん取れたらどうします。

干しワラビ。アク抜きをしたワラビを広げて日にあて、カラカラになるまで干して保存。

ワラビの塩づけ。ワラビは、塩づけにするとアクが抜けるので、わざわざアク抜きをする必要はない。

ワラビの粕づけ。塩づけのワラビを塩抜きにして使う。

 

今週は暖かい日がつづきます。ワラビの活動が始まります。


まどいぼし とは?

2023-02-27 | 市民講座

天文のニュースから

「金星と木星が接近 きょう2月27日 (月)から3月5日 (日)かけて、夕方から宵の西の空で、金星と木星が接近します。 国立天文台によりますと、最接近は3月2日 (木)頃で、2つの明るい惑星が寄り添う光景が目を引くでしょう。」

最近 夕方西の空に二つの輝く星が見られます。 金星と木星です。木星は双眼鏡でもしっかり観察できます。木星の衛星が目のよい人には見えるかもしれません。夕方が観察のチャンスです。二つとも数時間後には沈んでしまいます。

今回は天文教室での「まどいぼし」の話をさせていただきます。

★まどいぼし★

 もうすぐ春。もう夜8時ごろには、オリオンざ座やふたご座などの冬の星座をおいかけるように、おおぐま座やしし座など、春の星座が地平線(ちへいせん)からあらわれてきています。

1年をつうじて、規則正しく星座はうつり変わっていきます。なにごともなかったように、毎年、同じ、時刻に、は同じ星座が同じ場所に見えます。しかし、よく観察してみると、おうし座にあった土星と木星は、この前に見たときとちょっと場所がかわったように見えませんか。

 そうです!この2つの星は、星座のあいだを少しずつ場所を変えていきます。このように、星座の中をうご動いていくような星を「まどいぼし」という意味で「惑星(わくせい)」といいます。

それに対して、星座を形づくるような、場所を変えない星のことを「恒星(こうせい)」といいます。ちょっとむつかしいのですが、「恒星」は、「恒久的(こうきゅうてき)に位置を変えない星」、「惑星」は、「恒星の間を惑(まど)いながら動いていく星」なのです。昔、惑星のことを「遊星」(あそびぼし)といっていたときもありました。きれいな名前ですね。

 では、どうして惑星はこのような動きをするのでしょうか。それは、木星も土星も、太陽のまわりをまわっているからです。じつは、太陽のまわりをまわる星は、ぜんぶで9つあります。地球も太陽のまわりをまわっていますよ。

 みなさんは、運動会でグランドにえがいた線(円)にそってゴールまで走りますね。それでは頭の中で運動会です。グランドの中心に太陽があると考えて、そとがわに順番に9つ円をえがいていってください。それぞれの位置について、いよいよスタートです。一番うちがわの円の上を水星くんが、次に金星さん、そして地球(これが自分です)、さらに火星くん、木星さん、土星くん、天王星さん、海王星さん、一番そとがわの円の上を冥王星さんがまわります。冥王星のまわる円のそとがわには、お父さんやお母さんがじっとすわって、みんなをおうえんしています。太陽から遠いほど、走るはやさは遅くなります。

 さて、第3番目の円を走っている地球(自分)から、第5番目の円を走る木星さんを見てください。木星の向こうには応援するお父さんやお母さんたちがいますよ。コーナーをまがってもういちど木星さんをふりかえって見てください。そう、もう分かりますね。さいしょに見たお父さんやお母さんたちとは違うところを走っているように見えますよ。

 そうです、お父さんやお母さんが「恒星」で、地球や木星は「惑星」なのです。だから、私たちの地球から見て、惑星は恒星の間をあっちにいったり、こっちにきたりしているようにみえるのです。

 友達と学校のグランドで、校舎や木をお父さんやお母さんのかわりにして実験してみてください。

 

小学生対象に行っている天文学教室です。やさしくお話をしていただきました。


公園で観察 地衣類

2023-02-27 | 兵庫の自然

「酸性」「アルカリ性」の実験で使ったリトマス試験紙。

「リトマス試験紙に「リトマスゴケ」という、苔の一種から取り出した特殊な成分染み込ませてつくってあります。」

と学校で習ったとおもいます。

リトマスゴケと聞いて、どんな苔かと調べた子どもは、たぶんいないと思います。緑色の道やカベ

に生えているやつかなと想像できればまだ優れた方でしょう。

 

