国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

宇宙さえも呼んでしまう最狂で最高のアルトサックス奏者

2011年10月11日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
このごろひさしぶりにブログの更新が続いている。
書きたくない時というのは、いくら文章を考えても出てこないものだが、
気分的に「書けそうだ」となると、仕事が忙しかろうと何であろうと書くことができる。
そもそもどんな人が読んでいるのかなんぞ、
あまり気にしない方なのだが、
まぁ、とりあえず日々何名かの人が習慣的に覗いてくれているようではある。
その人がジャズが好きなのか、はたまたジャズに興味があるのか、
それとも全くジャズなんぞ聴いたことがないのに読んでいてくれるのか
(こんなよくも分からないミュージシャン名前が並ぶブログを!)

それは分からないのだが、でも1つだけ言っておきたい。
というか、とりあえず今日はこう叫んでおきたい。

「チャーリー・パーカーを聴くしかない!」

パーカーの名前は何となく聞いたことがある人もいるだろう。
(ちなみに万年筆の方ではない)
アルトサックス奏者のチャーリー・パーカーだ。
2年ぐらい前パーカーにのめり込んでよく聴いていたのだが、
引っ越しの都合でCDをあちこちに仕舞い込み、
それからずっと「見てないなぁ」というアルバムがあった。
『ロックランド・パレス・コンサート』である。
今ではこの写真ジャケットのCDは廃盤になってしまっていて
なかなか「お高い」のだが、音源自体は他のCDで聴くことができる。

でも、僕はこのCDでのパーカーの「レスター・リープス・イン」は別格である。
前に「星の隙間を縫うように」という表現でも書いたことがあるが、
昨日、ひさしぶりに聴いてみると、目の前にブラックホールが表れた。
凄まじいまでの吸引力があり、自分の身体が溶け込んでいってしまうような感覚だ。

理由を考えてみると擬似ステレオでこの曲だけが収録されているが関係しているだろう。
音源としてかなり古く、パーカーの演奏というのは聴き取りづらい。
そこに擬似ステレオ録音という、全く意味の乏しい収録方法が
パーカーの演奏にひとクセ付けてしまっている。
この演奏でのパーカーはかなり高速で吹いている。
近場で耳を寄せて聴いてみると音がきっちりと1音ずつ聴き取れるのだが、
離れると音がまるで光の線のようにぱっ、ぱっと散っていく。
そして擬似ステレオでのボンヤリとした感覚が宇宙の渦のような幻想を見せるのだ。

正直パーカーと周りで騒いでいる男の声しか聞こえないに等しい。
ピアノ、ドラムは辛うじて、ベースなどいるかどうかも分からない。
それでもパーカーの演奏は己がゴールまで止まらない。