脚本 長坂秀佳、監督 山口和彦
東京湾から水死体が上がった。死体の着衣からヘロインが発見されたため、特命課が捜査に乗り出す。死体の検視に当たったのは、法歯学(ほうしがく)の第一人者である女性教授・冷泉。なぜか神代課長を目の仇にする冷泉に反感を抱いた吉野は、死体を縛っていたロープを見せつけ「自殺ですか?他殺ですか?」と即答を迫る。「解剖後にお答えするわ」と相手にならない冷泉に、吉野はロープが緩んでいたことを根拠に自殺だと主張。「これは学問じゃない。場数を踏んで初めて分かる経験です」と得意げな吉野に、冷泉は「私があなたを殺すときは、わざと緩く縛ってあげるわ」と冷笑する。
死体の胃から睡眠薬が検出されたため、再び自殺説を持ち出す吉野だが、冷泉は後頭部に指の圧痕を発見し、他殺を主張。さらに、死体の歯の治療跡から職種や経済状況、釣りの趣味までを推察する。その手腕に驚きつつも反発を隠せない特命課に、冷泉は意趣返しのように、紅林に指示してヘリを乗り回した後で「ただ乗ってみたかっただけ」と言い放つ。
その後、死体の肺に残っていた水質から、犯行場所は荒川と推定される。しかし、冷泉は死体に付着していたヘドロが多摩川のものと割り出し、犯行場所を偽装するトリックだと見抜く。特命課に乗り込み推理を披露する冷泉だが、すでに特命課でも「潮流を確認しろ」との神代の指摘から、真の犯行場所を突き止めていた。「それくらい、我々も捜査済みです」とムキになる紅林に、冷泉は死体の歯の治療法から施術者と思われる歯科医の出身校を割り出し、多摩川付近の該当者をリストアップする。
半信半疑ながらもリストを調べたところ、死体を治療した歯科医が見つかる。被害者は多摩川付近の工場主で、夜釣りに出かけたまま行方不明となっていた。工場を調べたところ、口紅の付着したワイシャツが発見され、女性と逢引していたのではないかと推察された。冷泉は口紅がわざと付けられたものだと分析。「犯人が女だと思わせるための偽装であり、真犯人は男だ」と主張する。だが、大阪へ出張中の神代は、電話で冷泉の分析を聞くと「魚を狙うのがいつも猫とは限りませんよ」と反論する。
その後、「歯科医が被害者から治療ミスで訴えられかけている」との噂があったことから、歯科医が容疑者に浮上。歯科医は次期教授選を控えており、犯行動機は充分にある。さらに、現場付近で発見されたタバコは歯科医のものと分析された。だが、自分の推理どおりの結果に満足する冷泉のもとに届いたのは、神代からの「策士策におぼれる、犯人に法歯学の知識あり、ヘロインの意味は何か」との伝言だった。伝言の意図を考え抜いた冷泉は、自らのミスに気付く。ヘロインは麻薬関係の事件と思わせ、特命課や法歯学者を捜査に関わらせるためのものであり、法歯学を逆手にとってミス・ディレクションを誘った真犯人は、歯科医と教授選を争う女助教授だった。
特命課とともに女助教授を訪れ、自身の推理をぶつける冷泉だが、女助教授は「何の証拠がある」と突っぱねる。だが、被害者の着衣に残されたクリームの痕が、漆かぶれを予防するものだったことが証拠となり、女助教授はついに敗北を認める。「男なんかに負けたくなかった」と動機を語り、「でもいいわ。私が負けたのは、同じ女性だもの」と負け惜しみのように口走る助教授。だが、先に女助教授のトリックを見破ったのは神代であり、自分もまた神代に敗北したのだと知る冷泉は、複雑な思いで女助教授を見つめるのだった。
350回記念作として、神代課長を演じる二谷英明の奥様、白川由美をゲストに迎えた一本。不勉強ながら、白川氏については何も知りませんでしたが、調べて見ますと「ラドン」や「美女と液体人間」でヒロインを演じるなど、特撮方面でも有名な方でした。脚本を担当した長坂氏の著書によれば、夫婦対面が実現しなかったのは白川氏の希望とのことですが、419話「女医が挑んだ殺人ミステリー!」で再登場した際には、いよいよご対面とのこと。神代と冷泉の過去の因縁も、その際に明らかにされるでしょうか?楽しみに待ちたいと思います。
