情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

田母神論文は自民党の本音?!~「航空自衛隊を元気にする10の提言」にもかかわらず任命した責任は重い

2008-11-02 11:39:08 | 有事法制関連
 政府は田母神航空幕僚長の更迭で決着ををつけようとしているが、田母神幕僚長は、航空自衛隊幹部学校幹部会発行の『鵬友』に「航空自衛隊を元気にする10の提言」という論文を平成15年から平成16年にかけて発表をしている。そこには、特異な歴史観、情報公開に対する嫌悪感などが充ち満ちている。彼が航空幕僚長に任命されたのは平成19年、自衛隊での情報公開請求者のリストアップ問題が明らかになった後だ。それにもかかわらず、このような人物を航空自衛隊のトップに据えること自体、自民党・公明党の「本音」を表しているというほかない。また、いったい、防衛省記者クラブの記者は、田母神幕僚長が任命される際に、なぜ、このような論文を書いている人物であることを大きく報道しなかったのか?いまになって騒ぐのもよいが、自らの監視機能に問題があることもきちんと検証してほしい。

 「航空自衛隊を元気にする10の提言」という論文は、堂々とインターネットに掲載されている。
http://15b-nakama.hp.infoseek.co.jp/Tamogami/2003_2004Tamogami.shtm


 掲載されているのは、「防衛大学校 第15期生の公式ホームページ」(http://15b-nakama.hp.infoseek.co.jp/index.html)だ。

 ところが、このホームページ、堂々と公開している割には、「個人利用目的での内容の転記、コピーは自由ですが、営利目的やマスコミ等での転用・利用は禁止致します。」と書いてある。

 ようは、「マスコミさんよ、ここに書いてあることを批判したら、只ではおきまへんで!」…という脅しですな。

 あほか、防衛大学15期生! 堂々と主張しておいて、批判からの治外法権を主張するな!

 という前振りのうえ、主題に入る。

 田母神「航空自衛隊を元気にする10の提言」論文は3回に分けて発表されたようだ。 


http://15b-nakama.hp.infoseek.co.jp/Tamogami/2003_07Tamogami01_frame.html

http://15b-nakama.hp.infoseek.co.jp/Tamogami/2004_03Tamogami02_frame.html

http://15b-nakama.hp.infoseek.co.jp/Tamogami/2004_07Tamogami03_frame.html

 パート1は、いきなり、

【例えばわが国が近年推進している男女共同参画社会、夫婦別姓、情報公開、公務員倫理法等は、その有用性を否定するものではないが、他方これが日本弱体化のために利用されているのではないかという危惧を禁じえない。】という主張から始まっている。

 情報公開については、【情報公開は、民主主義国家において国民が政府の活動を理解する上では当然のことであるが、わが国においては本来これとペアであるべき機密保護に関する法律がない。情報公開に熱心な人たちが一方では、機密保護法がないことには頬かむりしているのが心配である。これら両法はペアであることが先進国の普通の姿である。自由民主主義の国では、国家は国民を守るものである。それにも拘らずわが国では国家を危殆に陥れるような重大な国家機密を漏洩しても軽微な犯罪として取り扱われる。国の安全保障上問題である。】ともっともらしいことを述べているが、【本来これとペアであるべき】なんてことはまったくない。情報公開をしたからといって、機密情報までが公開されるわけではないからだ。何だかんだといって、単に情報を公開しないでおこうというメッセージを発しているとしか思えない。



 次に、部下からの報告については、【報告は本来報告を受ける人の状況判断に必要な事項に限られるべきであり、何でもかんでも報告されるべきでない。これまで部隊等において上下の意思疎通をよくするためにと称して「何でも報告せよ」と指導されたこともあったが、私はこれは基本的に間違いであると思っている。不必要な細事を上級指揮官の耳に入れて上級指揮官を煩わせるべきではない。上級指揮官には常に大局的判断に専念してもらうことだ。また上級指揮官は部下指揮官の所掌事項について細部にわたり知りたがってはいけない。組織の能率を低下させ、部下指揮官のやる気を失わせるだけである。】と、現場の独断を許し、上司が責任を免れるような構造をつくろうとしていることが伺える。まったく危険な発想だ。


