国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

バリサン(死語?)・アート・ペッパー

2012年01月12日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
アンテナが立つ時がある。
「あ、アート・ペッパーを聴こう」と思ったのは唐突であった。
それまで何をしていたわけでなく、普通にジャズを聴いていただけなのに、
「あのミュージシャン、あんまり聴いてなかったよなぁ」とか
「このミュージシャン、結構いいよなぁ」といった流れから
俗に言う「1人集中聴き」期が来る。
事前の兆候としては、
ジェフ・ダイヤーの『バット・ビューティフル』(新潮社)もあるのだろうが、
とりあえず「アート・ペッパーを聴かなくては」と思ったわけだ。

それまで全く意識をしていなかった
ミュージシャンの棚前に足を運ぶのは新鮮な気がする。
とりあえずは知っているアルバムを探すのだが、
こういう時に限って意外に手に入らない。
今までは何度も素通りしていたアルバムが急に光を放ち始めるのだが、
それが見あたらないとこちらは随分と意地になって探してしまう。

一方で今はいい時代にもなっている。
999円でバンバンと再発をしているアルバムもある。
今日の1枚、アート・ペッパーの『モダン・アート』。
何度も僕の手を通り抜け、「まぁ、いいか」と避け続けてきたアルバムである。
レーベルは「イントロ」という超マイナーレーベルで、
オリジナルLPは超弩級の貴重品であるのだが、
それがたったの999円である。

アート・ペッパーのアルトサックスは「ふぁ~ん」と宙に漂う浮遊感がある。
高音域に達しそうなギリギリの中音域がクセになる心地よさを持っている。
決して激しくブローするわけではなく、淡々と音を織り込み、
その音は夢遊の如く幻想と現の狭間に存在をしている。

ジャズはリーダーだけではなく、サイドマンにも注目がいくものだが、
ペッパーの場合はペッパーのアルトに耳を奪われてしまう。
憂鬱で儚く流れるペッパーの音に中毒気味なのだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