情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

選挙後の紙面からも、情報流通、選挙制度改革の必要性は明らか!~力の帝国への抵抗その2

2007-08-01 04:48:11 | メディア(知るための手段のあり方)
 
 
 
 「民主党大勝~ならば、必ず政権交代を…一方、私たちはthe Empire of Forceを克服しよう」(←クリック)というエントリーの中で、①リビング・スピーチを話す自由を得ること(システムとしての表現の自由の実現)、②リビング・スピーチを政治に反映させるシステムを実現すること(完全比例代表制の導入)の重要さを訴えたが、選挙翌々日の結果分析紙面で、その重要性を裏付ける記事が掲載されていたので紹介したい。

 1つは、朝日などが取り上げた片山虎之助氏が落選したことによって放送の自由が侵害されるのではないかという問題(上記①)と、毎日などが取り上げた今回の参院選のような投票が衆院選でもなされたら、民主350議席、自民89議席となり4:1もの大差がつくという選挙制度の問題だ(上記②)。

 ①について、上記朝日(←クリック)は、

【片山氏は「いろんな圧力のガス抜き役、防波堤」(NHK関係者)だった。NHKが9月に策定する経営計画に向けて値下げ論議が再燃しつつあるだけに、防波堤を失ったNHK幹部は「菅総務相と直接話し合うしかない」と不安げだ。
 民放では、番組捏造(ねつぞう)問題を機に菅総務相の主導で放送法改正案に放送局への新たな行政処分が盛り込まれた経緯がある。日本民間放送連盟は「番組への介入だ」と反発。片山氏が中心となって「自主規制が機能している間は発動しない」という留保条件をつけるように調停した。審議は秋以降に持ち越されており、片山氏抜きで「留保条件どころか、法案自体がより厳しい内容になって出し直しになるのでは」と危ぶむ民放幹部もいる】

とレポートしている。

 問題は明白だろう。放送行政を独立行政委員会(政府から独立した機関)に委ねていないために、政府与党による圧力をもろに受けているからこそ、このような問題が起きる。「人」の問題ではなく、「システム」の問題だ。

 日本独自のメディア規制システム(←クリック)を修正する必要性が非常に大きいことはこの記事からも明白だ。

 ただし、残念なのは、この記事が独立行政委員会が必要だという議論まで踏み込んでいないことだ。ポイントは、片山氏が落選したことではなく、世界でもまれな政府直轄放送行政というシステムなのに…。

 ②についての毎日の記事は、上記グラフから明白だ。衆院選だったら、4:1のトンでもない結果(自公が負けることはいいが、4:1だとそれはそれで、勝たせすぎだと思われるのではないか)になったということだ。

 なぜか、それは衆院選は小選挙区がほとんどだからだ。

 今回の参院選では、選挙区73:比例48だが、選挙区のうち、小選挙区(一人区)は29に過ぎない。つまり、小選挙区:非小選挙区=29:92なのだ。

 ところが、衆院選は、小選挙区300:非小選挙区180と圧倒的に小選挙区が多い。そのために、僅かの得票差でも大きく響くのだ。

 今回、自民党と民主党の得票率は、選挙区で31:40、比例区で28:39であった。

 民意としては、ちょうど得票率くらいだったのではないだろうか?つまり、完全比例区だったら、民意がそのまま議席数に反映されるが、小選挙区が中心だと、バンドワゴン効果(勝ち馬に乗る)が効き過ぎることになる。そうなると、逆にそれを見越したアンダードッグ効果(判官贔屓)も生じる…。

 こちとら、神じゃないんだから、そんな微妙なさじ加減はできっこない。

 やはり、分かりやすいシステム、民意が素直に反映されるシステム(←クリック)として完全比例代表制を導入するべきなのだ。

 上記朝日は、【NHK改革などで業界への厳しい姿勢を続けてきた竹中前総務相、菅総務相の路線に対抗するため、片山氏が頼みの調整役だったからだ。自民党内に「後継者」が見当たらず、業界内には「民主党にも働きかけよう」という声が出始めている】という。

 そう、別の人材を捜すというのではなく、システムを変える方向で民主党に働きかけようではありませんか。

 幸い民主党は、独立行政委員会を設けることを提案したことがある。再度、法案として提出して参院を通過させてほしい。

 そして、衆院を比例区とする法案も。

 民主党を本気にさせるには、社民に働きかけるのもよいかもしれない。共謀罪を止めたときのタッグプレーは見事だった。

 今が絶好のチャンスかも知れない。身近な民主党議員、社民党議員に政策提案をしませんか?

 なお、比例区こそが成熟した民主主義社会が選択すべき制度であることについては近々、エントリーを立てます。


 











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4 コメント

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衆院選、協力前提なら僅差で自公勝利も (ゴンベイ)
2007-08-01 11:35:01
緩いエントリーには薬味として辛口情報(笑)


特集――07年参院選分析、今回の獲得票をもとに試算、衆院選なら与野党接戦。
2007/07/31, 日本経済新聞 朝刊, 5ページ

自公の協力前提
単独対決なら民主が大勝
 民主が六十議席を獲得し自民が大惨敗を喫した参院選の各党比例代表得票を基に共同通信社が三十日、次期衆院選の結果を試算すると、単純計算で民主は三百小選挙区と定数百八十の比例代表の合計四百八十議席のうち三百五十を占める結果となった。
 一方、自民、公明が小選挙区で完全に選挙協力をすれば、比例代表も含め計二百四十五議席となり、与党でぎりぎりで過半数を維持できることが分かった。
 各党が単独で戦うと民主は十以上の小選挙区がある北海道、埼玉、東京、愛知、大阪、兵庫、福岡で議席を独占。二〇〇五年の衆院選で「小選挙区全敗」だった青森、栃木、岐阜、和歌山、鳥取、香川で全勝し、小選挙区で議席を獲得したことがない愛媛でも三勝一敗となるなど、比例の八十五と合わせ三百五十議席になった。
 自民は群馬、島根、山口では全勝するが、千葉で二、神奈川は一しか取れないなど都市部で苦戦。小選挙区は三十四、比例も五十五の計八十九議席にとどまる。社民は比例で四、沖縄で小選挙区一を得るが、他の党は比例代表でしか議席を得られない。
 公明は二十五(現有三十一)、共産は十(同九)、国民新はゼロ(同四)、新党日本は一(同ゼロ)。
 ところが自民、公明が選挙協力すると情勢が一変、公明票がキャスチングボートを握っている実態が浮かび上がる。福岡では自公が十一議席をすべて押さえ、単独で臨む場合と正反対。民主躍進の原動力となった一人区の県でも軒並み自公が巻き返し、小選挙区で百六十五議席を獲得できる計算だ。
 予測は参院選の比例代表で各党が獲得した市区町村ごとの得票数を小選挙区や比例代表のブロック単位にまとめ計算した。
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防波堤は最早「無い方が良い」です。 (田仁)
2007-08-01 17:26:51
問題解決を遅らせて事態を拗らせる効果しか、最早「防波堤」には無い!って位、現状は悪いと認識すべきです。
ま、スペインやイタリアや英国で起きた事の周回遅れなんで、九月までにはマスコミが総掛かりで安倍さんを追い込んでると思うんですけど…。
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Unknown (hge)
2007-08-02 02:17:26
システムを変える方向で民主党に働きかけようではありませんか。
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ゴンベイさんの言うように (ヤメ蚊)
2007-08-02 04:26:11
自公協力の問題の大きさも、根深いですね。
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