前回の日本公演を聴かせて頂いたのは、改装前の東京芸術劇場でした。
2010年11月5日のことです。
あれから、3年。
再び、あのサウンドを味わえるかと思うと楽しみでなりません。
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団。
私が吹奏楽部員であった中学生のころから知っている団体です。
そして、憧れの対象でもありました。
創団165年を迎えたとのこと。
歴史と伝統と、また、それに見合ったサウンドを持った吹奏楽団です。
今回は首都圏で開催される公演のうち、仕事と演奏曲目とを考慮して、みなとみらいホールで行なわれた演奏会を聴かせて頂きました。
2013年11月4日、横浜クイーンズスクエアは連休の最終日ということもあり、多くの人出で賑わっておりました。
いわゆる「横浜みなとみらい21」地域に存在するこのクイーンズスクエアは、みなとみらい線みなとみらい駅と直結しており、ショッピングはもとよりホテル、レストラン、多目的ギャラリーを有する大型複合商業施設です。
その中に“みなとみらいホール”はあります。
大ホールは、客席数2020席を誇る音楽専用ホールです。
他のホールだと、開演を知らせるチャイムやブザー音だったりするのですが、このホールは“ドラ”の音ですね。(もちろん録音した音ですけど。)
港町らしい風情で、素敵な演出ですね。
さあ、ホール内に“ドラの音”が響きわたりました。
まもなく、開演です。
[演奏]パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団
(Orchestre d’Harmonie de la Garde Républicaine)
[指揮]フランソワ・ブーランジェ
(François Boulanger)
● 道化師の朝の歌 (M.ラヴェル)
● ディオニソスの祭 op.62 (F.シュミット)
● 魔法使いの弟子 (P.デュカス)
【休憩】
● トランペット協奏曲 (H.トマジ)
第1楽章 速く
第2楽章 夜想曲/アンダンティーノ
第3楽章 フィナーレ/アレグロ
[トランペット独奏]エリック・オービエ
(Eric Aubier)
● 亡き王女のためのパヴァーヌ (M.ラヴェル)
● バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲 (M.ラヴェル)
夜明け~パントマイム~全員の踊り
ギャルドの演奏を聴かせて頂くのは3年ぶりですが、首席指揮者フランソワ・ブーランジェ氏は1年に一回は指揮をされている姿を拝見させて頂いております。
と言うのも、昨年から国立音楽大学ブラスオルケスターの定期演奏会に伺っているのですが、その公演の指揮者として5年前から、ブーランジェ氏を迎えているからです。
(国立音楽大学ブラスオルケスターは、“パリ・ギャルドの伝統をくにたちの響きで”というテーマで活動されております。ギャルドのサウンドが大好きな私にとって、この試みは大変、嬉しい限りで、また国立音大の皆さんも素晴らしい音色で観客を魅了して下さいました。)
今年は“2回”も“お目にかかれる”なんて素晴らしいことですね。
余談が長くなりました…。(スミマセン)
まずは前半の演奏からです。
1曲目(ラヴェル)と3曲目(デュカス)は、さすがフランスものの作品だけあって見事な演奏でした。
久し振りに聴くギャルドの音色でしたが甘く透明感のあるそのサウンドは、素晴らしいのひとことです!
表現力の豊かさに圧倒されました!
そして、2曲目の「ディオニソスの祭」。
1913年にフランス人作曲家、フローラン・シュミットによってギャルドのために作られたオリジナル作品です。
吹奏楽をやる人間だったら、知らぬ者のいないくらいの古典的名曲ですね。
実際の演奏と言う点でも、歴史的な観点でも“ホンモノ”の演奏でした。
休憩中、ホワイエ内を見渡してみますと、この日の観客の皆さんは、ご年配の方がけっこういらっしゃいます。
さすが歴史ある吹奏楽団です。
古くからのファンも相当おられるのでしょうね。
後半の最初は、トランペット協奏曲。
この曲は、先程も少し触れさせて頂きました今年7月の国立音大の演奏会で聴く機会がありました。(指揮者は、ブーランジェ氏でした。)
その時の独奏者はアンドレ・アンリ氏でしたが、今回はエリック・オービエ氏。
かのモーリス・アンドレの弟子で、輝かしい履歴を持ち、かつ指導者としても偉大な活躍をされている方のようです。
曲も起伏にとんだ部分があったり、幻想的雰囲気を感じさせたりの面白い曲です。
特にミュートが頻繁に使用するのが、興味深い。
そして、その難曲をオービエ氏は見事な演奏で彩ってました。
明るい音色とフットワークの軽さ、表現力に脱帽です。
次に弦楽器にも負けないような響きで「亡き王女のためのパヴァーヌ」をしっとりと歌い上げたあとは、トリの曲、「ダフニスとクロエ」です。
3年前の日本公演でも、この曲を演奏しました。
素晴らしかった。
だから、もう一度聴けるのは、とても感激です。
“夜明け”の細かい動きから、華やかな“全員の踊り”まで、私は“音楽”にのめり込んでしまいました。
色彩すら感じるパフォーマンスです。
やっぱり、この甘くて色気のあるサウンドは、いつ聴いても素晴らしい。
どうやったら、あんな音が出るのか、知りたいものです。
個人的に大満足の演奏でした。
大歓声の中でアンコールです。
アンコール曲は以下の通りです。
大盛況のうちにコンサートは終わりました。
1年に一度くらいギャルドの演奏を聴ければいいのにと思いながら、家路につく浦和のオヤジでした。
またの日本公演を強く希望します!