地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

新しく、フレーム溶射をはじめました

2006年06月19日 15時06分22秒 | 東洋硬化ってこんなのやってたんだ!


明後日からの「第10回機械要素技術展」で、今春導入した「フレーム溶射」
でのメタライジングプロセスについても展示します。

で、溶射って何なの? とのご疑問の向きに。

溶射の特長

1.低温処理であり、殆どあらゆる材料上へ溶射可能
2.加熱溶融・軟化する材料であれば、殆どあらゆる材料の溶射が可能
3.プロセスが簡単であり、複雑形状部材や大型部材へも適用可
4.他の成膜プロセスに比べ、成膜速度が格段に大きく、厚膜も可能
5.作業が容易で、現場施工も可能であり、コストパフォーマンス大
6.ドライプロセスであり、有害廃液、排ガスのない環境に優しいプロセス

溶射の目的

形状・寸法修復
通常、各種の機械部材は、摩耗や腐食により、部材が損傷を被った場合には、
形状や寸法が変化し、限界を超えると、使用することができなくなります。
しかし、近年の溶射技術の進歩は、これらの損傷した部材の形状や寸法を元の
状態に修復することを可能としました。すなわち、損傷部に溶射を行って寸法
を復元し、その後仕上げ加工を実施することで、新品の状態、場合によっては、
耐食性の向上など、さらに機能を向上させることで、元の状態以上の性能に修
復することができます。

形状・機能の修復
水力発電用タービンやバルブは、土砂などの摩耗粒子を含む高速の水流に曝さ
れており、摩耗粒子によるエロージョンやキャビテーションエロージョンなど
により、激しい摩耗を受けています。この摩耗によって消失した部分を溶射に
よって元の形状に修復するとともに、さらに耐摩耗性に優れた表面を被覆する
ことにより、従来の20倍の寿命延長に成功した例もあります。
抄紙機械、印刷機あるいは製鉄機械においては、多数の大型ロールが使用され
ており、これらのロールは、各種摩耗、あるいは腐食雰囲気に連続的に曝され
ており、時間とともに、表面粗さや清浄度などの表面機能が劣化していきます。
従来は寿命到達により新ロールと交換していましたが、溶射による寸法・機能
の修復が可能になり、大幅なメンテナンスコストの低減が可能になっています。

寸法復元
150,000回転もの高速から急停止する鉄道用モータターボチャージャの炭素鋼製
のシャフトは激しい摩耗を生じますが、この摩耗したシャフトにステンレス鋼
を溶射することにより、寸法復元が実現するとともに、より高い耐摩耗性を付
与することで、大きなコスト低減が可能となりました。
また、印刷機のプレスシリンダーの表面は短時間で摩耗が生じますが、ニッケ
ルやクロム合金などを含む特種材料を溶射することにより短時間での修復が可
能となりました。溶射の高速成膜速度と優れた性能により、従来のメッキ法に
とって替わろうとしています。

クリアランス制御
航空機や発電用ガスタービンにおけるガス流路のクリアランスの制御は、エン
ジンの効率や燃料消費率などに大きな影響を及ぼすため、ガスの漏れる隙間を
できるだけ小さくする試みが多くなされてきました。加工精度の限界や運転中
の機械的・熱的変形などのため、この隙間を小さくすることは困難を極めまし
たが、溶射によるアブレーダブルシールは画期的な解決策として、受け入れら
れました。


(サーマルスプレーとかメテコとかメタリコンとか、色々と俗称があります。
表面処理に通じていない機械加工屋さんが前処理を中途半端に行なって成膜す
ると、剥落することも、ままあるみたいでして、それが「溶射被膜はすぐ剥落
する」との伝説となっているみたいです。厚膜生成することが多く、靭性を必
要とする用途には、まるで向きません。用途と要求機能をきちんと把握した上
で、被膜スペックを決定していくことが大事です。これは、こと溶射被膜につ
いてのみではなく、全ての表面処理に対して言えることですが。要は、万能の
表面処理法は無いということを、肝に銘じておかなければならない訳です)