 そして、マスコミを脅す。【一民間人が起こしても何の話題にもならないような事故でさえも自衛隊員が起こした場合、マスコミ等で激しく叩かれる場合がある。しかも10年以上も前に自衛隊を辞めて民間人になっている人あるいは昔自衛隊に数ヶ月勤務しただけの人の不祥事についても元自衛官などと報道される場合もあり、それ自体は確かに事実ではあるが、なんとなく不自然さやある種の意図を感じざるを得ない。】【自衛隊員がやる気をなくすことが無上の快楽である人たちに迎合しては国益を失ってしまう。よく自衛隊に対する信頼が失われたとか、警察に対する信頼が失われたとか報道されることがあるが、今までわが国においては自衛隊に対する信頼も警察に対する信頼も失われたことは一度もないと私は思う。】


 そして、国民を脅す。【自衛隊は、部外の人に対する対応について、極めて公正、公平な組織であると思う。私は行き過ぎているくらいだと思っている。この国を愛し国民の発展を願う善良な人も、とても善良であるとは思えない人も同じ扱いをしようとする。自衛隊を応援してくれる人と反自衛隊活動をする人さえ同じく扱おうとする。しかし何だか少し変な気がする。私は本当の公正、公平と不公正、不公平は、もう少し中間点がずれたところにあるのではないかと思う。現在自衛隊が実施している公正、公平は反自衛隊の人たちから見て極めて公正、公平なのだ。そして自衛隊を応援してくれる人たちから見た場合には極めて不公正、不公平に見えるのではないだろうか。自衛隊を応援してくれる人たちは、「俺とあいつが同じ扱いか?」と感じるに違いない。しかしこれらの親自衛隊派の人たちはそれでも自衛隊に注文をつけてくることはまれである。自衛隊は、反自衛隊派の批判を恐れ彼らを丁重に扱い、親自衛隊派の人たちに我慢を強いているのだ。あるいは親自衛隊派の人たちに自衛隊が甘えさせてもらっているのだ。しかしこれが長い間続くと親自衛隊派の人たちが自衛隊を離れてしまう。国家安全保障にとってマイナスになる。私は決して違法行為を勧めているわけではない。公正、公平にもグレーゾーンがある。このグレーゾーンを親自衛隊派の人たちのために最大活用すべきである。私は自衛隊はもう少しえこひいきをしていい、即ちグレーゾーンを活用していいと思っている。】



 そして、歴史認識については、【問題は自衛隊が歴史教育を正す運動をどう考えるかである。もちろん自衛隊には本件に関する法律上の責任は全くない。しかしながら今後とも学校教育において日本の国の悪いところばかりを強調するような歴史教育が継続されることは、国家安全保障上重大な問題があるのではないか。学校を卒業した一般国民は、そんな悪い国なら守るに値しないと考えて当然である。しかしながら事実はどうか。第2次大戦前の我が国の中国、韓国や東南アジア諸国に対する対応は欧米列強の対応に比較すればよほど穏健である。道路や鉄道などインフラを残し、回収が投資を下回るような植民地政策を実施したのは列強の中では我が国だけである。一番悪くない日本が一番悪く言われている。】と語っている。


 パート2では、自衛隊が海外に出て行ける仕組みを自ら作ろうと唱っている。
【我が国は、これまで自衛隊の海外派遣については個別の事案ごとに法律を作り対処してきたところであるが、今、自衛隊の海外派遣のための包括法を作る動きがある。自衛隊も今後要求される海外或いは国内における行動を予測して、年度の業務計画の一環として定例的に法律改正要求を実施していくことが必要ではないかと思う。それをやらないとこの動きの速い世界の中では、自衛隊が国家のために適時適切に行動することが困難になる。またそれをやることによって自衛官も我が国の有事関連法制等の要改善事項等を把握することが出来る。】


 情報公開について、少しつっこんで、隠せ、と指示をしている。【公人や公的な組織にもプライバシーがあると考えて良いのではないか。自衛隊は国の安全保障を最終的に担保する組織であり、公にできない秘密が存在することはいかなる人も否定はできない。しかしそれ以外にも自衛官にも自衛隊にもプライバシーが認められていいと思う。部隊や隊員が三面記事や週刊誌で笑われただけで終わるようなもの、いわゆる身内の恥的なものまで公開されるようになると、隊員は自分のことを上司に相談することができなくなる。上司に知られてしまえば全て情報公開の対象になってしまうようでは部下隊員の指揮官に対する信頼感は失われてしまう。
 最近はマスコミの情報が迅速でまた突っ込みも厳しいので、下手に隠すと後が大変になるというようなことを聞くことがある。それは言葉を換えれば、「俺はマスコミで叩かれるのがいやだから部下隊員を護らない」と言っているに等しい。上司が部下を護れないことほど上司に対する信頼を失わせるものはない。社会的な影響が大きいか又は国民に損失を与えるようなものでない限り指揮官は部下隊員や部隊の保全に努めるという明確な意志を持つ必要がある。自分の部下が公衆の面前で笑われたり辱めを受けたりすることは指揮官の恥である。指揮官のその姿勢が部隊団結の基盤なのだ。】



