情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

日本の映画人はなぜ、怒りの声を上げないのか?~映画助成金を政府直轄へ

2008-12-26 02:18:49 | メディア(知るための手段のあり方)
 靖国神社のウェブサイトがハッキングされたとのニュースに触れて、そういえば、今年の前半のもっとも記憶に残る事件は、映画「靖国」の上映妨害対策弁護だったなぁ…などと思い出しながら、少しネットサーフィンをしていたところ、なんとぉ、独立行政法人「日本芸術文化振興会」が行っていた映画製作活動向け助成制度を廃止し、平成21年度からこの事業を文化庁に一元化することが11月に決まっていたらしい(産経ウェブ版:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081122/plc0811220134002-n1.htm)。

 もうこの国はダメかもしれない。政府が映画までもコントロールしようとすることまではありうるかもしれない。しかし、そういう事態になったら、映画人やマスメディアが一丸となって反対して、蛮行を止めるのが普通でしょう。

 金がないから助成金をもらって映画をつくるわけで、その金を政府が直轄して支払うようになったら、そりゃ、もう、事実上の検閲状況だ。それを黙って見過ごすのか…。

 産経新聞によれば、【靖国」をめぐっては、作品内容の政治色が問題視されたため、文化庁としては作品の政治性や宗教性に関するチェックを厳格化する狙いがある】ということらしい。

 そして、【一元化は「靖国」への助成金支出の“不手際”を同庁が事実上認めた形だ】という。

 一体、この国の映画人は何をしているんだ。文化人は何をしているんだ。この国には、もう知識人はいないのか…。

 先日、対中国関係や対米関係が悪化していると考える人が多数を占めているとの世論調査が報道された。

 いったい、なぜ?

 こんなに中国や米国との貿易が盛んで、人的交流もありながら、しかも、先方は、関係が悪化したとは思っていないのに、なぜ、日本側だけがそういうようにしか物事をとらえることができないのか?

 その世論調査結果と、映画までも政府がコントロールしようとしているのに映画界から反対の声が盛り上がらないことは、非常に密接な関係にあるように思う。

 この国の市民は、メディアの報道に踊らされるだけで、自ら、世界を歴史的にみたり、相対的に見たりする力を失っているのではないだろうか。そして、そのことに警鐘を鳴らす者ももはや絶滅しつつあるのではないだろうか。

 もうこのブログを続けていく気力さえ失いそうだ。

 街はクリスマス、寒い風が吹いている。

 
 

 

【PR】




★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。

 


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
継続は力と信じるしかない (Pleiadespapa)
2008-12-26 11:11:23
同感。非情にイヤな言い方になります。「二八の法則」が正しければマスメディアがどう報道しようが自らのアタマで世の中を観る人間が2割はいる筈ですが、これが1割を割り込むようになると「見える社会」からは消えてしまうのではないでしょうか。
ネトウヨのように単色化すればインターネットもマスメディアとして機能しますから後は泡沫のごとく大波に身体をゆだねて右でも左でも根無し草。
社会は漂流しているようにも見えるけれど為政者にとってこれほどコントロールの楽な時代もないでしょう。その象徴が小泉で、彼は最低の政治屋で、私欲としての経世会潰し以外なんの夢も持たず、語る能力もなかったがメディアを通じて根無し草を操る一点にだけ長けていた。
貧困化の進行が人を覚醒させるわけではない。正気の人間を2割(それだけいれば社会は狂わないと思う)にもどすには何をするべきか。
現下のようにマスメディアにジャーナリズムの矜持がなくなればただの商売で大量消費者を対象にしかしないからここに期待はムダでしょう。問いはジャーナリズムを何処で復活・継続させるかということでもあるように思います。
ブログの継続に声援を送ります。
返信する
同感です (まい)
2008-12-26 15:25:48
文化まで政治がコントロールするようになってしまったら、もうこの国に未来はないような絶望感すら覚えます。「もうこのブログを続けていく気力さえ失いそうだ」。ヤメ蚊さんのこの気持ちお察します。でも私たちには次世代への責任があります。各自その場でできることをしましょう(私は微力な一個人ですが)。
返信する
焼け太り!! (田仁)
2008-12-26 19:52:33
李櫻監督の映画「靖国」に焼け太りとは…!!
邪悪な厚顔無恥にも程があるっ!!!
沖縄ノート裁判で非道い教科書検定したのにも、委員発言の個人名を明かさない形で決着させてますし。
日本会議はどうしても滅ぼさないといけないですね!コレからの日本の為に!!!

翻って、左派ブログは経済危機の煽りを受け、有料化やブロガーの解雇や、汚いシノギがある右翼と違って大変です…。
是非とも、ヤメ蚊先生、踏み留まって頑張って下さい!
お願いします!!!
返信する
功成り名遂げた人たち… (ヤメ蚊)
2008-12-27 01:41:06
いま、助成金をもらう立場の若手が声を上げにくいのは分かるけれど、表現の世界の最先端で頑張り、功成り名を遂げた人たちなら、後輩たちのために、一肌脱ぐことはそんなに難しいことではないと思うし、それは、その世界で名声を得た人たちの義務だと思うのです。映像の最先端、表現の最先端を張り合ってきておきながら、この問題性に気づかないのか、あえて目をつむっているのか知らないけれど…。正直かなりショックでした。でも、そんなことを言っていたら、いまの日本ではきりがないのも事実ですね。今後も頑張りま~す。
返信する
Unknown (映画好きですが)
2009-01-06 23:18:42
自分なりにも調べてみましたが、産経の記事は事実誤認、あるいは曲解してます。映画に対する公的助成の一元化は「靖国」以前、07年末の小泉構造改革時点ですでに決まっていて、むしろ文化庁が芸文振に丸投げしている現状の中での出来事です。映画製作助成が文化庁補助金になったことは事実です。問題は、要綱は政府が決めるとしても採択などは芸文振にまかせるべきところなのですが、その点が現段階であいまいな形になっており、文化庁が内定し、芸文振が採択するという要綱になっている点が問題なのではないかと思っています。
ひとつひとつ、表現の自由を守る立場から考えたいですね。
返信する