LED照明、車試乗インプレッション、真空管アンプ、ミニ盆栽など

物作り、写真、車、自転車、漫画、アニメ、音楽など何でも興味があり、手を出しています。

iPhone8 先取り情報 有機EL(OLED)に未来はあるか?

2016-08-16 10:43:23 | パソコン

Appleが2018年に発売する予定のiPhone8はほぼ有機EL(OLED)で決まりのようだ。

これは現在、中小型向けのディスプレイが三星一社のみの生産に対し、部品の供給を3ベンダーから受けるAppleが他社に対して投資をさせている(もしくは自分が投資をしている)からだ。

具体的には、LGディスプレイ(すでにOLEDテレビ向けには生産中だが、中小型は生産していない)、JDI、Sharpあたりだろう。

まず一つ、ほとんどの大事な特許は三星、LGDが押さえている。

これは他社が参入する上で大きな障害だ。それほどOLEDガラス基板上の回路は複雑だ。

逆に言えば、まだ改善の余地があると言うことかも知れない。

しかし、材料は出光など日本メーカが押さえている。

さて、LCD(液晶)と比べて実際どうなのか?

まず単体でスマホ用のFHD液晶を見ると、メーカにも寄るがHD720とは比べものにならないくらい綺麗である。ただ開口率が下がった分、少し暗めに見えるか、バックライトの消費電力を上げるかの選択になる。

これでも十分と思ってOLEDを見ると、その鮮やかさとコントラストの高さに圧倒される。

慣れも必要だが、私には鮮やかすぎて目に突き刺さるぐらいだ。

これなら皆OLEDに移行すべきだ、となるのだがそうはいかない事情がある。

(1)発光素子が電流駆動でばらつきが大きいので個々に補正する必要がある=テストコストが高い+ドライバが高い+歩留まりが悪い。さらに悪いことにドライバに搭載しているRAMは補正用となり、表示に使用できなくなる。よっていつも表示データを送り続ける必要があることより、結局消費電力が大きくなる。

(2)駆動電圧がLCDより若干高い。=消費電力が不利+ドライバに信頼性が低くなる、プロセスが高い(流用が効かないからだ)。

(3)一番の問題はそもそも経年劣化が激しい。=有機材料の改善によりある程度押さえられるかも知れないが、1年前のGALAXY S6を持っている知り合いがいたら、グレーのベタ画像を出してみるとよく解る。時計のところが画が焼き付いてしまっている。ちなみに自然画ではほとんど解らないが。

(4)湿度に弱い。=高温にも弱いかも知れないが湿度にも弱い。ガラス端の処理が難しい。よって今のところ車に採用されていない。

 

(3)についてはOLEDの寿命は3万時間と書いてあるところもあるが、それは1画素で見た時の多分輝度半減で見た時の話で、全体で見るに堪えなくなるのはもっと(LCDと比べると極端に)早いと言うこと。

そもそもR・G・Bの経年劣化のスピードが違うので、三星方式では1~2年でまず青が劣化し色がマゼンタ寄りになってしまう。

スマホを1~2年で買い換える人には問題ないかも知れないが、中古としては安く買いたたかれるだろう。

ましてや10年使用するTVには使えない。そこでLGディスプレイのパネルは全色白色発光にカラーフィルタを載せている。

でもこれではせっかくの直接発光の意味が薄れるし、経年変化が大きいことには変わりが無い。

そもそも白色LEDという物は無いので、青色ダイオードに黄色の蛍光体を使用する。直接発光よりさらにうまみが少なくなる。

では、液晶(LCD)は焼き付かないのだろうか?

液晶は焼き付かないように交流駆動をしているが、その基準電圧がずれれば液晶のねじれが戻らなくなり、焼き付いてしまう。普通は、出荷時に調整されてくるので問題ないはず。というのも、最近安いプロセスで作られたパネルに基準電圧値に経時変化があるものがある。

ただ、LCDの場合、焼き付いたら軽度の場合は全白を表示してしばらく放って置けば元に戻る。(ノーマルブラックのパネルの場合)

ということでここまでそれぞれのパネルの特徴を書いてきたが、どちらにするかは商品企画によるところが大きいので、セットメーカが決めることではあるが、使う側からしてみれば10年経っても使えるのはどちらかな?

液晶も有機材料なので有機だから悪いと言うことでは無いのかも知れないが、今後のトレンドとしてOLEDの後のマイクロLEDが期待されるところだ。ただし、照明用もそうだがLEDは熱との戦いだ。

発熱すれば極端に寿命が短くなる。

LCDは製造装置があれば中国の政府主導の新興メーカでもできてしまうほど既に安定時期だが、おかげでパネルが安くメーカとして採算が取ることが難しくなっているのが実情だ。もちろんプロセス技術が必要だが、マスクは10枚にも満たないのでやることは限られている。(片MOSの場合)

 

ここまで読んでいただいてiPhone8がOLEDになったら魅力が増すと思いますか?

ただ間違いなくAppleがOLEDを採用すると余剰ラインが発生し、パネルメーカは苦しみながらそれを中国、インドの廉価スマホ用に供給を始めるだろう。

ここまで来るとパネルメーカの淘汰が始まり、逆にAppleは安定的にパネル供給を受けることが難しくなるだろう。

いまやスマホの部品メーカはAppleに依存しない体質にすべく変革の途中である。技術と人だけ吸い上げられて仕事が来なくなるからだ。そういう契約させられるからだ。

Fabを持たないAppleが技術を得るのにはそうするしか無いのかも知れないが、付き合わされてきたメーカはうんざりしている。

iPhone8で新しい価値が創造できなかったら出荷量が大風呂敷を広げた数に届かないと、Appleは部品メーカから見放され、身動きが取れなくなると思う。

そしてやはり新しい価値はOLED採用にあらずと言える。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