分かっているつもりでいても、じゃあ説明せよと言われて窮するものに「哲学と宗教の違い」というのがあり、ずっと曖昧でした。
ハラリ氏は宗教を『超人間的な秩序の信奉に基づく、人間の規範と価値観の制度』と定義できるとして、宗教の持つ様々な側面を幅広い視点から取り上げてホモ・サピエンスの歴史への影響を解説しています。読み進めるうちに哲学との違いについても自分なりの答えが見つかった気がします。
それは、哲学は物事の疑問から入るのに対し宗教は信じることから入るという違いです。宗教は神とか極楽浄土とかの存在を信ずることで心の安心を得るというものとの理解です。
仏教は代表する宗教の一つですが、ハラリ氏は仏教に関してゴーダマ(釈迦)が何に悩みどう悟りに至ったのかを2~3頁で見事に解説しています。さらに一神教とは原理が違っていること、仏教はイデオロギーとも言えると述べてます。
そう言えば、仏教で不思議に感じていたことがありました。同じ仏教でも浄土教と禅宗とは全く違うように見えるのです。これまでは大乗仏教と小乗仏教の違いなのかとの理解でしたが、今回浄土教は極楽浄土を信じることから始まっているので宗教そのものと言えるのに対して、禅宗は生きる意味を問うことから始まっているのでむしろ哲学ではないかということです。修行により自分なりの答えを得たなら、それがイデオロギーかも知れません。
さて、我が家にも時折り宗教を説く人が来られますが、元々神の存在を前提にして説かれますので、話が噛み合わないのも当然なことだったのです。
とは言うものの、この私もあり得ないとは分かっていながら強く信じていることがあります。それは、父や母の臨終に間に合わなかったこともあってか、自分の死後に亡き両親や先立った人達に会えるというものです。それで心の安堵が得られるので不思議です。