街なかの地衣類ハンドブック(大村嘉人著:文一総合出版;2016年)を見ると、リトマスゴケは日本にはありませんと書いてありました。そして、いま使っているものは化学的に合成してつくられているとか。そして、何よりも大事なのは苔ではなくて地衣類であることです。(小学生はコケとつけば苔とおもうのはあたりまえですよね。)

 

地衣類については中学で学びます。

地衣類は道路脇の塀や街路樹の幹など街中でも普通に見ることができます。

コケと違うのは菌類と藻類が互いに作用して、バランスを保つことで生命を維持している共生生物ということです。(もっとむつかしい言い方で相利共生、片利共生、寄生という言葉を習ったと思いますが・・・)

藻類とは、酸素を発生させる光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いた生物のことを指します。

日本だけで約1,800種というからかなり多様です。

どんなマイナー環境にいる生物なのに実験室で育てることがむつかしいといいます。

菌類と藻類が共生するときの光、温度、湿度などの環境因子が複雑に関係するので、実験室では野外で見られるような共生している状態にして培養することが大変むつかしいそうです。

「正確に同定するためには呈色反応で調べる必要がある」など地衣類を調べるのには、素人にはむつかしい。だから、教科書には地衣類の代表はウメノキゴケが、掲載されている。

 

ところが、近くの公園へ「街なかの地衣類ハンドブック」をもって地衣類を探してみた。

ウメノキゴケだけじゃく、1本の木にも地衣類が数種類あることがわかったが、

60種類/1800種類では同定するのはむつかしい。

 

『街なかの地衣類ハンドブック』

出版社 ‏ : ‎ 文一総合出版 (2020/6/10)

発売日 ‏ : ‎ 2020/6/10

ISBN-10 ‏ : ‎ 4829981555

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4829981559

身近な「地衣類」約60種がわかるフィールド図鑑

『里山の地衣類ハンドブック』が、里山(海岸~低山地の市街地を除く)で見られる地衣類(菌類と藻類の共生体)156種なので、あわせるとわかりやすいかも。


ザゼンソウ

2023-02-26 | 自然観察会

ザゼンソウ

大学受験がいまがピーク。

これは 中学入試問題、ザゼンソウの出題がある。

 

2021年 西武学園文理中学校入試問題にザセンソウが出ている

 

(問題)生き物と温度の関係に興味をもった文太君は、動物と温度、植物と温度、おもしろいと思った生き物についてまとめました。次のまとめを読み、以下の問いに答えなさい。

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(文太君のまとめ)

【動物と温度】

恒温動物……気温などまわりの温度が変化しても体温は一定の動物

変温動物……気温などまわりの温度が変化すると体温が変化する動物

ヒトの場合、さまざまな器官で生じる熱が体温に使われる。

【植物と温度】

植物の発芽には、空気・水・適度な温度が必要となる。

【おもしろいと思った生き物】

生き物の名前「ザゼンソウ」

生育場所:北海道や本州の山間の湿地(しっち)や夏でもすずしい谷地に生育する。

開花時期:早春(1〜3月)の雪解けのころ

開花の特徴(とくちょう):

受粉の方法……ヘチマ・アブラナ・ヒマワリ・カボチャと同じ

開花のときに花のまわりが25℃近くまで発熱し、肉が腐(くさ)ったようなにおいの物質を作る。

ルース・スタイルス・ガネットが書いた『エルマーの冒険(ぼうけん)』に出てくる“りゅう” の食べ物の1つとして登場する。

 

(質問)下線部について、ある研究によると「ザゼンソウが発熱することは効率よく受粉するために必要だ」と言われています。文太君が調べた生育場所・開花時期・開花の特徴を根拠(こんきょ)として、この理由を答えなさい。

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どう答えますか。

ザセンソウについて調べてみると

英名は「クカンクキャベツ」開花時には花序が発熱し独特のにおいをだすため、また、傷がつくとさらに臭いにおいを放つ。

ザゼンソウはサトイモ科の多年草です。サトイモ科というとあたたかい地域の植物のなかまが多いです。

花の作りは独特で、花びらのように見えないけど、中身をつつみこむ紫褐色のおおいが苞(仏炎苞(ぶつえんほう))といいます。中にあるのが本当の花(肉穂花序)になります。

