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就活生、「専門スキル」で武装せよ 惑う就活「新ルール」

2020-02-03 18:41:10 | 意見発表

就活生、「専門スキル」で武装せよ
惑う就活「新ルール」(1)

就活
 
2020/2/2 23:00
日本経済新聞 電子版
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学生(右)はプログラミングなど専門スキルを磨き望む(1月末、「インティ」の面接会)

学生(右)はプログラミングなど専門スキルを磨き望む(1月末、「インティ」の面接会)

「もう1年以上も就活をしているのに結果が出ない」。早稲田大商学部3年の女子学生の表情には疲れが浮かぶ。人よりも早く就活を始めたつもりだったが、10社程度を受けまだ内定がない。

友人はすでに外資系企業の内定を得て就活を終えた。手帳の2月以降のスケジュールは真っ白。「予定がないので不安しかない」

就職情報大手ディスコ(東京・文京)によると、1月1日時点ですでに内定を得た3年生は約7%。2年前の倍の水準だ。一方、まだ内定がない9割以上の学生のうち、早大の女子学生のように長期の就活を強いられる人も増えている。

足元の大卒求人倍率は2倍弱。就活生1人に2社近い求人がある売り手市場は続いているのに、なぜ二極化が進むのか。

 

18年秋に廃止が決まった経団連ルールを引き継いだ「政府ルール」は、「説明会は3月解禁、面接は6月解禁」と定める。学生を学業に専念させる狙いで、政府は中小や外資系などあらゆる企業に順守を求める。しかし罰則規定はない。

ディスコによると21年卒の採用で2月以前に選考を始めると答えた企業は19%と前年から倍増した。ルールの形骸化が一段と進み、採用する側もされる側も前のめりになる。

JTは昨年に比べ3カ月早い3月に選考を始めることを決めた。これまで6月だった選考を今年は3月と6月の2回に分け、学生の出方を探る。KDDIも昨年まで3月に始めていたエントリーシートの受け付けを3カ月早めた。これまで経団連ルールに従っていた大手企業も優秀な学生の確保へなりふりを構っていられない。

就活をめぐる地殻変動はほかにもある。デジタル時代に即した人材が不可欠な日本企業は、年功序列など旧来の賃金・雇用システムに変わる最適解を求め試行錯誤している。

「競争相手はスタートアップだ」。ソニー人事センターの浅井孝和は語る。これまで新卒採用では日立製作所などの電機メーカーを意識していればよかった。だが学生が就職先として天びんにかける相手は、人工知能(AI)のスタートアップ企業など業種の垣根を越える

ソニーはデジタル分野で高い能力を持つ新入社員の年間給与を最大2割積み増す。NECも能力に応じ年1千万円の初任給を提示するなど、限られた優秀な人材を求め異業種間の競争が活発だ。

学生側も企業の変化を敏感に感じ取る。かつて就活スキルと言えば「面接受け」の改善やエントリーシートの書き方が中心だったが、最近はITなどの専門スキルで武装する動きが広がる。

東京工業大大学院2年の神里知弥は19年秋、人材サービスのITプロパートナーズ(東京・渋谷)が運営する「インティ」に登録した。有望な学生を選抜しエンジニアやWebデザイナーに育て上げてから企業に紹介する。学生は登録すれば無料でプログラミング講座を受講できる。

神里の専攻は応用化学だが「持っているスキルは多いほうがいい」。有力企業の選考でITスキルをアピールしほかの学生に差をつけようと、登録者は1万人を超えた。実践的なITスキルは数カ月の研修で身につくものではないが、基礎知識があれば社会に出て応用も利く。

「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」。経団連会長の中西宏明は19年4月、必要な人材を随時採用する「通年採用」を推進していくことで大学側と合意した。現在の「一括採用」から、海外のように在学中に専門分野の勉強に集中し、卒業後にインターンなどを経て人材を随時選考するスタイルへの移行を目指す。

日本企業の雇用は年功序列や終身雇用など「メンバーシップ型」と呼ばれる。新人を時間をかけて育成し競争力を高める仕組みはかつて機能した。求められる人材のスキルが刻一刻と変化するデジタル競争の時代。仕事内容に応じたポストを用意し、適切な人材をあてがう「ジョブ型雇用」への過渡期に立つ。

(敬称略)

就活シーズンが今年も本格化する。環境変化に適応しようと手探りを続ける企業や学生の動きを追う。


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