 隠すだけはなく、情報操作をするように指示している。【この第2の戦場における戦いは、我が国においては戦時のみならず平時から常続的に実施されていると考えた方がよい。特に我が国の場合、他の先進国と違い国家防衛についての国民的合意が必ずしも十分とは言えないため、平時からマスコミ関係者や国民に対し、国防の必要性について理解を深めさせる努力が必要である。これまで自衛隊の各級指揮官は第1の戦場における勝利を目指し部隊の練成に精を出してきた。それはもちろん我々自衛官の最重要任務であるが、今後は第2の戦場における勝利も併せて追求しなければならないと思う。そのため各級指揮官は平時から第2の戦場における戦いについて明確に意識しておくことが必要である。我が国においては反日グループの熱心な活動のせいで、自衛隊があるから戦争になると信じ、自衛隊の動きを出来るだけ封じたいと思う人たちが多い。これらの人たちは、あれやこれやで自衛隊を攻撃し、自衛隊の精神的弱体化を目論んでいる。一部マスコミにはこれを支持する人たちもいる。自衛隊はいま第1の戦場で戦うための訓練をしながら、第2の戦場では正に戦闘実施中なのだ。冷戦が終わってなお我が国には国内でイデオロギーの対決、すなわち冷戦状態が残存している。私たちはこれまでこれを戦いと認識していなかった。だから攻撃されてもそれを止むを得ないものと感じ、防御手段も講ずることをしないし、まして積極的な攻勢に打って出ることなど考えもしなかった。今ならインターネットを使って簡単に反論することも可能である。国民の国防意識の高揚という第2の戦場における戦いは、自衛隊はこれまで総理大臣や政治家の戦いだと思ってきた。しかしこれからは、各級指揮官や基地司令等がこれを第2の戦場における戦いと位置付けて勝利を追求することが必要であると思う。】

 これくらいにしておくことにしよう。このブログは、マスコミではないが、【「個人利用目的での内容の転記、コピーは自由ですが、営利目的やマスコミ等での転用・利用は禁止致します。」】とあるので…。

 おお、こわっ!




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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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-「銃」と「投票箱」が両立する民主主義なんて-橋本勝の政治漫画再生計画第144回

2008-11-02 10:19:45 | 橋本勝の政治漫画再生計画
【橋本勝さんのコメント】
いよいよアメリカ大統領選の日がくる
民主党のオバマ候補が、支持率で共和党のマケイン候補を
リードしていて当選の可能性が高い
アメリカ史上初の黒人大統領の誕生という
エポックメーキングな大統領選となりそうである
だが、とんでもないことが起こるのではないかという
不安を覚えるのだ
すなわちオバマ暗殺の恐れである
実際に10月27日、オバマ暗殺を企てたということで
2人の白人至上主義者の若者が逮捕された
一部の狂信的な暗殺者の手によって
政治が捻じ曲げられてしまうという
忌まわしいアメリカの歴史が
くり返されてしまうのだろうか
ブッシュよ、あんたの米大統領としての最後の仕事として
米国内に頑固にはびこる人種差別集団の代表格の
あのK・K・K団をはじめとする狂信的テロリストたちの
殲滅作戦を実行したらいかが
それこそテロとの戦いというもの
それにしても再び大統領が暗殺されてしまうなんてことが起こったら
世界はアメリカにあきれはて
アメリカはとても民主主義のリーダーとはとてもいえない
前世紀的な野蛮な国ときめつけるであろう


【ヤメ蚊】
 いよいよ、明後日となった大統領選、「テロ」のからくりを明らかにする政権が選ばれることを願っています。「テロ」は、軍事力ではなく、経済的支援・市民の啓発でしか解決しないことは明らかなのですから…。




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