今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「坂本二郎の名をマスコミで見なくなって十なん年になる。それまで見ない日はなかったのに、ある日ばったり絶えた。ほとんど劇的な退場だった。
社会的な名士は引退すれば誰もよりつかなくなる。生理的には存在しても社会的には存在しなくなる。凡夫凡婦とちがって社会的な死と生理的な死を、彼らは二度経験するのである。
その代表的な例は芸人である。芸人の代表は力士である。土俵にあがらなくなった双葉山は双葉山ではない。リンドバーグが死んだとき、まだ生きていたのかと思わぬ人はなかっただろう。引退すべき老人が引退しないのはこのためである。」
(山本夏彦著「『豆朝日新聞』始末」文春文庫 所収)
「坂本二郎の名をマスコミで見なくなって十なん年になる。それまで見ない日はなかったのに、ある日ばったり絶えた。ほとんど劇的な退場だった。
社会的な名士は引退すれば誰もよりつかなくなる。生理的には存在しても社会的には存在しなくなる。凡夫凡婦とちがって社会的な死と生理的な死を、彼らは二度経験するのである。
その代表的な例は芸人である。芸人の代表は力士である。土俵にあがらなくなった双葉山は双葉山ではない。リンドバーグが死んだとき、まだ生きていたのかと思わぬ人はなかっただろう。引退すべき老人が引退しないのはこのためである。」
(山本夏彦著「『豆朝日新聞』始末」文春文庫 所収)
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