国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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完全盤から聴く編集盤のかっこよさ

2012年01月03日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
年末にあるブートレグを手に入れた。
1970年のニューヨーク、フィルモア・イーストで行われた
マイルス・デイヴィスの水曜日と金曜日の完全盤である。
物としてはかなり前から出回っていたので珍しいわけではない。
ただ僕が今の今まであまりこの時期のマイルスに興味を示してこなかったため
持っていなかったアイテムなのである。

さて、完全盤ということは、完全では無い盤は出ていることになる。
これが公式に発売された『アット・フィルモア』なのだ。
こちらはマイルス音源を扱わせたら
格好良く仕上げるテオ・マセロのハサミが入っている。
そもそもマイルスのライヴ音源というのは
そのままの形で出ることは公式では珍しい。
スタジオ録音も大体テオのハサミが入っている。

『アット・フィルモア』は、1970年6月17日(水曜日)から
6月20日(土曜日)までのライヴ音源を使ってまとめた作品である。
メンバーがスゴイ。
エレキピアノにチック・コリア、オルガンにキース・ジャレットである。
デイブ・ホランドがベースに、ジャック・デジョネットがドラムという
後のECM活躍組が総じてマイルスのバンドに所属をしていたのだ。
ソプラノサックスのスティーブ・グロスマンでさえ欠かすことができないだろう。
加えてパーカッションにアイアート・モレイラがいて、音に彩りを添えている。

今回ブートレグを聴いてみて思ったのが、
「こちらの公式盤がかなりカッコイイ!」ということだ。
今までは「総集編」という印象が強くあった。
だが、全体像が見えてくると、テオ・マセロのハサミが
いかに適切であったかが見えてくる。
コア中のコアを取り出して、マイルスの音楽に仕立て上げていくのがスゴイのだ。
スティーブ・グロスマンの出番がほとんどない。
グロスマンには悪いが、それが当時のマイルスの音楽の格好良さでもあるのだ。

エレキ化された演奏の中でキースはかなり渋ったといわれている。
だが、あの『ケルン・コンサート』では聴くことができない
ファンキーで攻めの姿勢のキースを聴くことができるのはマイルスバンドでだけだろう。

この頃のアメリカにはロックの嵐だった。
ジャズなど一昔前の音楽であるとされていた。
だが、ここにジャズを越えた帝王がいたことを忘れてはいけない。

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