名の由来は、僧侶が座禅を組む姿に似ているところから。1月から3月にかけて花を咲かせます。(雪解けのころがヒントになるようです。)

開花する際に発熱(25℃まで上昇)し,この発熱の時に悪臭がでます。

またその熱が花粉を運ぶ昆虫をおびき寄せると考えられています。

ザゼンソウの開花のころ、まだ雪が残っているところが多いようです。

その生育場所は最低気温は氷点下にまでなることもあるでしょう。

そんな低温のなかで、花(肉穂花序)が温度を20°C 以上に維持し、受粉できるような仕組みをつくっているのです。

中学校入試問題の解答がみえてきましたか。

 

今回は滋賀県高島市今津町弘川のザセンソウを見にいった観察会からです

 

  • 2018年3月11日(日) ザゼンソウ観察会

今津のザゼンソウの群生地は滋賀県高島市今津町弘川にあります。JR近江今津駅10時集合。

ざぜん草の里行きのバスがあるのですが、その時刻を考えないで集合時間を決めてしまい、次のバスは10時50分と言うことで、歩いてざぜん草の里に行くことになりました。

約30分歩いてざせん草の里に到着。

         

今年は寒さも厳しかったので雪があるのではと思いましたが、雪は全く無く沢山のザゼンソウが顔をのぞかせていました。雪のなかでザゼンソウの花の周辺だけ黒い土が見える写真をよく見かけますが、ザセンソウは花が発熱し20℃ぐらいを保っているんだそうです。だから花の回りだけ雪が溶けるんですね。

             

観察コースを歩きザゼンソウを堪能!ざぜん草の里休憩所に向かいました。ここはザゼンソウの保全活動に使われています。

 

休憩所で、ザゼンソウの一年、保全の様子等画像を観ながら説明を聞きました。その後はここの有志の方が作られている、「炊き込みご飯、お味噌汁、小鉢」の定食をみんな揃っていただきました。

             

その後、往路とは違った復路で、皆さん琵琶湖の産物を売っているお店をのぞきながら近江今津の駅まで歩きました。左の写真は高島市(旧今津町)のマンホールのフタです。今日見た「ザゼンソウ」と町の鳥「ヒバリ」が描かれています。

ザセンソウのサイトはこちら 今が盛りです。

ザゼンソウ群生地 | びわ湖高島観光ガイド (takashima-kanko.jp)

 

 

 


アマゾン自然学校 群馬の森で

2023-02-25 | 野生生物を調査研究する会歴史

野生生物を調査研究する会の「アマゾン自然学校」とは 

2003年(平成15年)JICAにおいて「ブラジル国アマゾン自然学校プロジェクト」が採択された。

活動期間は2003年〜2006年。活動内容は①現地に即した環境教育テキストの制作②森林インストラクターの養成とその森林インストラクターによるアマゾン自然学校の開催③日本からのエコツアー④アマゾン自然学校の開催である。

これまでのテキストはインストラクターにむけてのテキストの一部を紹介している。

今回は実施した自然学校1日目の様子から紹介する。

「アマゾン自然学校 1日目 2005年1月21日(金)

 7時半、インストラクター達がパラ州立イルダ・ヴィエイラ学校に到着すると、校門には自然学校に参加する10人の子供とその保護者の皆さんが集まっていました。子供たちが簡単な自己紹介をした後、バスに乗り込みました。わくわく気分の子供たちとしばし子供とお別れで心配そうな保護者の皆さん。いよいよ出発です。

 今日は、他のJICAのプロジェクトをやっている「アマゾン群馬の森」を訪問です。ベレンから約1時間の道のりでした。北伯群馬県人会館を兼ねた宿泊施設の立派な建物にみんな驚いていました。ピラルクを飼っている池やランの展示を見ているうちに準備が整い、群馬の森の開会式を行いました。ここでの指導は北伯群馬県人会、群馬の森プロジェクトチーム、パラ州技術環境局の方々が担当してくださいました。まず、自己紹介を兼ねたゲームを行ったあと、昼食準備チームとテント準備チームに分かれて、それぞれ作業をしました。」

