国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

集めることにだけ夢中になってはいけない。その中に詰まっているものに耳をむけなければ

2011年10月06日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
大量のCDやレコードに囲まれていると、
物を持っているだけで満足してしまうという現状が生まれてくる。
「聴く」ことから最終的に「集める」ことに考えがシフトしてしまい、
結局眠った物が多く存在してしまうことになる。

ジャズというのは厄介な物で
「よし、聴くぞ!」と気合いを入れないとなかなか聴けないものである。
CDやレコードをかけて、そこからどんな音が流れるかは分からない。
分からないものに対して人は恐怖心を抱く。
(それは音楽に対してもそうなのだ)
ラジオやジャズ喫茶はこちらで意識をしていないため恐怖心もなくすっと入れる。
だが、こちらに選択権があるとその一線がなかなか越えることができない。

「ジュゼッピ・ローガンという幻のサックス奏者がいるんだって」
という噂を聞きつけて、早速「密林」で探してみれば、
幻の割にあっさりとCDが見つかった。
幻となれば「コレクター」の血は騒ぐ。
購入をしても「コレクション」したものというのはなかなか俎上に乗らないものだ。

それが何の気もなく、今日一線を越えてしまった。
越えた後はいつもこう思う。
「なんでもっと早く聴いておかなかったんだろう」ってね。

ジュゼッピ・ローガンという人がどんな人かは、まだよく知らない。
一部に発狂説があり、シーンから消えていたそうだが、
どうも近年ライブを行ったりしているようだから完全に消えているわけではないようだ。

そもそもアルトにテナーにバス・クラリネット、フルートとくれば
エリック・ドルフィーにも通じるような楽器の数々だ。
そこにローガンはパキスタン・オーボエまで加わる。
曲がりくねった路地裏をグルグルと回るように
幻想的な音色が不思議な迷路を造り出す。
フリー的な演奏だからといって怖がる必要はない。
ただその音に耳を向ければ良いだけだ。

やはり「コレクション」から「聴く物」に音楽はならなくてはいけないだろう。
何せジャケットを眺めている以上に
その円盤の中には様々な感情を与えてくれる音がたくさん詰まっているのだから…