2月24日から始まったロシアのウクライナ侵略に対し、熊本市議会は、3月7日に厳しく抗議し、即時の攻撃停止・無条件での完全撤退を求める「決議」を全会一致で可決しました。
日本共産党市議団として、賛成討論を行いました。
今回は、討論の「全文」を紹介します。
発議第1号「ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議」(案)に対し、賛成の理由を述べ、討論を行います。
はじめに、ロシアによるウクライナ侵略で犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、爆撃によって被害を受けられたすべてのみなさまに心からのお見舞いを申し上げます。
2月24日から始まったロシア連邦のウクライナへの侵攻は、まぎれもない侵略行為であり、絶対に許されるものではなく、厳しく糾弾されなければなりません。
侵略はウクライナ全土に及び首都キエフも攻撃され、軍事施設に止まらず、一般の施設も攻撃していますが、3月4日には、ウクライナ南部ザポロジエにあるウクライナ最大の原発関連施設への砲撃も行われ、一部が破壊されました。万が一にも原子炉が破壊されれば、福島原発やウクライナのチェルノブイリ原発の重大事故をはるかに超える放射能による世界規模の大惨事につながる危険もあり、まさに人類全体の生存を脅かす犯罪行為となります。こうした危険極まりない攻撃もまた厳しく糾弾されなければならないとともに、ただちに中止するよう求めるべきです。
これらの攻撃によって、民間人を含む多数の人々が犠牲になる痛ましい状況が日々繰り広げられています。そして、多くの難民を生む現状もあります。3月3日にスイスのジュネーブにある国連欧州本部で開かれた国連人権理事会では、バチュレ国連人権高等弁務官が、「数千万人のウクライナ人が、潜在剤的に死の危険にさらされている」と警告しています。
第1に、今回のロシアによるウクライナ侵略は、独立国であるウクライナの主権と領土を侵し、主権の尊重・領土の保全・武力行使の禁止を定めた国連憲章及び国際法を踏みにじる、まぎれもない侵略行為であり、明確な違法行為です。プーチン大統領は2月24日の演説で、「今回の軍事行動はウクライナ東部地域の『要請』を受けたもので、国連憲章51条の「集団的自衛」だ」と主張しました。しかし、ウクライナ東部地域は、ロシアが一方的に「独立」を承認した地域であり、一方的に「独立」を認めた地域・集団との「集団的自衛」などありえず、国際法上まったく根拠がない暴論であると言わなければなりません。プーチン大統領はまた、「ウクライナの『脱軍事化、脱ナチス化』を進める」とも述べましたが、東部にとどまらず、ウクライナ全土でロシア軍による軍事侵略を展開している状況を見るならば、ロシアの行為は、ウクライナを独立国・主権国家と認めない態度であり、厳しく非難されるべきものです。
いずれにしても、プーチン大統領の主張には一片の道理もなく、侵略戦争を合理化しようとする考えは、国際的に全く通用しないものです。
第2に、プーチン大統領は、この侵略行為にあたって、ロシアが核兵器大国であることを誇示し、欧米の批判や制裁の動きに対抗する姿勢を見せ、演説で「攻撃されれば核兵器でこたえる」と述べましたが、これは核兵器の先制使用を公言するものです。さらに、2月27日には、ロシアの核抑止部隊に「特別警戒体制」も発令されました。このように、核兵器で世界の諸国を威嚇し、核兵器の使用すらも辞さない態度は、今日の国際社会において、決して許されるものではありません。
昨年2021年1月には、「核兵器禁止条約」が50ヵ国の批准を得て発効しました。現在59カ国が批准し、国際法上も核兵器の違法性が確定しています。ロシアの核兵器による威嚇に対し、核兵器禁止条約の成立に尽力してきたアイルランドやメキシコなどの13ヵ国が、3月1日に共同声明を発表し、「核兵器禁止条約は、核兵器のいかなる使用も威嚇も明確に禁じている」とロシアを強く非難しました。また、広島・長崎を体験した日本は、世界で唯一の戦争被爆国です。被爆者はじめ、多くの国民が、ロシアに対し、「核兵器による威嚇は絶対に許さない」という声をあげているのは、当然のことであり、国や自治体もまた、ロシアの核による威嚇に対し、厳しく抗議すべきであります。
