国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
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そんな仮想の音楽喫茶

「夢の国」へようこそ!

2011年10月16日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
誰だって忙しい日常から「夢の国」に行って、
全てのことを忘れたいと思うことはあるだろう。
そんな都合の良い「夢の国」が日本の某県にあるわけなのだが、
僕は残念ながら中学校の卒業旅行以来行ったことがない。

「夢の国」の歴史を紐解いてみれば、
どうやら古いようで1955年にアメリカのカリフォルニアにできたそうだ。
創始者であるウォルト・ディズニーが1年前からテレビで
宣伝と共に資金提供を受けてまで創りたかったまさに「夢の国」である。

さて、ジャズだ。
1955年といえばまだ、
マイルスの『カインド・オブ・ブルー』でさえこの世に存在していない。(1959年)
ジャズで最も売れている1枚よりも「夢の国」の方が古いわけだ。
元々ウォルト・ディズニーは、アニメメーターであり、監督でもある。
おそらく多くのアメリカ人がその映画を見て、その音楽に酔いしれたのだろう。
そこで聴いた曲を「よし、ジャズでやってみるか」と
多くのジャズ・ミュージシャンたちが演奏している。

その中でも有名な1枚がデイブ・ブルーベックの
『デイブ・ディクス・ディズニー』である。
録音日が1957年ということで「夢の国」創立から2年後のことである。
そもそもデイブ・ブルーベックはカリフォルニア出身である。
「夢の国」もカリフォルニアにできている。
となれば自然とディズニーに関わるようなアルバムが生まれてもおかしくない。

デイブ・ブルーベックといえばポール・デズモンドとつながるように
ウエストコースト・ジャズの代表ピアニストである。
明るく豊かな曲想は、東部ニューヨークを中心としたジャズとはまた色合いが違う。
デズモンドのアルト・サックスは心地よいほどに包容力があり、
ジョー・モレロのドラムは軽やかだ。
そんな一団がディスニーの曲をやるのだから、その雰囲気は十分に合っているだろう。
「アリス・イン・ワンダーランド」や「サムディ・マイ・プリンセス・ウィル・カム」
のようなジャズになった代表的な曲だけではなく、
『ピノキオ』の「ギブ・ア・リトル・ホイッスル」や
『白雪姫』の「ハイホー」のようなあまりジャズで取り上げられないものもある。

夢を見ることができると信じて止まない「夢の国」。
当時の人々が見た「夢」の1つがこの結晶であろう。


※著作権の都合上、今日はジャケ写は無しです。
 気になる人は、ぜひCDショップで!