トンビがくるりと輪を描いた。
薩摩富士を眺めながらこんな風に飛べたらさぞ気持ちよかろう。
やがて空が紅く染まった。
【2007.2.10 鹿児島県指宿市 Canon EOS 30D with Canon EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM & Canon EF70-200mm F2.8L IS USM(DPPでRAW現像)】
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久々に本格ドラマを見ました。
NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」です。
(トンビでハゲタカをちょっと連想したので,感想めいたことを書いておこうと思います)
1997年から2000年ころの日本では,不良債権処理の嵐が吹き荒れました。
「不良債権」というのは,今から考えても非常に悩ましい問題だったと思います。
非常に大雑把にいえば,戦後の成長,中でもバブル期の地価・株価の上昇を前提に組んだ(銀行が組ませた)借金やその前提としての担保は,「その土地・株にはそれほどの価値がないよ」と誰かが叫んだ途端,紙切れ同然になってしまいました。
「王様は裸だ」と民衆が叫んだのと同じです。
それまで豪華な服をまとっていると思っていた(思い込もうとしていた)土地等にそれほどの価値がないということに気付いてしまったのです。
その後の数年間,金融監督庁(現在の金融庁)の強い指導の下,金融機関が不良債権を回収に血眼になりました。
非常にヒステリックな状態です。
そんな中で,活躍したのが外資系ファンドでした。
このドラマは,瀕死の状態の企業と金融機関に対して,情緒を抜きに合理的・経済的思考のみを武器に,猛然と襲い掛かることから「ハゲタカ」と呼ばれることも多い外資系ファンドのファンドマネージャー(大森南朋)と,それに対抗する日本の銀行のエリート社員(柴田恭兵)のせめぎ合いを描くドラマです。
20世紀の日本には,2つの転換点があったと思います。
一つは,太平洋戦争,もう一つは,バブル崩壊からその後の不良債権処理にかけて。
いずれも,日本人にとっては非常に苦い経験です。
特に不良債権処理は,当時の借主側からすると,「何故だ!」と叫びたくなるような理不尽な状況もあったように思われます。
しかし,この転換点があったからこそ我々の現状があるのも事実です。
そして,この不良債権処理とそれに続く21世紀冒頭の構造改革を経た今なお,我々の国の形をどのようなものにすべきなのか必ずしも定まっていないというのも悲しい現実です。
しかも,今も,サッポロビールの買収等,外資系ファンドの攻勢は続いています。
そのような状況で,今後我々がどのように旋回していくのかを考える上でも,フィクションではあれ,わずか10年前の「革命」の模様をおさらいしておくことには大きな意味があるように思います。
肺ガンから復帰したばかりの柴田恭兵が熱演しています。
病み上がりのためかセリフ回しには苦労しているようですが,眼光の鋭さは相変わらずです。
何かとお騒がせのNHKですが,伝統の土曜ドラマの枠はまだまだ健在のようで何よりです。
3月24日までの6回シリーズです。