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花守

四季の花はそれぞれやさしく咲きこころなごみます
折々に咲く花を守りこころかすめる思い出など綴ってみたいです

旅の終わりに

2018年02月11日 11時39分24秒 | 母を想う
母は旅を愛していたなと折に触れ思い出します
旅行から帰ると出発から順序を追って鮮明にしかも何度でも
繰り返して旅の記憶を話してくれていました

いつかは長寿で有名だった泉種千代さんのお住まいを訪れて
お酒を酌んでいただいたそうです
そして帰りに“旅の傘”をもって帰ってきました
そして私に云うのです その傘に「何か書いて欲しい」と
その時には平素から室生犀星の詩を好んでいた母のために
詩の一節
  「ふるさとはと遠きにありておもふもの」と書きましたら
母は殊の外の喜びようでした

その次に旅行から“旅の傘”を持って帰ったときに
母のために書いた言葉は
  「人間盛りは105歳」 でした
それは当時清水寺の貫主で長寿の記録保持者だった大西良慶の言葉です
母の長寿を願って私はこころを込めて書いたのです
でも母は78歳でこの世の旅を終えてしまいました
母を亡くして30年になりますがいまでもその旅の傘を私は玄関に飾っています
母から与えられた多くの恩愛にいつも感謝の気持ちでいることができますから




寒さの中でことしも侘助よく咲いています