GITANESは臭いの枕詞。
それとは無関係に・・・。
花明りなきさびしさよ土佐みづき
細き茎あげしあさざの花平ら
清浄に峰入口の掃かれあり
竹皮を一枚ぬぎて夜の明けし
別に、私が何事かを暗号にしてどこかの工作員に
発信しているのではない。
偶然見つけた祖父の俳句である。
それが本人にとって本意なのか不本意なのかはわからないが
こうやって、死後も何かしらのものが残ったということだ。
祖父の句の中では、私はこれが気に入った。
帰りゆく人のかくれし夏木かな
帰っていく人の後姿を見送っている夏の日、
とうとうその人の姿は木の影に
見え隠れになっていき、終には見えなくなった
同じように、誰かが帰っていく光景を詠んだものが
他にもいくつかある。
彼は、
「誰かが帰っていく」という場面に最も感情が
動く人だったのだろう。
あるいは、夏の日に誰か親しい人間が亡くなり、
繰り返し繰り返しそれを悼む句を詠んでいたのかも
知れない。
おそらく、引き留める言葉は(性格的に)
持っていなかったに違いない。
その代わりに胸の内でそれらを詠んだのだろう。
私がこれを見つけたのはお盆の最中だったが、
祖父からの何かしらのメッセージだったのかもしれない。
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