和菓子は食べない。私にとって菓子といえば洋菓子だ。しかし,ヴァイブレーションの合う「パティスリー」(いつの頃から「洋菓子店」をこのように呼ぶようになったのだろうか?)とはなかなか出会えない。
以前に書いたかも知れないが,数年前に京都に住んでいた。そのとき,はじめて,パティスリーとの電光の走るような出会いがあった。
北大路を上がった
Pound Houseと北山通にある
マールブランシュである。
前者は,生クリームが絶品で,シンプルな苺ショートとミルクレープが絶対のお奨め。後者のモンブランは,栗のツブツブ具合とクリーミーさとが精妙なハーモニーを醸し出しており,これだけのモンブランはお目にかかったことがない。
京都といえば和菓子だが,これと凌ぎを削る洋菓子もかなりのレベルで,そのノーブルな味わいには,各店それぞれにいい味を出している。
京都へ行くなら,少し足を伸ばして,上賀茂神社へ行くついでにでも是非,その味を味わって欲しい。店構えはチープである。しかし,必ずやガイドブックだけでは分からない京都の奥の深さに出会えるはずだ(京都は,実は,明治以来,時代の最先端を行っているのです。今は,沈滞しているように見えますが,京セラ,任天堂,ワコール,堀場製作所等,かつてのベンチャーが目白押しであることからも明らか[ビジネスの話になると思わず力が入ってしまう
]。インクライン,南禅寺の水路閣をはじめとする琵琶湖疎水の歴史には,思わず涙してしまいます… 因みに,上賀茂神社へ行ったら,是非,有名な神馬堂のやきもちも食べて欲しい。)。
その後,東京へ転居したが,これまで,
French Pound House以外には,めぼしいパティスリーには出会わなかった。この店も,大和郷(やまとむら と読む)に在るだけあって,いい線を行っている。苺ショートとメロンショートはなかなかのものだし,生クリームもしつこくなく,かといって自己主張も忘れない適度な存在感がある。また,季節に合わせたバリエーションのある品揃えは魅力的だ。
が,どこか足りない…
そんな私が,今日,出会ったのが,「エーグル・ドゥース」(仏蘭西語で『甘酸っぱい』との意)。
JR目白駅から目白通を西へ(学習院とは反対側へ)約7~8分(東京都新宿区下落合3-22-13)。忽然と仏蘭西風の瀟洒な建物が現われる(この辺りは「暴走自転車」が多いので気を付けてね
)。
本日のお買いあげは,写真上段左から時計回りに,1「ポワール・ヴァン・ルージュ」,2「アニゼッタ」,3「(名前失念!)」そして,4「イヴォアリンヌ」。
1は,洋梨のムースを基本に,赤ワインを少し交えた上品な香りの一品。少し洋梨が勝ちすぎている嫌いもあるが,それもまた良し。
2は,チョコレートムース系のケーキであるが,驚いたのが,八角(恐らく)がブレンドされていた点。同居人と,「これ八角だよね!」と驚嘆しながらも相互確認したのでありました(間違えていたらごめんなさい)。店主は,「意味のないハーブ上乗せはしない」とのポリシーを持っているようで,この絶妙な八角との取り合わせは素晴らしい!
3は,チョコレートケーキ。デメルのザッハトルテをもう少しだけ濃厚にしたような味。洋酒の味が芳醇。
今日食べた中では,4が一番良かった。これは,これは,ホワイトチョコレートムースに,オレンジシロップの染みこんだビスキュイとが絶妙にマッチ。表面には焼きメレンゲがビッシリ貼られています。まったりとした甘い世界に思わずとろけそう。う~ん幸せ
エーグル・ドゥースは,元オテル・ド・ミクニのシェフで,
2003年クープ・ド・モンドで第2位を獲得したときのメンバーでもある,寺井則彦氏が,2004年2月にオープンしたパティスリー。
その味わいは,濃厚にして優雅(したがって,プレインな味わいが好きな人には合わないと思う。)。
目白という,パティスリー真空地帯(要するに,まともな店が殆どない)において,どれぐらい暴れ回るか楽しみである。
生きてて良かった!!
実は,上記のケーキのほかに,ケーク・キャラメルという焼き菓子も買った。これは明日のお楽しみ