 

 

「アマゾン群馬の森」は、「アマゾンに群馬の森をつくる会」(群馬県で森林保護活動の必要性を世界に訴えることを目的としてつくられた会(会長:群馬県知事)と北伯群馬県人会(本部:パラ州ベレーン)が、募金活動を両国でおこない、1996 年に540haを取得した熱帯雨林の原生林である。

ここは、アマゾンの氾濫原になります。アマゾン群馬の森をつくる氾濫原は、 várzea (ヴァルゼア)と呼ばれるタイプの氾濫をつくる川 とigapó (イガポ)と呼ばれるタイプの川があり、水と土壌の質は異なります。アマゾン群馬の森では両方がみられる貴重な氾濫原です。また、氾濫に運ばれる植生栄養素と沈降の違いがあるので、構造と種の組成の違いが明らかに異なります。このような貴重な原生林の植物、動物、昆虫と多くの学者は調査で利用しています。

 

ベレンでは都市化により、森林面積は減少しています。1986年までに、ベレン市郊外では森林の597.5 km 2が伐採されました。それは市の面積の50%に相当します。1986年から2006年、つまり20年間、都市開発によってベレン市街でも211.2 km2の森林面積を失いました。この森林破壊は、年間平均21.13km2に相当します。現在、残っているのは369 km 2(31%)(Leão et al., 2007)になっています。

アマゾン群馬の森は数少ない比較的よく残っているベレンの大都市圏の森林の様子が保存され、それを構成するさまざまな環境での生態学的研究の場として期待されています。

 

これまで群馬県はアマゾン群馬の森に対して在北伯群馬県人会館兼ビジターセンターの建設費やその運営費を補助や、こども緑の大使を派遣し、県内の小学生が現地で植樹活動を行ってきました。

 その他①「東部アマゾン森林保全・環境教育プロジェクト」(2004年(平成16)~2007(平成19)年度)国際協力機構(JICA)

②「草の根技術協力事業」2007(平成19)~2011(平成23)年度

③「アマゾン群馬の森における森林利用に係る覚書」2009(平成21)年度

この覚書に基づき「アマゾン群馬の森保全組織」が設立され、地元の方たちによる維持管理が行われることとなり、群馬県の支援は終了しています。

 

我々の活動と「東部アマゾン森林保全・環境教育プロジェクト」が重なるところもありアマゾン群馬の森を利用させていただいた理由の一つでもあります。


アマゾン自然学校 テキスト(11)

2023-02-24 | 市民講座

マモン (Mamão)(パパイヤ)

沖縄ではパパイヤを野菜として利用しているそうです。沖縄の収穫時期は7月から9月。

野菜と利用するというのは、熟す前の青い果実を収穫し、煮てたべます。大根のような食感があるそうです。沖縄には中国から台湾を経て、18世紀に伝わったといいます。今、熟す前の青パパイヤ、茨城県の水戸パパイヤ栽培研究会の農家が栽培して健康食品として注目されています。

 

さて 今回はパパイヤ ブラジル語ではマモン。

青いパパイヤは食べたことはありませんが、熟したパパイヤはおいしくいただきました。

パパイヤ ( Carica papaya L.) は、メキシコ南部からニカラグア北部の地域でスペイン人によって発見されました。

ブラジルには1587 年に入ってきたといわれています。

成長に適した気温は22°C から 26°C で、9 月から 2 月に収穫されます。世界には52種類以上のパパイヤの品種があるそうです。

パパイヤには、雌花、雄花、または雌雄同体の花があります。雌花と雌雄同体の花からできる実は、丸みを帯びたものと細長いものができ、どちらも食べることができます。一方、雄株のものは、形が変形し、食べてもおいしくありません。

 

パパイヤは、寿命は5年から10年ほどですが、農園では通常、寿命より早く植え替えられます。

現在ブラジルで作られているパパイヤの品種は、フォルモサパパイヤで、台湾が原産です。

ポルトガル帝国の入植者がこの国に到達したとき、現在の国が位置する領土は「フォルモサ島」と呼ばれていたため、その名前が由来しています。

パラ州のパパイヤがどのように入ってきたのか日本人かかかわるおもしろ伝説があります。

伝説によると、パラに住んでいた日本人宣教師が宗教的使命のためにハワイ(米国)に行き、そこで彼はブラジルの土地で知っていたものよりも小さくて甘いパパイヤがあったので、ポケットにいくつかの種を入れてブラジルに持って帰り、パラの農家の友人に配りました。その後、パパイヤは、北部へ北東部の他の州に広がったとか。

