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「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

川上の嘆 Long Good-bye 2025・06・29

2025-06-29 05:29:00 | Weblog

 

   今日の「 お気に入り 」は 、「 論語 」の中から

  いくつかの言葉 。

  「  逝くものは斯(か)くの如きか 、昼夜を舎(お)かず 。 」

  「  朝(あした)に道(みち)あるを聞(き)かば 夕(ゆう)べに
   死(し)すとも可(か)なり   」

  「  憤りを発して食を忘れ 、楽しんで以て憂いを
   忘れ 、老いのまさに至らんとするを知らず 。 」

  「  ああ 、天 、予(わ)れを喪(ほろ)ぼせり 。天 、
   予れを喪ぼせり 。 」   ( 愛弟子 顔回 の死に際して発した、と伝えられる言葉 )

  (⌒∇⌒)

   無常観を表す「 川上之嘆 」として知られる「 逝くものは

  斯くの如きか 、昼夜を舎かず 」という言葉を 、井上靖

  さんは 、もう少し明るく 、力強く 、とらえられているようだ 。

   長編小説「 孔子 」の中で 、語り手である 蔫薑(えんきょう)

  に 、次のように語らせている 。

   「 川の流れも 、人間の流れも同じである 。時々刻
   刻 、流れている 。流れ 、流れている 。長い流れ
   の途中にはいろいろなことがある 。併し 、結局の
   ところは流れ流れて行って 、大海へ注ぐではない
   か 。
    人類の流れも 、また同じことであろう 。親の代、
   子の代 、孫の代と 、次々に移り変ってゆくところ
   も川の流れと同じである 。戦乱の時代もあれば 、
   自然の大災害に傷めつけられる時もある 。併し 、
   人類の流れも 、水の流れと同じように 、いろいろ
   な支流を併せ集め 、次第に大きく成長し 、やはり
   大海を目指して流れて行くに違いない 。
    その日 、私はその川の土堤に坐って 、子のお詞
   をあれや 、これやと考えていて 、非常に明るい思
   いを持って 、立ち上がりました 。
    子の ” 大きい川の畔(ほと)りにて ” の感慨を 、
   私はこれまで私に解釈してくれた誰のそれよりも 、
   明るく 、力強く受け取りました 。
    ああ 、顔回が居たら 、子路が居たら 、と思いま
   した 。そして最後に 、ああ 、師・孔子が居(お)
   られたら 、と思いました 。
    川の流れが大海を目指すように 、人間の 、人類
   の流れも亦(また) 、大海を理想とする 、大きい社
   会の出現を目指すに違いありません 。 」

   「 逝くものは斯くの如きか 、―― この子のお詞に
   は 、いかなる子のお心が入っているのでしょうか 。
    ―― それぞれ 、考えよ 。
    子は 大きな課題を門弟たちにお出しになったよう
   なもので 、いつかは 、それについてお話しになる
   おつもりであったかも知れませんが 、思いがけず
   顔回 、子路に先立たれ 、恰(あたか)もそれを追い
   かけでもするように 、それに続いて御自分がお亡
   くなりになって仕舞われたのであります 。 」

    引用おわり 。 

 

  

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