vagabond の 徒然なるままに in ネリヤカナヤ

エメラルドグリーンの海,溢れる太陽の光,緑の森に包まれた奄美大島から,乾いた心を瘉す写真をお届けします。

文化のデジタル化

2005-11-16 21:56:25 | 
離島生活をしていると,無性に,本,音楽,絵画等に触れたくなる。
晴天が続くと,そんなことさえ忘れてしまって,海へ山へと出掛けていくのだが,ここのところ,奄美地方はあいにく曇天続き。
そんなこんなでAmazonを覗いていると,「なか見検索」という新機能に気付いた。
例えば「奄美」で検索してみるとこのようにズラッと表示される。
本の表紙のサムネイル写真をクリックすると,表紙,目次,本文の一部等が掲載されていて,中身を見てからネット通販で本を購入することのできる優れもの。
これで,事前に内容を確かめてから購入することをできるようになるので,後悔する確率が低くなる。
ただし,この機能に参加している出版社はまだ限られているようで,講談社,PHP等は参加しているが,新潮社,文藝春秋等は見参加の模様で,検索結果には,マイナーな出版社が並ぶ。
また,私は,本を選ぶときには,出版社の紹介文,目次の他に,はしがきを読んだ上で本文を読むことにしているのだが,はしがきは掲載されていない気がする。
米国Amazon.comでは,同様の"Search Inside!"という機能を既に2003年から稼働しており,私も,洋書絵本等を選ぶ際には,こちらで見てから購入したりしていた(例えば,The 20th Century Children's Book Treasuryだと,こんなふうに表示される)。
米国から2年遅れての日本Amazonでの稼働ということになるが,とても便利なだけに,今後の拡充に期待したい。

奄美関係の本を探していると,島尾敏雄「新編・琉球弧の視点から」(朝日文庫)や島尾ミホ「海辺の生と死」(中公文庫)など絶版になっているものも多い(奄美関係の書籍の充実した本屋としては「あまみ庵」があるが,これらについては在庫がない模様)。
そうすると,古本を探すことになるが,10月に開設されたデータベースBOOK TOWN じんぼうが便利かもしれない。
日本一の古書店街のポータルサイトを謳うだけに期待をしたが,こちらも,在庫情報の充実度では不満があるし,お値段も若干高めな気がする。
こちらも今後の充実に期待,といったところか。

ところで,島尾夫妻の両書籍は,両方とも,10年ほど前の出版なのに,絶版になっており,そのこと自体にも大いに不満を感じる。
ただ,オンデマンド出版という手があったと気付き,早速,中央公論新社のページに飛んだ。
が,「海辺の生と死」にはヒットせず。
それどころか,「赤頭巾ちゃん気をつけて」が2,205円という値段設定には笑ってしまった(文庫本で620円)。
この値段で買う人がいるのだろうか?
オンデマンド出版もちょっと前からやられているが,まだ文化としては成熟していないということか。

音楽関係では,Appleのi-tunesが話題になっていたが,残念ながらクラシック音楽は扱っていない。
そんなところへ,ナクソス・デジタル・ジャパン、クラシック音楽専用のストリーミング配信サービスを開始との報道。
16万曲以上が聞き放題とのことだが,月額料金は1,890円と個人が支払うには少し高め。
クラシックを聴き始めた人が配信を受けるにしては値段設定が高いし,ある程度聴き込んだ人ならこの手のサービスは不要だろうし…
教育機関をメインターゲットにしているようだが,「100曲モーツァルト」等のヒットで,ちょっとしたクラシックブームが起きているだけに,個人利用者向けにもう少し安めのコースを用意してもよいのではないか,と思った。

ということで,書籍のデータベース化,音楽のネット配信等で欧米諸国に後れをとっている日本の文化事情には寂しさを感じるが,国立国会図書館では,近代デジタルライブラリー と称して,所蔵の明治期刊行図書を収録した画像データベース(平成17年8月現在 約59,900冊)を拡充中らしい。
こちらも,明治期のものであること,内容でのテキスト検索ができないことなど不満があるが,まずは,文化のデータベース化の第一歩を歩み始めたというところか。
国立国会図書館では,「描かれた動物・植物 江戸時代の博物誌」という電子展覧会を行っており,こちらも楽しめる(こちらは,おおた葉一郎さんのブログで知った)。