実用例

繊維業界
・ガイドロール、ガイドピン
・スピンドル

製鉄業界
・高炉・転炉部材
・ブライドルロール
・ローラテーブル
・デフレクタロール
・焼鈍炉ハースロール
・電気めっき設備・コンダクタロール
・溶融亜鉛めっき設備・シンクロール

製紙・印刷業界
・圧胴ロール
・アニロックスロール
・カレンダーロール
・ドクターブレード
・グリップロール
 
発電施設
・ガイドベーン
・シリンダーランナー
・水力ランナー  

船舶  
・バルブステム
・ピストンリング
・シリンダーカバー
・ノズルリング  
   
その他産業機械  
・建設機械:ワッシャー・アームシリンダー
・石油化学機械:ポンプ、バルブ、シール、インペラー
・分級器
・ローター
・ブロワー・インペラー
・ボイラ/焼却炉:チューブ・スーツブロアー
・ガラス成形プランジャー
・焼結炉・トレイ
・ガラス製造ライン・攪拌器
・プラスチック機械:押出スクリュー・シリンダー
・石油堀削装置


機材メーカーさんであるスルザーメテコ社のHPからの受け売りです。
実用例そのままに営業活動ができるならば、そりゃ、表面処理業界最強なので
すが、そう簡単に、問屋は卸してくれません。

出来る限り最大限の営業活動をしてみるつもりです。



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● ㈱東洋硬化へのお問い合せは、当社ホームページの「お問い合せ」欄、
    または、TEL:0942-34-1387 へお願い致します。
● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・インナーチューブ・ロール等、
    円筒形状機械部品のクロムめっき再生が得意です。
● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
    窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティング
    生成します。
● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
    平面研削も行います。
 フレーム溶射による、短納期での寸法・形状・機能の復元加工はじめました。
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
溶射は難しいです。 (ふっ素屋)
2006-06-19 19:36:47
多分経験されることと存じますが剥落は結構あります。

専門の溶射メーカーでもしばしばです。

スプレー環境に気を付ける事をお勧めいたします。
返信する
ありがとうございます (トヨコカ0119)
2006-06-19 21:51:52
情報ありがとうございます。充分参考とさせていただきます。



表面の活性化の度合、用途の適合、被膜厚の設定、素材の形状と材質、その他、トライアンドエラーを数多く経験していかねばならないのだろうと、考えています。



考えすぎると気が重くなることしきりですが。



イオンプレーティング導入時も、いやというほど密着不良に泣かされました。



今回は、どういう決着を見ることになるのか、どうぞ無難に軟着陸できます様に、と祈りつつ、実加工し始めています。
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溶射屋です(笑) (村田光生)
2007-02-27 20:15:10
こんにちは!

半年前のブログにコメントです。

色々と検索していたらこちらにたどり着きました。

溶射は使用条件を聞いて適切な溶射機器や溶射材料を選定すれば「ハク離」しにくい表面処理だと思います。

と言うよりは「ハク離」する可能性のあるものはあらかじめお客様に「ハク離」するかも知れません」とアドバイスしておけばお客様も納得すると思います。

「何もかも溶射でやってやろうじゃないか?」と気負ってしまうと(笑)はく離の原因となります。

とにかく九州と静岡(当方)ですから仲良くやって行きましょう。
返信する
こんばんは (トヨコカ0119)
2007-02-27 22:31:57
半年以上前の記事にコメント付けていただきまして、ありがたく思います。

村田様のおっしゃる件、全くその通りだと思います。
何でも溶射でやってやろうと思うのではなく、用途と要求機能に応じた被膜形成を行なう際の成膜ラインナップ中に溶射での被膜形成法も入っている、と考えるべきですね。

当社はフレーム溶射のプライマリーキットを揃えただけのほんの新参者です。

今後、ご縁ができますならば大変嬉しく思う次第です。宜しくお願い致します。

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