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若い頃に電気探査による活断層調査に動員されたことがあります。東大地震研究所を中心に関係機関や大学が参加して年次計画で全国の活断層を調べるプロジェクトで、埼玉県の櫛挽断層だったと思いますが秋の稲刈りの済んだ見通しの良い田圃でシュランベルジャー法での電気探査が実施されました。
これは直線上の両端に電極を埋めて地面に直流電流を流し,その間で別に埋めた電極間に生ずる電位を測定すると地下の見掛比抵抗が分かるというもので、電極間のスパンを長くすることでより地下深くの情報が得られます。この時は2kmまでスパンを伸ばして実施しました。
それぞれの電極に4~5人が配置され、センターにいる統括者からのトランシーバーの指示に従い数十本の炭素棒電極を打ち込んだり引き抜いたり次の場所に運んだりという作業の一員となりました。
流される電流は3~4A程だったと思うのですが、電気が流れると電極の間から次々ニョキニョキとミミズが這い出してくるのが面白かったのですが、ミミズにとってはビリビリ痺れていい迷惑だったことでしょう。
…と、ぼんやりしていたら突然トランシーバーから反対側の極でトラック(2㌧)が田んぼ道で脱輪したので応援をとの連絡が入りました。そこで作業を中止して皆で田圃の中を長靴で走りました。私は若かったので先頭で走って行けると思いきや、横をS先生はすごいスピードで駆け抜けてどんどん先に行ってしまいとても追い付きません。私は途中で息をついて歩いてしまいましたがS先生は最後まで走り続けたのです。
それまで私は、大学の先生は机に座っているばかりで運動神経は鈍いだろうとの思い込みがありましたが、この時以来そういう思い込みは間違っている事を思い知りました。
思い込みと言えば、似たものに美人は冷たいとか都会人はクールだとか一般的に言われますが、これらは全く根拠の無いことで美人で温かい人にも都会人で情の深い人にも沢山出会いました。この時の経験が以前このブログ(2017.6.23 天は二物を与えず?)の呟きに繋がりました。
S先生とはその後も仕事で何度かご一緒しましたが、いつも穏やかで温かく親切丁寧に指導して頂けて先生との共同作業は楽しい思い出となっています。
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