ブラジルアマゾンで小農家の支援活動を行ってきた。自然を守ることのできる人材育成と河畔林の再生をめざす活動である。
以下報告書の抜粋より
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ブラジルアマゾンにおけるアグロフォレストリーによる河畔林再生植林活動と産学官ネットワーク化事業
- 三井物産環境基金2009年第1回活動助成報告書(第3年次) -
提出 平成24年(2012年)10月
報告内容
1.事業概要と実施計画
1-1 事業の目的・趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1-2 事業の内容・方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1-3 事業実施地 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
1-4 実施スケジュール計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
1-5 実施体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2.第2年次の活動結果
2-1 現地調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2-2 アグロフォレストリー植林 ・・・・・・・・・・・・・・・ 12
2-3 ワークショップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
3.第3年次以降の活動方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
抜粋
2-1現地調査
第2回現地調査
【調査期間】 2012年8月23日(木)~9月27日(木)
【出 張 者】黒田明彦(理事長):8月23日(木)~8月31日(金)
北村亮(ブラジルプロジェクトコーディネーター):8月23日(木)~9月27(木)
※トメアス駐在の林建佑(ブラジルプロジェクトマネージャー)が現地にて対応
【目 的】 ・植林地の生育状況確認、植林後環境調査
・委託者との進捗状況意見交換
・ワークショップ参加
植栽
植栽用苗は2012年1月~2012年3月に配布され、その後4月までの間に各農家によって植栽された。苗の本数については、均等になるよう配慮しつつ、各農家の準備状況・植付可能な面積等を勘案し、それぞれ1,000~1,200本が配布された。配布樹種はカカオ、マホガニー、アサイヤシ、パッションフルーツ、その他樹種(ムルムル、カジュイ、カムカム、ジェニパポ)が合計約10,000本配布された。
植付時にコメ、トウモロコシ、うずら豆を植栽した農家では8月までにはそれらの収穫が終わり、パッションフルーツの実が成り始めており、これらの収入によって植林木の管理費用が捻出できている。
また、1・2年次における植栽地においても、植栽地を訪問した結果、順調に生育している状況が確認された
2-3 ワークショップについて
3年目の目的
・小農家生産者組合の交流とネットワーク作り
・小農家の基礎レベルアップ
・トメアス周辺地域への拡大
実施時期 2012年8月28日(火)、29日(水)
期間 2日間→1日は屋内で講演会、1日は農地を訪問し実地研修
講演機関 CAMTAを中心に調整→EMBRAPA(ブラジル農牧公社)、CEPLAC、CAMTA
参加者
クアルタ・ヘジオン生産者協会
アグア・アズル生産者協会
ウビン生産者協会
マサランドゥーバ生産者協会
ブレウジーニョ生産者協会
マルパウーバ生産者協会
ノーヴァ・ベテウ生産者協会
サンタ・バルバラ、モジュー、イガラペアスー地域の生産者協会
トゥレ・ドイス生産者協会
フォルチ・ド・カステーロ生産者協会
アグア・ブランカ生産者協会
セミナー参加して
・セミナーは大変素晴らしいものであった。セミナーに参加したのは今回が2度目であるが、わたしたちの活動を社会に発信することができて嬉しい。(小農家生産者協会)
・このセミナーを開催してくださった方々に感謝をしたい。食事が大変良かった。(ブウレジーニョ小農家生産者協会)
・セミナーは大変素晴らしいものであったが、まだ改善の余地はあるはずである。アグロフォレストリーの植え付け時の正しい間隔や、栽培、生産、出荷、販売のサイクルについての説明が欠けていたように思う。(ASFLORA)
・このセミナーに参加したのは今回が初めてであるが、大変勉強になった。出来れば、次回も参加したいと思う。ありがとうございました。(トゥレドイス小農家生産者協会)
・小農家の生活を豊かにするための、魚の養殖を発展させるための団体を呼んでほしい。(小農家生産者協会)
・特に、セミナー構成、受付、食事が大変素晴らしかった。セミナーの開催者たちにとって、これまでの活動によって小農家たちが満足している姿を見ることは、大変喜ばしいことであるが、それがセミナー参加者でさえも目に見えてわかる。セミナーをもっとより良く大きく統合するために、他の郡にも宣伝するべきであろう。(サンタバルバラ環境・経済発展局)
・私たちが学べるような新たなイベントを開催してほしい。(アグア・アズル生産者協会)
・実際にアグロフォレストリーの農地を見学でき、また、施肥、剪定、接ぎ木の仕方を目にすることができるので、実地研修は非常に重要であり、私たちも同じような機会があった時に、他者へこのことを伝えることができるであろう。(ATRAER)
・発表及びこれまでの取り組みは評価すべきことであり、この活動の成果(小農家たちに満足な結果及び有益な知識を与えていること)を見ることは大変喜ばしいことである。(ATRAER)
・実地研修では、ジュース工場、コナガノ農園、クアルタ・ヘジオン小農家生産者協会に訪問したが、皆大変丁寧に対応してくれた。今回初めて参加したが、大変気に入った。来年も開催されることを期待している。(アグア・アズル小農家生産者協会)
(2)まとめ・評価
参加者の評価は総じて良い結果となった。特に内容面に関しては、満足度が高いものとなっていることが伺え、継続して実施していくことがよいと考えられる。要望事項として、実際には行政関係機関も参加していたが、行政機関の関与強化があり、行政の積極的な関与を全面に出していくような工夫が必要であろうと考えられる。また、それをきっかけに、行政機関からの活動への支援をしてもらえるような形づくりも重要であろう。
今後に向けて
三井物産環境基金助成による活動によって所期の目的は達成することができ、今後の発展的な展開の基盤づくりが出来つつある。今後は、活動を深化させるとともに、より直接的な自然環境保全に直結していく活動を強化していくことが求められ、そのための人材育成や環境整備を実施していく必要がある。
資金確保については、現地企業等からの協賛金、現地行政機関の資源活用、基金を設立してこれらの資金で継続活動を実施していけるようにし、各種助成金を活用して、新規活動立上げを実施していく方針で取り組んでいく。