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僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

ホタルの熱(森浩美)を読んで

2010-06-08 22:09:57 | Weblog
家族の言い訳の中の短編「ホタルの熱」を読んだ。





親会社が倒産し、電気設備の店が行き詰まり夫婦間の喧騒が絶えなくなった。
夫は居場所のない家から逃れるように蒸発した。
残された主人公はスーパーのパートの働き口を見つけるが、息子の頻繁な発熱により仕事を途中で抜け出さざるを得なかった。そのせいで働き口を解雇される。

彼女の心の奥で最後の糸がプツリと切れた。

遠い場所に行くために南伊豆に子どもと二人旅に出た。
けれど息子の急な発熱により途中下車する。不思議な縁で出会った鄙びた民宿の女将に彼女の心は静かに変化していくのだ。

女将さんの娘は結婚したが子どもが出来ず、旦那に浮気されそっちの相手に赤ん坊ができたのを逆上して旦那を刺してしまい罪を償っていると打ち明けてくれた。また自分の旦那は大酒のみで早くに死んだから気苦労しなかったけど残された自分が死んじゃいたいぐらいだと心境を吐露する。
主人公は女将さんに自分の境遇を重ね救われた気持ちになっていく。

不意に民宿の窓の外にホタルが暗闇をよぎる。
それを見た女将さんは
「人間様の寿命もホタルみたいに二週間くらいしかなかったら、悲しいこともあっという間に終わっちゃうんだろうけどね」と話す。

「でもしょうがないよね、人間様に生まれちゃったんだから。ま、ホタルに負けないように辛くても寿命がくるまで一生懸命生きなくっちゃね、辛いことばかりでもないし……」
とさらに話してくれた。


部屋の明かりを落としてから主人公の母と息子の駿の話が続く。

「パパはさ、ボクが嫌いだから帰って来ないのかなぁ?」
「パパが駿のこと嫌いなわけないじゃない」

「ママは……ボクのこと……好き?」
「……うん」
「じゃあ…ずっと…一緒に…いてくれる?」
「当たり前じゃない」

「ボクさ…今度生まれてくるときは元気な子に生まれてくるから…そうしたらまた…ママがボクを産んでくれる?」

主人公の奥底に溜まっていた様々な感情が堰を乗り越え凄い勢いで溢れ出してきた。

「ああああ、駿、ごめん、ああああ」
泣き声を聞きつけた女将さんが慌てて部屋に飛び込んできた。

「ああああ、女将さん、ああああ」

「泣けばいい、いっぱいいっぱい泣けばいい」

主人公の身体から濁った水が流れ出し、そのぽっかりと空いた場所に温かい塊が生まれてくるのが分かった。

死のうとする悲壮な決意が熱を出して苦しんでいる息子を目の当たりにして無力になっていく。辛く悲しい経験を胸に秘めてはいるが精一杯生きようとする女将さんの話で、死という重大な決意が融解していく。
悲しい話のはずなのに不思議と心が晴れ渡ってくる。海辺の町に向う電車のガタンゴトンという音、民宿から聞こえる波のざわめき・・・今少しずつ景色が動き始めた。

愛はきらめきの中に/ビー・ジーズ

2010-05-31 17:10:11 | Weblog



How Deep is Your Love
(Bee Gees)

I know your eyes in the morning sun
I feel you touch me in the pouring rain
And the moment that you wander far from me
I wanna feel you in my arms again


And you come to me on a summer breeze
Keep me warm in your love and then softly leave
And it's me you need to show ....


How deep is your love? (how deep is your love?)
I really need to learn
'Cause we're living in a world of fools
Breaking us down
When they all should let us be
We belong to you and me



I believe in you
You know the door to my very soul
You're the light in my deepest darkest hour
You're my saviour when I fall
And you may not think
I care for you
When you know down inside
That I really do
And it's me you need to show ....

How deep is your love? (how deep is your love?)
I really need to learn
'Cause we're living in a world of fools
Breaking us down
When they all should let us be
We belong to you and me


君は僕の魂の扉
うちひしがれるときも
君は僕の灯り
僕の心の支え

君がどれ程僕を想っているか
それだけが知りたいんだ

こんなくだらない世の中だけど
そっとしてほしい
二人で居られれば
他に何もいらない・・・


映画「サタデーナイト・フィーバー」のエンディングで流れていた曲です。

兎汁、桜飯

2010-05-29 22:55:07 | Weblog
池波正太郎の鬼平犯科帳には多くの料理屋と名物料理が出てきます。
「万七」は長谷川平蔵のお気に入りで「兎汁」を食べています。




京橋の東詰を北へ行った大根河岸に[万七]という小体(こてい)な料理屋がある。
[万七]の名物は、兎(うさぎ)の吸物であった。
・・・名物の兎の吸物は、淡泊な兎肉の脂肪が出し汁にとけあい、なかなかに美味である。


当時、四足の動物は禁忌(タブー)の食べ物とされ、苦肉の策として兎肉を鳥肉として食べたのです。だから今でも兎は一羽二羽と数えるのですね。他に猪肉を山鯨と称して食べていたようです。


「万七」では他に「桜飯」が登場します。これは章魚(タコ)を茹でて赤くなったのを薄切りにして、酒と醤油でご飯を炊き込んだ料理らしいです。
これを魚の刺身で食べたと作品には出てきます。

美食家だった池波氏らしく食べ物への興味は尽きないみたいで、時代考証も正確にたくさんなされた苦労が窺い知れます。

昔の慣わし

2010-05-15 14:34:29 | Weblog
中学生の時、駅伝の代表選手に選ばれました。
本番当日、なぜか体が重くだるい。当時は「水は飲むな!」という迷信が跋扈していましたので、それを只管遵守した結果炎天下のマラソンで体が悲鳴をあげてしまった訳です。

はたまた卓球部の練習で今では悪名高き「うさぎ跳び」を延々とした記憶があります。
けれど不思議と膝がやられることもなく今日に至っております。

また、マラソン練習の時、隣を並走する、長距離得意のM君の呼吸法を観察すると
一回空気を吸って、一回吐く「スーハー、スーハー」の繰り返しです。
私はというと二回吸って、二回吐くというリズムで走っていました。
彼の真似をすれば早く走れるかな?と思って私も「スーハー、スーハー」と走ってみたのですが、だんだん息苦しくなるのです。
私にとってこの呼吸法はとても忙(せわ)しなく、一回こっきりの真似で終わってしまいました。

だからなんだってこともないのですが、迷信がまかり通ったり、良いと思って真似してかえって逆効果だったり青春とはある意味無駄なことの積み重ねで推移していくものだなあというお話でしたチャンチャン

海鮮弁当

2010-05-13 23:13:44 | Weblog
妻が大北海道展で海鮮弁当を買ってきてくれました


蟹、イクラ、サーモン、ホタテ、ホッキ貝など北海の幸がふんだんにのっています。


イクラの代わりのウニバージョンです。

旨かったで~す

デザートは洋菓子アリスのシュークリーム

生クリームたっぷりで美味しかったです