情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

民主党の取調べ可視化法案(提案済み)を読んでみる

2008-03-28 07:42:07 | 適正手続(裁判員・可視化など)
警察庁が導入しようとしている取り調べ監督制度が違法な取り調べ対策にならないことはもう明白だと思うが、その制度導入が改めて発表された3月27日、民主党の可視化法案(http://houseikyoku.sangiin.go.jp/sanhouichiran/sanhoudata/168/168-010.pdf)にを通してみた。法律案要綱(http://houseikyoku.sangiin.go.jp/sanhouichiran/sanhoudata/168/168-010yk.pdf)がわかりやすい。


一 被疑者の供述及び取調べの状況の録画等

 1 被疑者の取調べに際しては、被疑者の供述及び取調べの状況のすべてについて、その映像及び音声を記録媒体に記録しなければならないものとすること。この場合においては、同時に、同一の方法により二以上の記録媒体に記録するものとすること。

(※ヤメ蚊:「すべて」というのがいいいですね)

 2 1により記録をした記録媒体の一については、取調べを終了したときは、速やかに、被疑者の面前において封印をしなければならないものとすること。この場合においては、当該記録媒体が1により記録をしたものであることについて、被疑者に確認を求めることができるものとすること。

 3 2の確認がされたときは、2の封印に被疑者の署名押印を求めることができるものとすること。ただし、被疑者がこれを拒絶した場合は、この限りでないものとすること。


 4 被疑者又はその弁護人は、1により記録をした記録媒体(2により封印をした記録媒体以外のものに限る。)を閲覧し、若しくは聴取し、又はその複製を作成することができるものとすること。被告人又はその弁護人についても、同様とするものとすること。
(※ヤメ蚊:封印をしない場合におけるペナルティ的規程でしょうか?)

 5 4により閲覧され、若しくは聴取され、又は複製が作成された記録媒体に係る複製等の管理及び保管、目的外使用の禁止並びに目的外使用の罪については、被告事件の審理の準備のために開示された証拠に係る複製等と同様とするものとすること。
(※ヤメ蚊:封印されていないものがあった場合、それを入手した弁護人らの転用を防ぐ規程)

 6 1により記録をした記録媒体の取調べについては、2により封印をした記録媒体の封印を開封した上、これを再生するものとすること。
(※ヤメ蚊:裁判で取り調べるときの方法。弁護側が調書に問題があるとしたときのみ調べられることになる)

 7 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面であって、被告人に不利益な事実の承認を内容とするものは、その供述が1又は2に違反してなされた取調べにおいてされたものであるときは、これを証拠とすることができないものとすること。
(※ヤメ蚊:録画・封印されないと証拠にできない)

 8 被疑者の弁解についても、1から7までと同様とするものとすること。


二 公判前整理手続における検察官保管証拠の標目の一覧表の開示等

 1 公判前整理手続において、検察官は、その保管する当該被告事件に係る証拠の標目を記載した一覧表を作成し、取調べを請求した証拠を開示する際に、当該一覧表について、被告人又は弁護人に対し、これを閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与える方法による開示をしなければならないものとすること。
(ヤメ蚊:検察官が被告人に有利な証拠を隠していないか確認する機会を与えるもの。現在は、裁判に提出する予定のものしかリストをつくらないでよい)

 2 検察官は、1により証拠の標目を記載した一覧表の開示をするに当たり、当該一覧表に記載された者の氏名が明らかにされることにより、その者の身体又は財産に害を加える行為がなされる等のおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、その旨を告げ、その者の氏名が、被告人の防御に関し必要がある場合を除き、被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができるものとすること。

 3 1により開示された証拠の標目を記載した一覧表に係る複製等の管理及び保管、目的外使用の禁止並びに目的外使用の罪については、被告事件の審理の準備のために開示された証拠に係る複製等と同様とするものとすること。
(ヤメ蚊:不利益証拠の開示もきちんとさせるということ。ただし、警察の証拠はどうするか…)

三 その他

 1 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、二は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
(ヤメ蚊:可視化はハードの問題からか、導入をやや遅らせている)

 2 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、一1の被疑者の供述及び取調べの状況の録画等は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮こに当たる事件についての被疑者の取調べ(特別司法警察職員が行うものを除く。)について行わなければならないものとすること。
(ヤメ蚊:段階的導入論)

 3 その他所要の規定の整備を行うものとすること。


 
 以上、民主党案は評価できるが、いかにして取り調べの全てを録画させるかという点ではやや弱い。録画していないことが発覚したら、釈放させるくらいのことを決めておかないと徹底しないのではないだろうか。

 また、手持ち証拠の開示についても、、不開示のものがあった場合のペナルティーがほしいところだ。

 もちろん、警察庁の身内による監視制度よりは、比較にならないほどすばらしいので、制度導入に向け、真剣に動いてほしい。








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1 コメント

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冷めたPIZZA (伊賀 敏)
2008-03-28 10:54:05
民主党のこの問題に対するアクションが非常にノロイ。 みていてイライラする、袴田事件に対しても何ら積極的にアクションを起こさない。 ある意味 民主党は自民党より風通しが悪い。 永田メール事件の後遺症か? もっと積極的に世論に訴えないと、次の選挙で国民の支持は得られないよとアドバイスしておきたい。 国民は冤罪事件と人質司法、無実の国民を拷問にかけるやりかた、正義に欠ける裁判結果を見て胸糞が悪くなってるんだから、、、
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