気の置けない仲間とはなんて素晴らしいんだろう!
僕は大学の友人らと二十数年ぶりに新宿に集った。
へべれけに酔って吐きまくっていた青春の日、そこはあいも変わらず
僕らを待っていた。
ちょっと気取って文学を論ずるわけでもなく
ただただ今の痛み、懊悩を癒すかのように
僕らは酔おうとしていたのか 過去 その時代・・・
君たちは少し変貌を遂げ、あるいは風格を帯び
確実に良い時代の変遷をなぞってきた
けれどそれは紡ぐのとは違う何かに身を投じようとしただけ
いつしか深い係わり合いの中に埋没して
無機質な痛みに声を張り上げて泣くのではなく
静かに ただ静かに声を殺して嗚咽に似た感情を吐露するのであろう
ちょっとわけがわからなくなってきたけれど
僕たちは新宿西口の「鳥園」で祝杯をあげた。
いままで良く生きてきた、そしてあまりもの懐かしさに泣きそうになった。
焼き鳥やホッケをほおばりながら生で喉を潤し、あとはお酒、互いに注ぎつ注がれつを繰り返す。
屈託のない、喜びが自然とこみ上げてくる再会であった。
次の日、明治大学対早稲田大学の現在での国立競技場では最後の戦い。
久しぶりに明治の怒涛の攻撃を目の当たりにした。
倒されても倒されても食い下がる明治魂を見た。
惜しむらくも僅差で敗北したが、そんなことどうでも良かった。
みんな昔の学生がフラッグを振りながら応援したことに価値があるのだ。
4万人以上の観客が場の雰囲気を盛り立てた。
両チームともよく戦ったと思う。
また観たい! そんな期待感を匂わすような好ゲームであった。
試合が終わり、ユーミンがノーサイドで締めくくってくれた。
僕らは来年以降の再会を約束してそれぞれの道にまた進んでいった。