同時に、核による威嚇が公然と行われる、その大本には、核兵器の存在・保有があるからにほかなりません。長年にわたり、被爆者のみなさんが身をもって訴えて来られた「人類と核兵器は共存できない」、その実現のためには、人類を破滅へと追い込む核兵器を地球上からなくしていくこと、「核兵器禁止条約」への世界各国の参加を拡げていくことが必要です。このことも、ロシアのウクライナ侵略から明らかになったと思います。実現に向け、取り組む決意です。
第3に、ロシアのウクライナ侵略をやめさせるためには何が必要か、効果的な経済制裁と同時に、世界の世論が「ウクライナ侵略止めよ」「国連憲章を守れ」の声で、ロシアを包囲することです。今、侵略国であるであるロシア国内でも「戦争反対、撤退」の声が広がっています。世界中の国々の政府・国民が声をあげています。現地時間の3月2日にニューヨークの国連本部で、ウクライナ情勢に関する国連総会特別緊急会合が開かれ、ロシアによるウクライナ侵略を国連憲章違反と断定し、ウクライナでの武力行使の禁止、「軍の即時・完全・無条件撤退」をロシアに求める非難決議を圧倒的多数で採決しました。決議の提案国は日本を含む96ヵ国にのぼり、賛成したのは国連加盟国193ヵ国の7割を超える141ヵ国でした。2014年のウクライナ南部クリミア半島のロシア併合を無効とする国連総会決議での賛成は100カ国であり、それを大きく上回る賛成となった今回の決議は、たいへん画期的なものであり、ウクライナへの一方的な軍事侵略は許さないという国際社会の確固たる意思を表明するものとなりました。そして、「国連憲章こそが大事」ということが世界の声となったことは、極めて重要であると考えます。
ロシアが侵略行為をやめてウクライナから直ちに撤退するとともに、こうした流れをさらにすすめていくためにも、それぞれの国の政府・国民、そして議会でも、さまざまな手段によって、より一層「侵略止めよ」「国連憲章を守れ」の声を急ぎ広げていかなければなりません。そういう意味で、今回、熊本市議会において「ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議」を可決することは意義あることと考えます。
国会では、3月1日の衆議院本会議で、翌2日の参議院本会議で、それぞれ「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議」が議決されました。
国際社会の世論の包囲によって、一刻も早く、ロシアがウクライナ侵略をやめ、世界の平和秩序が回復することを願い、賛成討論と致します。
日本共産党市議団として、賛成討論を行いました。
今回は、討論の「全文」を紹介します。
発議第1号「ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議」(案)に対し、賛成の理由を述べ、討論を行います。
はじめに、ロシアによるウクライナ侵略で犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、爆撃によって被害を受けられたすべてのみなさまに心からのお見舞いを申し上げます。
2月24日から始まったロシア連邦のウクライナへの侵攻は、まぎれもない侵略行為であり、絶対に許されるものではなく、厳しく糾弾されなければなりません。
侵略はウクライナ全土に及び首都キエフも攻撃され、軍事施設に止まらず、一般の施設も攻撃していますが、3月4日には、ウクライナ南部ザポロジエにあるウクライナ最大の原発関連施設への砲撃も行われ、一部が破壊されました。万が一にも原子炉が破壊されれば、福島原発やウクライナのチェルノブイリ原発の重大事故をはるかに超える放射能による世界規模の大惨事につながる危険もあり、まさに人類全体の生存を脅かす犯罪行為となります。こうした危険極まりない攻撃もまた厳しく糾弾されなければならないとともに、ただちに中止するよう求めるべきです。
これらの攻撃によって、民間人を含む多数の人々が犠牲になる痛ましい状況が日々繰り広げられています。そして、多くの難民を生む現状もあります。3月3日にスイスのジュネーブにある国連欧州本部で開かれた国連人権理事会では、バチュレ国連人権高等弁務官が、「数千万人のウクライナ人が、潜在剤的に死の危険にさらされている」と警告しています。
