古本の全集を買おうとしたのでした。
窪田空穂全集。
まず、自分で自分を説得することからはじまります。
まずもって、全集を買って読んだためしがない。
それでも、これは買うことがよいのだと、自分で自分に説得を重ねるわけです。
これは、持っていることに価値があるのだと、説得。
少なくとも、最低3つぐらいは理由をつける。
その時はどうだったか。
はじまりは、慶応義塾出身の山村修著「〈狐〉が選んだ入門書」(ちくま新書)に登場した窪田空穂『現代文の鑑賞と批評』。
これが何とも、角川書店の『窪田空穂全集』第十一巻所収となっておりました。
つぎに、私が思ったのは、どんなことか。
買いたいとなると、何でも理由をつけてしまうのが必要です。
りっぱな理由づけがあれば、購入後の放置にも寛容でござる。
ということで、2つめの理由はこうです。
コロンビア大学でドナルド・キーンさんの日本文学の角田柳作先生がおられました。
司馬遼太郎氏は「街道をゆく」の39「ニューヨーク散歩」のなかで
「この人については他に参考文献がなく、従ってキーンさんの記憶に頼るしかない。いかにも明治人であった。たとえば、自然な謙譲さ、頑質なばかりの地味さ。また禅の説話のなかの人のように名利に恬淡としていたこと。存在そのものが古典的日本人のエキスのような人でありながら、日本に住むことなく・・・・すばらしい学殖と創造心をもちながら、著作を持つことに無頓着だったこと。理由は『私はまだ生徒ですから』というのが口癖だったこと。このため母国では無名だったこと。」
とあります。その角田柳作先生を知ろうとしても、私にはしょせん無理だとあきらめておりました。ちなみに角田先生は明治十年(1877)群馬県生まれで、明治の東京専門学校(早稲田大学の前身)の出身だった。在学中、坪内逍遥の講義をきいた。とも司馬さんは記しております。
角田柳作先生を知る事ができなくとも、同年の人なら。
と私の思いが動きました。というのも、
窪田空穂氏は明治10年(1877)長野県生まれ。
そして明治28年に東京専門学校文学科入学。
という経歴の持ち主。
窪田空穂は歌人・国文学者で早大教授でありました。
角田柳作先生と同時代人なのであります。
こりゃ、全集を買う動機としては説得力があります。
つぎ3つめ。あとひと押し。
岩波文庫に入っている窪田空穂の解説を大岡信氏が書いているのが、
まことに印象的だったのであります。
かくして、古本全集を購入。
そして、慶応義塾出身の黒岩比佐子著「編集者国木田独歩の時代」を読むまでは、この全集が家で埃をかぶっていたというわけです。
さらには、なぜこんなことを書いているかといえば、慶応出身の松井高志さんの最新コメントが入っていたからにほかなりません(笑)。
窪田空穂全集。
まず、自分で自分を説得することからはじまります。
まずもって、全集を買って読んだためしがない。
それでも、これは買うことがよいのだと、自分で自分に説得を重ねるわけです。
これは、持っていることに価値があるのだと、説得。
少なくとも、最低3つぐらいは理由をつける。
その時はどうだったか。
はじまりは、慶応義塾出身の山村修著「〈狐〉が選んだ入門書」(ちくま新書)に登場した窪田空穂『現代文の鑑賞と批評』。
これが何とも、角川書店の『窪田空穂全集』第十一巻所収となっておりました。
つぎに、私が思ったのは、どんなことか。
買いたいとなると、何でも理由をつけてしまうのが必要です。
りっぱな理由づけがあれば、購入後の放置にも寛容でござる。
ということで、2つめの理由はこうです。
コロンビア大学でドナルド・キーンさんの日本文学の角田柳作先生がおられました。
司馬遼太郎氏は「街道をゆく」の39「ニューヨーク散歩」のなかで
「この人については他に参考文献がなく、従ってキーンさんの記憶に頼るしかない。いかにも明治人であった。たとえば、自然な謙譲さ、頑質なばかりの地味さ。また禅の説話のなかの人のように名利に恬淡としていたこと。存在そのものが古典的日本人のエキスのような人でありながら、日本に住むことなく・・・・すばらしい学殖と創造心をもちながら、著作を持つことに無頓着だったこと。理由は『私はまだ生徒ですから』というのが口癖だったこと。このため母国では無名だったこと。」
とあります。その角田柳作先生を知ろうとしても、私にはしょせん無理だとあきらめておりました。ちなみに角田先生は明治十年(1877)群馬県生まれで、明治の東京専門学校(早稲田大学の前身)の出身だった。在学中、坪内逍遥の講義をきいた。とも司馬さんは記しております。
角田柳作先生を知る事ができなくとも、同年の人なら。
と私の思いが動きました。というのも、
窪田空穂氏は明治10年(1877)長野県生まれ。
そして明治28年に東京専門学校文学科入学。
という経歴の持ち主。
窪田空穂は歌人・国文学者で早大教授でありました。
角田柳作先生と同時代人なのであります。
こりゃ、全集を買う動機としては説得力があります。
つぎ3つめ。あとひと押し。
岩波文庫に入っている窪田空穂の解説を大岡信氏が書いているのが、
まことに印象的だったのであります。
かくして、古本全集を購入。
そして、慶応義塾出身の黒岩比佐子著「編集者国木田独歩の時代」を読むまでは、この全集が家で埃をかぶっていたというわけです。
さらには、なぜこんなことを書いているかといえば、慶応出身の松井高志さんの最新コメントが入っていたからにほかなりません(笑)。