国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

足跡はやがて道となり、その道が人の歴史へとつながっていくのだろう

2011年10月17日 | マスターの独り言(曲のこと)
今日は仕事が休みだった。
といってもどうも体調が悪く、花粉の影響か鼻も詰まり気味である。
どこかへ行きたくとも気分としてはそんな気分ではない。
昼食を家で終えて、コンビニにいつものように「密林」の支払いに行く。
そのまま帰るのも何となく味気ないので、
最近知ったばかりの市内にあるライブハウスの様子をうかがいに自転車を走らせた。

駅からほんの外れた場所にあるそのライブハウスは、
ジャズ・ミュージシャンが時折ライブをしているという。
とはいえ僕は日本人のジャズはほとんど聴かない。
そのため今まで訪れたこともなかった。
自転車を走らせること5分ぐらいで目的の店が見えてくる。
想像していたよりもずっと小さく、まるでバラックのような外見である。
椅子やテーブルが乱雑に外に置かれ、その存在自体が人を寄せ付けていない。
中を覗き込むとドラムセットがガラス窓の向こうに見えたから
ライブの時になるときっちりとした「店」に変わるのだろう。

誰もいないでコーヒーにもありつけそうもないので
そのまま気のままに自転車を走らせる。
近くには僕が中学生の時に私立高校の代行受験をした中学校があった。
友達の郷土史家は、その受験の最中に窓の外で遺跡の発掘をしていたのを
興味深く見ていたそうだ。
僕の記憶の中には全くそんな記憶がない。

そういえば随分と長くすんでいる街なのに
市内の細かく入り組んだ道がどこに続いているのか意外に知らないことに気づく。
僕の頭の中に家を出る前に聴いていたマッド・リブの「フットプリンツ」が流れ始める。
ウェイン・ショーターの名曲だ。
シンプルなテーマをヴァイブが奏で、
どっしりとしたベースと2つのドラムがリズムを細やかに支える。
「足跡」とはよく言ったものだ。

中3の時に国語で魯迅の『故郷』をやった。
「地上にはもともと道などなかった。
 そこを行く者が多ければ、それがやがて道になるのではないか。」
確かそんな言葉で終わっていたような気がする。
人の足跡がつながれば、やがてはそれが道になり、街の歴史へとなっていく。
それは人の歴史でもあるのだろう。

TV番組のように「偶然」にも美味しい店が見つかったり、
人と出会ったりということはなかった。
ただ人の「フットプリンツ」を聴いただけだ。