GITANESを吸い始めると打ち合わせが長くなる。
それとは無関係に・・・。
某建設工事(改装)の打ち合わせ。
現場Aと現場Bで、説明会のはしごだ。
設計担当の設計士、施工元請A社と下請け各社、そして現場責任者と
私。
現説(現場説明会)といって、本来なら複数の元請会社が集まって
工事仕様などの説明を聞き、後日各社が見積を出して選別される
のだが、いろいろ事情もあり(別にやましいことはないけど)
A社と契約を結ぶことになっている。公共工事なら随契・特命随意契約と
いったところだろうか。
もちろん複数の企業に競ってもらった方がコスト的には良いのだが。
この会議開催は1ヶ月以上前から決まっていて、事前に周知も万全
だったのだが、直前になってA社の建築責任者から連絡があり、
会議に出席できなくなったという。
理由を尋ねると、その日ちょうど本社の役員たちが来てそれの相手を
しなければならないとのこと。
役員がやってきてどんな話をするのかは知らないが、どんな話であっても
それを極限まで突詰めると、それは「どうやって仕事を受注するか」
「どうやって儲けるか」に集約される。結局は「どうやって客を作るか」
なのである。
それなのに、客との打ち合わせをキャンセルして、内側の人間と会わなければ
ならないという。
そりゃあ2件あるとは言ってもただの改装工事だし、新築などと比べると
工事代金も安い(いや、それでも3500万ぐらいはかかるぞ)。
でもこれが特命工事ではなくて入札だったら、果たして内部の事情を
優先させるだろうか。
「ああ、内部優先ね。わかりました。」と電話で言うと、
先方はかなり恐縮し困っていた。
いや彼には罪はない。立場も苦しいだろう。
「いやいや冗談です。代わりに事情のわかる人を寄越してね」と頼んだ。
さて説明会場の現場へ行く。
A社からは建築責任者の代行の人と、営業担当者Y氏がいた。
簡単にあいさつを済ませると、Y氏が言う。
Y「実は、私も会社に戻らなければならなくなりまして、すぐに失礼
しなければなりません」
私「役員さんの相手かい?」
Y「そうなんです・・・。」
別に営業Y氏は出席しなくても会議に支障はないが、出席したいと言ったのは
先方だったのに。
私「あのね、これが入札がかかった気合の入った現説なら何を放ってでも
来るでしょうよ。」
Y「はい・・・。」
私「もう注文を受けた気になってるかも知らんが、まだ契約書にサインして
ないでしょうが。」
Y「はい・・・。」
私「その役員さんによろしくお伝えください。御社から誰一人説明会に
来なくても『一応』御社と契約はしますって。」
Y「はあ、申し訳ないです。」
顔がひきつっている。
そうだよなあ、Y氏や建築責任者はものすごく辛い立場なのだ。
しかし常に紳士的な交渉を心がけてはいるが、ナメられるのはよろしくない。
会社全体を軽く見られる訳にはいかないのだ。
Y氏が去り際に
私「ああ、役員さんに伝えてね。
どうせ特命だからって余裕かました分のしわ寄せが絶対に来るよーって。」
Aでの説明会が終り、全員で現場Bへ。そこも改装工事だ。
なんとそこには、急にキャンセルの入った建築責任者が待っているではないか。
私「あれ、どうしたの?身内の接待は?」
責「いやあ、面目ないです。現場Aの説明会は行けませんでしたが、こっち
へは何とか都合がつけられまして・・・。」
私「そりゃあ何より。」
会社へ戻った営業担当者Y氏がこの建築責任者氏に言ったのだろう。
やっぱり出席しないと、いろいろ災いが起こりそうです とか何とか。
現場Bの説明会も滞りなく終る。
もともと工事や工程は完全に信頼できるA社なのだ。滞りないのは当たり前。
それも終って自分の会社に戻る。
会社の駐車場に黒塗りの国産高級車と、運転席には白手袋の運転手。
誰かエライ人が来ているのだろうか。
なんと、その問題のA社役員さん2名が来社しており、私の勤め先の社長と
会談中だった。
会話の内容までは聞こえなかった。
まさか、営業Y氏は「役員さんに伝えてね」と伝言した冗談を
そのまま本当に伝えたのかも知れぬ。
「御社のナントカ担当のSGCって人は、ちょっとお行儀が悪いですなあ」
なんて抗議に来たのだとしたら、おお!面白い!
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