 

果実はカルシウム、プロビタミンA、およびビタミンC(アスコルビン酸)に富み、また消化酵素(パパイン)を多く含むので、重いブラジル料理のデザートには最適です。

 


アセビ 春先に咲くツツジの花

2023-02-24 | 兵庫の自然

アセビ

2月中旬、雪の降る日。すでにアセビの花が咲き始めていました。

アセビはツツジの仲間です。一年で一番最初に咲く花です。

漢字で書くと「馬酔木」、葉っぱを食べた馬が中毒してしまうことからこのように名付けられたそうです。

厚生労働省のサイトの「自然毒のリスクプロファイル」を見ると、「ツツジ科の植物には毒をもつものが多く、蜜にも毒性成分があることがあり、注意が必要」とあり、アセビ、ネジキ等のツツジ科の植物に含まれる植物毒はグラヤノトキシンとのことがわかります。

毒があるのはシカが食べないところからもわかります。奈良公園では有名な話です。

但馬の山では、春先アセビの花がめだってきたといいます。シカが増えすぎ、食べ残したのがアセビ。目立つようになったといいます。

アセビの毒を昔の人は害虫防除に利用しました。

慶長 5 年(1600) に書かれた「家伝殺虫散」に残されており、葉や茎を煎じて毒成分を抽出し、アセビ以外4 種類の成分を混合したもので害虫駆除しまた。

但馬地方では放牧地で草を食んでいる牛のダニ退治に使われました。乳器や外陰部など皮膚の薄い部分にダニが付着すれば、病気になるので、この液を使ったといいます。また昔のくみ取り式のトイレでは、ウジ虫を殺すのに使われました。

人間以外にもこの毒を利用するのがヒョウモンエダシャクです。この蛾は、アセビ、ハナヒリノキ、レンゲツツジなどのツツジ科の有毒植物を食草にして体に毒を蓄積します。毒は成虫になっても残ります。鳥はこの蛾を見ても食べません。毒があることを知っているのです。

ツツジのなかまですので、花びらがくっついて出来ている合弁花です。おしべは全部で10本あります。葯は5個ずつ上下2段になっていて、それぞれの葯の背面に2本ずつ棘状突起というのがあります。

アセビの花はつぼ型で下を向いて咲くため、マルハナバチのような小さな昆虫が受粉させることができます。花が下むきなので、花粉は葯(花粉袋)から出ると下へ落ちてしまいます。棘状突起があるのは、2本の棘に昆虫が触れた時だけに花粉が出るようになっており、蜜は花の一番奥なので、このレバーをおさないと蜜にたどりつけないのです。昆虫が触れると葯から花粉がこぼれて受粉することができます。

 

ツツジの仲間は,花弁が合着していますので双子葉植物の中では進化した植物として考えられています。最近のAPG系統分類体系では,ツツジの仲間にギンリョウソウやイチヤクソウまで入りました。


2022年の里山活動

2023-02-23 | 野生生物を調査研究する会の紹介

2022年は作業日は雨が多くて例年の半分ほどしか作業ができませんでした。

ネザサの多いところ、常緑の低木の多いところとありますが、作業地を4年計画で、順番にかっていきますので、4年後は侵入できるように道づくりから始めるポイントも多いです。

1月

今年初めての里山作業です。いつもの位置からの写真は、先月とほとんど変わらず。

作業は前回の続き(多分)、この辺りの木を切って道幅を広げます。トタン板は昔この辺りが栗畑だった時に、イノシシの侵入を防ぐ為に設置されたものです。    

そして最後になりましたが山の神様にお参り。ほんとは最初に行くはずが、サッと作業に移ってしまったので・・・「山の神様におこられるかもしれへんなぁ~」と言いながらも無事お参りを済ませました。アセビのつぼみがついていました。来月の作業日には、気の早い花が見られるかも?

今年も里山で自然の恵みをたくさん受け取れますように!

