霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

モウセンゴケ

2020-08-26 18:42:48 | 地磁気観測の思い出

ある日、見廻りで赤ピンク色の珍しい花を見つけました。それは尾瀬沼に生えているというモウセンゴケでした。キラキラしていて綺麗な花ですが食虫植物と聞くと何だか怪しい美しさにも見えてきます。


何故こんな所に…?

そこは24時間365日細い水が降り注いでいる芝生の中で1m程の範囲が小さな湿地帯を形成していたのです。

細い水は建物の壁の穴から突き出ている細い真鍮パイプを通って空中に放出されています。これは大気の鉛直方向の自然電位を測定するためのセンサーです。


アースすると言われるように地面の電位はゼロで、自然電位は上空ほど高くなっていて目の高さで100Vだというから驚きです。100Vもあれば感電してしまうと心配しますが、電荷はほとんど無く電流として全く感じません。もし電荷が十分にあったら起き上がる度にビリビリしてしまうでしょう。この自然電位は空中電気とも呼ばれていて電離層まで続き、地面との間に300kVの電位差になるとのことです。


常に水を放出しているのはパイプと周りの大気に電位差が生ずると、水滴に+-の電荷が生じて周囲との差を無くすようにどちらかの電荷がパイプに移り、あとの電荷は水滴と一緒に地面に落ちるという仕組みで、パイプは8秒程で周りと同じ電位になり自然電位の変化が測定できるのです。

テスターや電圧計は原理的に微量の電流を流さないと測定できないことから自然電位の測定には向かず、象限電位計という特殊な計測器を使用していました。


それにしてもモウセンゴケはどこからやってきたのかと不思議です。尾瀬沼はちょっと考えにくいので、案外気が付かないだけでモウセンゴケの好む湿地は身近にも結構あるのかも知れません。


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