夏になると,必ずのように,戦争関係の本に手が伸びる。今年は,元大本営参謀の太平洋...東京ブックレット (12)を読んだ。東京新聞発のブックレットであるが,元大本営参謀 瀬島龍三 氏(NTT顧問,亜細亜大学理事長,元伊藤忠商事顧問,臨時行政改革推進審議会[中曽根行革審]委員)のインタビューであり,薄さの割りに内容は濃い。
「『南部仏印進駐は,対米英戦争を覚悟し,その準備と見通しが立つまではやるべきではない』との意見書を上司に提出した」
「(満州国の建設から)戦線を広げてはいけなかったのですよ。南へ行くのではなくて,国際情勢を活用して,カイライだのなんのと言われた満州国が国際的に認知されるよう努力すべきだった」
「憲法は『不磨の大典』と言っていないで,時代に即して直していくところは直していかないとね。その最大の教訓が,この明治憲法の統帥権ですよ」等,大本営の中枢部にいた瀬島氏の発言には独特の重みがある。
これらの発言を踏まえて思うのは,ひとつの国を良い方向へ導くためには,不惜身命の一念で最後まで責任をもって引っ張っていくリーダーが不可欠ということ。
明治政府の元老は,日露戦争を終結するために,ルーズベルトと大学の同窓だった金子伯爵をアメリカへ派遣して終戦工作をした,エース小村寿太郎を北京公使から外務大臣へ異動させる等総力を尽くしたといった有名なエピソードも,瀬島氏の口から語られると非常に感慨深い。一方,この戦争の結果獲得した満州の権益を守るために,満州事変へと進んでいったというのも皮肉な話だ。
省みるに自分自身「中堅」と言われて久しいが,どのような生き様をするのだろうか...
瀬島氏に関しては,以下の著作がある(4は自伝。5はこれを一般向けにかみ砕いたテレビ番組を書籍課したもの。1,2もなかなか深い)
1 瀬島龍三―参謀の昭和史 文春文庫
2 沈黙のファイル―「瀬島龍三」とは何だったのか 新潮文庫
3 大東亜戦争の実相 PHP文庫
4 幾山河―瀬島竜三回想録
5 瀬島龍三 日本の証言―新・平成日本のよふけスペシャル
「『南部仏印進駐は,対米英戦争を覚悟し,その準備と見通しが立つまではやるべきではない』との意見書を上司に提出した」
「(満州国の建設から)戦線を広げてはいけなかったのですよ。南へ行くのではなくて,国際情勢を活用して,カイライだのなんのと言われた満州国が国際的に認知されるよう努力すべきだった」
「憲法は『不磨の大典』と言っていないで,時代に即して直していくところは直していかないとね。その最大の教訓が,この明治憲法の統帥権ですよ」等,大本営の中枢部にいた瀬島氏の発言には独特の重みがある。
これらの発言を踏まえて思うのは,ひとつの国を良い方向へ導くためには,不惜身命の一念で最後まで責任をもって引っ張っていくリーダーが不可欠ということ。
明治政府の元老は,日露戦争を終結するために,ルーズベルトと大学の同窓だった金子伯爵をアメリカへ派遣して終戦工作をした,エース小村寿太郎を北京公使から外務大臣へ異動させる等総力を尽くしたといった有名なエピソードも,瀬島氏の口から語られると非常に感慨深い。一方,この戦争の結果獲得した満州の権益を守るために,満州事変へと進んでいったというのも皮肉な話だ。
省みるに自分自身「中堅」と言われて久しいが,どのような生き様をするのだろうか...
瀬島氏に関しては,以下の著作がある(4は自伝。5はこれを一般向けにかみ砕いたテレビ番組を書籍課したもの。1,2もなかなか深い)
1 瀬島龍三―参謀の昭和史 文春文庫
2 沈黙のファイル―「瀬島龍三」とは何だったのか 新潮文庫
3 大東亜戦争の実相 PHP文庫
4 幾山河―瀬島竜三回想録
5 瀬島龍三 日本の証言―新・平成日本のよふけスペシャル