4月

午後から雨の予報、途中でぽつぽつ雨粒が落ちてきましたが、里山に着く頃には止んでいました。空にはやはり厚い雲が。入口の所にフキノトウが!

今日は池の近くの段になっている所の細い木を伐採。下の段から作業開始。

白いショウジョウバカマのおしべが赤紫でかわいいですね。シュンランも、ちょっと遅いのでややしおれかけていますが、見られてよかった!ヒキガエルの卵、来月はきっとオタマジャクシがうじゃうじゃいることでしょう!!

 

6月

田んぼはもう田植えが終わっていました。今日は梅の木の生えているところの草刈りをしました。この場所はほぼ4年間手入れをしていませんでした。上がってみるとササが茂っていましたが、あちこちにイノシシに土が掘り返された跡が。土を掘り返してササの根っこの部分を食べるんだそうです。なたで細かい部分を刈り、電動草刈り機で広い部分の草を払いました。

梅の木は人が手入れをしていないと樹勢が衰えてしまいます。ほとんど枯れていましたが、木に着いていたカヤランがあちこちに飛んで株を増やしていました!

ササユリもきれいに咲いていました。モリアオガエルが卵を産んでいましたが、もう孵った後のようです。シライトソウは一段高いところに群生していたのですが、ササが生い茂りだんだん数が少なくなってきていました。今回、その下の斜面に新しく育っているのを発見!また増えてくれますように、と祈りつつ周辺のササを刈っておきました。

10月

4ヶ月ぶりの里山作業です。空は雲一つない秋晴れ、そして暑いです!帰りに道端の温度表示を見たらなんと35℃!センサーに日光が直接当たっているので温度が上がったんでしょうが、それにしても10月とは思えない気温です。そして作業場所に行く途中でギンリョウソウ発見!

ここでギンリョウソウを見るのは初めてです!ギンリョウソウは葉緑素を持たない植物で、菌類と共生する樹木が光合成により作り出している有機物を菌経由で得て生活しています。その色や姿から別名「ユウレイタケ」とも呼ばれています。ただ、ギンリョウソウの花期は5~8月なのでこちらはギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ)かもしれません。

数か月来ていなかったので通路には小枝や木の葉が散乱。今日は神社の所から梅の木のある場所の下まで、通路を片付けて歩きやすくしました。

11月

今日は快晴、11月とは思えない穏やかで暖かい日です。今日の作業は遊歩道のササ刈りと、倒木の整理。通路以外は整備しなくてもいいけれど、道に張り出している木は切ってくださいと。写真右の所からスタート。

奥は結構ササが生い茂っています。倒木ではないけれど、枯れてしまっている木の処理にMさんがナタでチャレンジ。これだけの太さの木をナタで切るのは大変ですが、周囲にくさび型に切れ目を入れて、後は力業!!すっきりしました!でも90度横に目をやると・・・こんな感じです。

ササバリンドウが咲いていました。一度草刈りされた後に出てきたので丈がとても低いです。他は池の周辺の日陰の花です。

  

  

12月

今日は何時もの場所ではなく、反対側から公民館をパチリ。田んぼはひこばえが結構育っています。

今日の作業は通路の落ち葉掃き。今回お掃除すればあとはそう積もることはないと思います。

さあ、作業の後はあったかいお鍋が待っています!。里山は春まで暫く静かです。


春の歌のはじまり森もにぎやかに

2023-02-22 | フィールドガイド--野鳥--

先日の暖かい日、もうヒバリの「さえずり」をきくことができました・

近くの公園では、5月の若葉の開くころまで、野鳥の姿を観察するのにいちばん楽しい時期です。

春の繁殖期に向けて、求愛やなわばりの主張のため、鳥の声が「地鳴き」から「さえずり」に変わってきてにぎやかになります。

「野鳥の声を覚えたい。」ちょうど今からが良い季節です。

とくに、里山を公園にした場所では、いつもこの森で暮らしているカラ類やキツツキなどの留鳥の声を聴くことができます。

里山の野鳥の声が聴き分けられると、春になって移動してくる夏鳥の声も、いつも聞くのとは違ってきけるでしょう。散歩でであえる野鳥たちのさえずりを聴きながら歩くのが楽しみな季節になりました。