tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

6億円当たった時の「リアルに徹した」シミュレーション

2012-11-27 23:56:02 | 雑感
昨日のブログからの連想の続き。

BIGでも宝くじでもいいや。6億円当たったとしての「リアルに徹した」シミュレーション。

当選が判明した時刻は便宜的に夜とする。
なにしろ「秘め事」なわけだから、「白日の下」よりも「闇に紛れて」のほうがリアルだ。

しんと静まり返った自宅でひとり呟く。
「よしっ!」とか、「ついにやったよ!」とか、「ザマー見やがれ!」とかなんとか、まあその時の気分で。
その瞬間に自然と頭に浮かんだオリジナリティー溢れる感嘆詞に、そこはかとないリアルさをおぼえて、
自分は自分の置かれた状況の破格なことを、あらためて噛み締めることになるだろう。

まあ、文字通り「じっとしていられない」だろうね。
ちょっと表でも歩こうよ、ってことになる。
近くの小川の川沿いの遊歩道がいい。
暗いしひと気もないから、誰からも表情を読まれない。
道はきわめて単純、川の流れに沿って一筋で続いているだけだから、
交差点でどっちに行こうなどと迷う必要もない。
寒さに打ち震えるのはこの状況にそぐわないので、
着ぐるみのように完全防寒、モコモコに厚着をして家を出る。

あまり早足になるな。あまり大股にもなるな。
歩いているうちに徐々に自分のペースをつかむだろう。

さてよー、どうするんだよー、俺はよー。
と自分に問うてみるが、唇の端に笑みがこぼれるだけで、答えなんて出てこない。
いやそもそも、本当は答えなんて求めていない。
答えなんていらないじゃん。だって、そこに大金がある、それで充分。

この川は市街地から離れたところを流れているので、
このまま進んでも自分はどこにも辿り着けないことはわかっている。
だから適当なところでふっと川から逸れる。
そうして歩いていけばいずれ地下鉄の駅にぶつかるだろう、と思う。
自宅の最寄り駅から2つとか3つ離れた程度の駅だ。
(所詮その程度のエスケープであることは心のどこかで自覚している。
「興奮しすぎたあまりに気がついたら隣の県まで行っちゃった」なんてことにはならない。さすがに)。
駅前にはチェーンのファミレスがあり(多分あるだろう。どこにだってある)、そこに入る。
金持ちになったんだからこれからは一流の名店に入ろう、などとは思わない。
この時点ではまだそんな余裕はない。

まあ注文するメニューはいろいろ奮発するだろうな。
「奮発」って言ったって、ステーキのセットにドリンクバーをつけて、
「山盛りポテトフライ」と「フルーツパフェ」を足すくらいだ。
(祝杯のビール、とは思い浮かばないところが、あまり酒飲みではない自分らしい)
そんな程度の散財なら宝くじに当たらなくたってできる「贅沢」だけど、
ここは敢えて、“6億円の男”らしからぬ安っぽくキッチュな「贅沢」を演出して、
意地の悪い満足感に浸ってみるわけだ。

腹も膨れて店を出る。
よくわからない街角に自分は立っているが、そこからタクシーで帰ろうなどとは思わない。
地下鉄の駅を下りていって、いつもの電車で帰るのだ。
「だってタクシーなんてもったいないじゃない?」。それはもう、体に染みついた感覚だ。

いつもの駅、いつもの帰宅の道筋、
考えるともなく考えに耽るうちに、あっという間に家に着いてしまう。

寒い。まず風呂だ。浴槽になみなみとお湯を張る。
「肩の下辺りが水面に浸れば充分」とか、もう水位のことなんて気にしない。
「だって俺はもう高額当選者なわけなんだから」
そう思い、自分はこれから先、何につけてもことあるごとにそう思うんだろうなと思う。
「だって俺はもう高額当選者なわけなんだから」
たゆたうたっぷりとした湯の水圧の下で、自分はそう思う。

風呂を出れば、時間はまだ早いけれど、今日はもう寝てしまうことにする。
俺は寝ることこそが至福なんだ。文句あるか?
もうつまらん雑事にも煩わされまい。
「だって俺はもう高額当選者なわけなんだから」

余は満足じゃ。

<追記>
6億円を手にした後のことについても考えてみた。

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