情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

大学大麻汚染報道にみる報道陣の従順さ~秩序を疑わなきゃ、メディアじゃない

2008-11-18 07:32:41 | メディア(知るための手段のあり方)
 はっきり言って、大学大麻汚染だって騒いでいる報道陣のかなりの数は、大麻くらいはやった経験があるはずだ。外国でちょっと長期に滞在して地元の人と親しくなれば、そういう機会は巡ってくるし、積極的に経験しようと思えば、短期間でも経験できる。もちろん、薬物に厳しい国もあるし、薬物の種類がはっきりしないケースもあるから、海外で経験することをお勧めするわけではないが、実態として海外で大麻を経験した報道陣は多いはずだ。

 そして、海外では合法化されているところもあるように大麻の健康被害は小さいとされる。日本でも大麻吸引罪はない。所持などが禁止されているだけだ。

 それなのになぜ、こんなに騒ぎ立てるのか?犯罪報道は、本来、違法性のレベルに応じて、その価値も変わってくるはずではないのか?自分たちが経験して、そんなに問題だと思ってもいないことをなぜ、騒ぎ立てるのか?

 大麻所持くらいで騒ぐ状況からは、秩序を破った者には秩序を破ったというだけで制裁を加えるという恐ろしい社会的な意思を感じざるをえない。メディアは自分たちが秩序違反そのものを問題視する社会をつくりだすお先棒を担いでいるという認識はあるのだろうか?

 秩序はすべて守らなければならないわけではない。政府に押しつけられた秩序の中には不当なものもあり、破ってもかまわないものもあれば、むしろ、破るべきものだってありうる。

 分かりやすいのは、信号だ。日本では、車が来てもいないのに、赤信号を守って渡らない人が多い。信号がなぜあるかというと、本来は、車の切れ間に横断すればよいが、車が多くて、切れ間がないから、信号で人工的に切れ間をつくっているだけのことだ。したがって、趣旨から言えば、自然に切れ間ができたら、渡ってもかまわない(もちろん、本稿は、信号違反をすすめる趣旨ではない。たとえ話として取り上げているだけなので、誤解しないように)。

 もちろん、子供だったり、お年寄りだったりして、安全に渡れるかどうかの判断がつかなかったり、やはり青信号になってから渡った方が安全だと考えるのであれば、車が来ないのに赤信号に従うのも当然だろう。

 しかし、絶対に安全に渡れるのに、赤信号だというだけで、青信号を待って渡るという積極的な選択をするわけでもなく、ただ1分も2分も、赤信号に従っている姿は、まるで、「お預け」を命令された犬のようだ。

 大麻くらいで大騒ぎすることは、お預けに無条件で従う者を増やすことにつながる。弁護人としての立場から離れて物を言わせてもらえば、秩序=守るべきもの、という考え方が、グリーンピースのメンバーが行った鯨肉横領疑惑追及行動をも批判することにつながるのだろう。

 イギリスでは、気候変動に影響を与える石炭の燃焼を止めようとして刑事訴訟を起こされたグリーンピースUK(英国支部)のボランティアスタッフ6人に、無罪の判決が下された。この6人は、昨年、イギリス南部ケント州のキングズノース石炭火力発電所の煙突に登り、煙突の側面にイギリス首相の名前をペンキで描いたことで刑事訴訟を起こされていた。これに対し、陪審団は、危険な気候変動を抑止するため人間が直接的な行動をとる権利を支持し、無罪判決を言い渡した。


 秩序を疑わなきゃ、メディアじゃない!秩序を疑わなきゃ、自立した市民にはなれない! 

 疑うというのは、なぜ、その秩序があるのか、その秩序違反にはどのような罰則が適切か、ある行為には秩序違反を上回る利益があるのではないか…というようなことだ。

 お上の言うことを丸呑みするようでは、メディアとしての役割を果たしているとは言えないし、市民としても自立しているとはいえない。

 大麻取締法違反なんかで大騒ぎすることの弊害を知れ! 
 





【PR】





★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。