今日の「お気に入り」。
「 百年前も千年前も、昨日の友は今日の敵であった。 」
( 山本夏彦著 「二流の愉しみ」 講談社文庫 所収 )
「 あの仲よしだった中国とベトナムが不仲になって、中国はベトナムの国境を越えた。
中国が支援していた民主カンボジアを、ベトナムが攻めたからである。いわゆる『中越
戦争』である。ベトナムと中国は一枚岩だとなが年新聞で読まされていたから、読者は
寝耳に水で驚いた。本当はベトナムと中国は千年来不仲で、ベトナムの歴史は中国に侵
略された歴史だったのである。ただ当面の大敵アメリカに勝つために、しばらく仲よく
しただけのことで、めでたく勝ったからもとのカタキ同士にもどったのである。そして
ベトナムはソ連と結んだのである。書いて十五行読んで二十秒―――たったこれだけのこ
とを新聞は言わないから、読んで読者は分らなかったのである。」
「 かいつまんで言え。」
( 山本夏彦著 「美しければすべてよし」 新潮文庫 所収 )