花守

四季の花はそれぞれやさしく咲きこころなごみます
折々に咲く花を守りこころかすめる思い出など綴ってみたいです

お嫁さんに

2017年08月29日 10時44分03秒 | 日記
遠い昔のことです
商家だった我が家にはみんなから可愛がられていたトモちゃんという
若い女性が一緒に暮らしていました
そのトモちゃんの結婚が決まったので母は結婚式の前準備として日本髪を結うことを
勧めたのです
トモちゃんは商家の手伝いをしながらも母から和裁を習い花嫁修業もしていました
髪結いさんから帰ってきたトモちゃんはいつもと違ってそれはそれは
別人のように綺麗でしたが
私にとっては何だかもういなくなるんだといった思いが強くて
あの時 私は誰もいない所にいって泣きたいくらいにとても寂しかったのです
その思いは腕白盛りの兄にとってもそうだったのでしょう
小学一年生の兄はトモちゃんの肩によじ登り何度も何度もそんな動作を繰り返して
笑いながらも困っているトモちゃんの結ったばかりの日本髪を突いては
結局第一回目の日本髪は変形してしまったのです
でも兄はそんなには周囲の誰からも叱られなかったようです トモちゃんがお嫁に行って
我が家からやがていなくなることを寂しかったに違いない
そんな心情も理解してもらったのでしょう

現代のように日本髪はいきなりかつらを被るのではなく長く伸ばした自分の髪で
丁寧に日本髪を結っていた古いよき時代の一つの思い出でもあります



裏庭では紫式部が少しだけ色ついてきました