第1に、今回のロシアによるウクライナ侵略は、独立国であるウクライナの主権と領土を侵し、主権の尊重・領土の保全・武力行使の禁止を定めた国連憲章及び国際法を踏みにじる、まぎれもない侵略行為であり、明確な違法行為です。プーチン大統領は2月24日の演説で、「今回の軍事行動はウクライナ東部地域の『要請』を受けたもので、国連憲章51条の「集団的自衛」だ」と主張しました。しかし、ウクライナ東部地域は、ロシアが一方的に「独立」を承認した地域であり、一方的に「独立」を認めた地域・集団との「集団的自衛」などありえず、国際法上まったく根拠がない暴論であると言わなければなりません。プーチン大統領はまた、「ウクライナの『脱軍事化、脱ナチス化』を進める」とも述べましたが、東部にとどまらず、ウクライナ全土でロシア軍による軍事侵略を展開している状況を見るならば、ロシアの行為は、ウクライナを独立国・主権国家と認めない態度であり、厳しく非難されるべきものです。
いずれにしても、プーチン大統領の主張には一片の道理もなく、侵略戦争を合理化しようとする考えは、国際的に全く通用しないものです。
第2に、プーチン大統領は、この侵略行為にあたって、ロシアが核兵器大国であることを誇示し、欧米の批判や制裁の動きに対抗する姿勢を見せ、演説で「攻撃されれば核兵器でこたえる」と述べましたが、これは核兵器の先制使用を公言するものです。さらに、2月27日には、ロシアの核抑止部隊に「特別警戒体制」も発令されました。このように、核兵器で世界の諸国を威嚇し、核兵器の使用すらも辞さない態度は、今日の国際社会において、決して許されるものではありません。
昨年2021年1月には、「核兵器禁止条約」が50ヵ国の批准を得て発効しました。現在59カ国が批准し、国際法上も核兵器の違法性が確定しています。ロシアの核兵器による威嚇に対し、核兵器禁止条約の成立に尽力してきたアイルランドやメキシコなどの13ヵ国が、3月1日に共同声明を発表し、「核兵器禁止条約は、核兵器のいかなる使用も威嚇も明確に禁じている」とロシアを強く非難しました。また、広島・長崎を体験した日本は、世界で唯一の戦争被爆国です。被爆者はじめ、多くの国民が、ロシアに対し、「核兵器による威嚇は絶対に許さない」という声をあげているのは、当然のことであり、国や自治体もまた、ロシアの核による威嚇に対し、厳しく抗議すべきであります。
同時に、核による威嚇が公然と行われる、その大本には、核兵器の存在・保有があるからにほかなりません。長年にわたり、被爆者のみなさんが身をもって訴えて来られた「人類と核兵器は共存できない」、その実現のためには、人類を破滅へと追い込む核兵器を地球上からなくしていくこと、「核兵器禁止条約」への世界各国の参加を拡げていくことが必要です。このことも、ロシアのウクライナ侵略から明らかになったと思います。実現に向け、取り組む決意です。
第3に、ロシアのウクライナ侵略をやめさせるためには何が必要か、効果的な経済制裁と同時に、世界の世論が「ウクライナ侵略止めよ」「国連憲章を守れ」の声で、ロシアを包囲することです。今、侵略国であるであるロシア国内でも「戦争反対、撤退」の声が広がっています。世界中の国々の政府・国民が声をあげています。現地時間の3月2日にニューヨークの国連本部で、ウクライナ情勢に関する国連総会特別緊急会合が開かれ、ロシアによるウクライナ侵略を国連憲章違反と断定し、ウクライナでの武力行使の禁止、「軍の即時・完全・無条件撤退」をロシアに求める非難決議を圧倒的多数で採決しました。決議の提案国は日本を含む96ヵ国にのぼり、賛成したのは国連加盟国193ヵ国の7割を超える141ヵ国でした。2014年のウクライナ南部クリミア半島のロシア併合を無効とする国連総会決議での賛成は100カ国であり、それを大きく上回る賛成となった今回の決議は、たいへん画期的なものであり、ウクライナへの一方的な軍事侵略は許さないという国際社会の確固たる意思を表明するものとなりました。そして、「国連憲章こそが大事」ということが世界の声となったことは、極めて重要であると考えます。
ロシアが侵略行為をやめてウクライナから直ちに撤退するとともに、こうした流れをさらにすすめていくためにも、それぞれの国の政府・国民、そして議会でも、さまざまな手段によって、より一層「侵略止めよ」「国連憲章を守れ」の声を急ぎ広げていかなければなりません。そういう意味で、今回、熊本市議会において「ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議」を可決することは意義あることと考えます。
国会では、3月1日の衆議院本会議で、翌2日の参議院本会議で、それぞれ「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議」が議決されました。
国際社会の世論の包囲によって、一刻も早く、ロシアがウクライナ侵略をやめ、世界の平和秩序が回復することを願い、賛成討論と致します。