浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

NHK交響楽団 第1740回定期公演(11月Cプログラム)

2012-11-19 01:09:49 | オーケストラ

平成24年11月16日、金曜日。NHKホール。
本日は、第1740回定期公演Cプログラムを聴かせて頂くために訪れました。
NHKホールといえば最後に来たのは何年前になるのだろう?
もう、20数年以上前ですね、多分。
昭和48年の落成との事ですので来年が40周年なのでしょうか?
座席数が3601席。
かなり、大きなホールです。
やはり、このくらいのキャパのホールが問題になるのは「響き」ですね。
ネットとかで見ていますと「響く」「響かない」と両方の意見の方がいらっしゃるようで、実際自分の耳で確かめるのが一番だと思いました。

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本日の指揮は、エド・デ・ワールト氏。
1941年生まれのオランダ人の方です。
現在、ミルウォーキー交響楽団の音楽監督、ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者をされていらっしゃるとのことです。
このマエストロがN響とのコラボでどんなパフォーマンスをみせて頂けるか非常に楽しみです。

本日の演目は、後期ロマン派音楽の代表作のひとつとも言われている、あの交響曲です。

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● 交響曲第8番 ハ短調(ノヴァーク版)    ヨーゼフ・アントン・ブルックナー

80分を超えることも多い大曲です。
最近、なぜだか私が気になっている曲のひとつでよく聴いています。
本日の演奏会に訪れたのも曲名に惹かれたという部分も大です。

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開演前にちょっとしたハプニング。
私のような貧乏人は身分相応な下手(しもて)側3階席に陣取っておりました。
まもなく開演という時間に2階席あたりで拍手がおこりましたので、何事かと下の階を覗き込んでみますと、何と皇太子殿下がお見えになっていらっしゃるではありませんか!
(拍手は殿下がホール内にご入場の時におこったものだと思われます。)
演奏会終了後も多くの観客がホール入口で殿下を“出待ち(でまち)”していました。
恥ずかしながら、私も、その群集のひとりとなり、殿下をお待ちした次第。
一応、写真は撮ったのですが、スマホでの撮影です。
いつも演奏会の時には、必ず持参しているデジタルカメラを忘れたからでした。
その上、殿下からの位置が遠く、スマホの未熟な撮影機能で誰だかわからない写真になってしまったのが残念です。
一応、写真を掲載しときますけど…。
(中央より少し右側、白髪の方の挨拶を受けられていらっしゃるのが殿下です。)

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閑話休題。
演奏は素晴らしいものでした。
ブルックナーの荘厳感が感じられてとても良かった。
私がよくCDで聴いている“8番”より格調高く聴こえました。(よく聴いているのは、ウィーンフィル、カール・ベームのヤツなんですが…。)
やっぱり、“生”演奏は、いいですねぇ。
オーケストラの音を聴きなれていない私にも非常に美しく聴こえました。
特に弦楽器はアインザッツが合ってないだの、アンサンブルに乱れがあるだの、(私が今まで聴いていた)そんな低次元の話とは別次元の世界でした。
全てのリズムが完璧に揃っていて、各個人の音質が融合しているから、まるで一本の楽器のように聴こえます。
そして、それを支える管楽器群も音が弦楽器に溶け合っていて一体感がありました。
私が日頃聴いている吹奏楽の“音”とは全く違います。
打楽器も非常に上品に感じました。
オーケストラにド素人の私は、こんなふうに考えてしまいました…。

ただ、ひとつだけ。
これはN響の演奏とは関係ない事だとは思うのですが、ほんの少しだけ音量に距離感を感じました。
フォルテシモは、フォルテシモに聴こえるのだけれども、遠くで鳴らしているように感じる瞬間がありました。
やっぱり、ホールが響かないのか?
私のいた舞台から遠く離れた席が悪いのか…。

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私が大昔、中高生で吹奏楽部員だった頃。
交響曲といえば、チャイコフスキーやショスタコーヴィッチを思い浮かべました。
なぜなら、吹奏楽に編曲されてコンクール等で演奏する団体が多くあったからです。
しかし、その当時はどの世代でもベートーベンの交響曲人気がイチバンだったように思います。
しかし、10代だった私はベートーベンの交響曲を好きになれなかった。
その時は、わかりませんでしたが、最近になって、その理由らしきものが、やっとわかるようになりました。
ラヴェルが猛烈に好きであった私には、ベートーベンのオーケストレーションが物足りなかったのだと思います。
ラヴェルの華やかな楽器の使い方に比べて地味なこと…。
それでも、高校生くらいになってくるとブラームスの交響曲は受け入れられるようになりました。
そして、そこからブルックナー、マーラーと進んでいくのが普通なのでしょうが、若者であった私には、あまりにも“重い”音楽でした。(それに一般人には当時、ブルックナーだのマーラーというのは少し、“マイナー感”があったように思います。)

あれから、30年。(同郷の「綾小路きみまろ」みたいですが…。)
やっと、ブルックナーやマーラーを受け入れる事ができるようになりました。
というか、他のものより好きになってしまったのかな…。

今回はオーケストラのフルの生演奏を聴かせて頂き、本当に幸せなひと時でした。
吹奏楽中心になるとは思いますが、これからも楽しく“音楽”を楽しめたらなと思います。

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追記

今回のテーマとは全然、関係ない事ですが書かせて頂きます。
さる11月14日、ブリヂストン吹奏楽団久留米の指揮者、塩谷晋平先生が亡くなられました。
塩谷先生といえば、1980年代から90年にかけて関東一高吹奏楽部の黄金期を作られた吹奏楽ファンなら、知らぬ人がいないほど有名な方です。
先日も宇都宮文化会館で開催された全日本吹奏楽コンクール、職場一般の部でブリヂストン吹奏楽団の皆さんと出場され、エネルギッシュな名演で金賞を獲得されたばかりだったのに…。(私も観客席で生演奏を聴かせて頂きました。)
今年から、ブリヂストン吹奏楽団久留米の指揮者になられ、ブリヂストンは、これからも安泰だなと思っておりました。
そこに、この訃報です。
私は、もちろん面識もない路傍のオヤジですが、一吹奏楽ファンとして、心よりご冥福をお祈り申し上げます。