内容的には、緻密なトリックと、それを解き明かしていく過程が見所と言えますが、練りに練りすぎた余りに視聴者を置いてきぼりな感が否めません。特に、ラストで真犯人を追い詰めるシーン。余りにややこしいので粗筋では省略しましたが、「女助教授が実際の漆でなくてもかぶれること」と、「死体の着衣に残っていたクリームが助教授のものであること」の間には、何の論理性もありません。こうした「論理でなく、精神的ショックを与えることで真犯人を屈服させる」という展開は、長坂脚本に限らず特捜ではよく見られるシーンですが、正直、余り感心しません。また、実際の捜査に参加してないにも関わらず、わずかな情報をもとに真相を見通す神代課長の推理力は、ほとんどご都合主義に近いようにも思われます。
まあ、推理小説を読んでいるわけではないので、余り細かなとことろに目くじらを立てるつもりはないのですが、演出でうまく誤魔化される場合と、気になってドラマどころではなくなってしまう場合があります。今回は誰が見ても後者であり、ちょっと納得いかない仕上がりと言えます。
東京湾から水死体が上がった。死体の着衣からヘロインが発見されたため、特命課が捜査に乗り出す。死体の検視に当たったのは、法歯学(ほうしがく)の第一人者である女性教授・冷泉。なぜか神代課長を目の仇にする冷泉に反感を抱いた吉野は、死体を縛っていたロープを見せつけ「自殺ですか?他殺ですか?」と即答を迫る。「解剖後にお答えするわ」と相手にならない冷泉に、吉野はロープが緩んでいたことを根拠に自殺だと主張。「これは学問じゃない。場数を踏んで初めて分かる経験です」と得意げな吉野に、冷泉は「私があなたを殺すときは、わざと緩く縛ってあげるわ」と冷笑する。
死体の胃から睡眠薬が検出されたため、再び自殺説を持ち出す吉野だが、冷泉は後頭部に指の圧痕を発見し、他殺を主張。さらに、死体の歯の治療跡から職種や経済状況、釣りの趣味までを推察する。その手腕に驚きつつも反発を隠せない特命課に、冷泉は意趣返しのように、紅林に指示してヘリを乗り回した後で「ただ乗ってみたかっただけ」と言い放つ。
その後、死体の肺に残っていた水質から、犯行場所は荒川と推定される。しかし、冷泉は死体に付着していたヘドロが多摩川のものと割り出し、犯行場所を偽装するトリックだと見抜く。特命課に乗り込み推理を披露する冷泉だが、すでに特命課でも「潮流を確認しろ」との神代の指摘から、真の犯行場所を突き止めていた。「それくらい、我々も捜査済みです」とムキになる紅林に、冷泉は死体の歯の治療法から施術者と思われる歯科医の出身校を割り出し、多摩川付近の該当者をリストアップする。
半信半疑ながらもリストを調べたところ、死体を治療した歯科医が見つかる。被害者は多摩川付近の工場主で、夜釣りに出かけたまま行方不明となっていた。工場を調べたところ、口紅の付着したワイシャツが発見され、女性と逢引していたのではないかと推察された。冷泉は口紅がわざと付けられたものだと分析。「犯人が女だと思わせるための偽装であり、真犯人は男だ」と主張する。だが、大阪へ出張中の神代は、電話で冷泉の分析を聞くと「魚を狙うのがいつも猫とは限りませんよ」と反論する。
その後、「歯科医が被害者から治療ミスで訴えられかけている」との噂があったことから、歯科医が容疑者に浮上。歯科医は次期教授選を控えており、犯行動機は充分にある。さらに、現場付近で発見されたタバコは歯科医のものと分析された。だが、自分の推理どおりの結果に満足する冷泉のもとに届いたのは、神代からの「策士策におぼれる、犯人に法歯学の知識あり、ヘロインの意味は何か」との伝言だった。伝言の意図を考え抜いた冷泉は、自らのミスに気付く。ヘロインは麻薬関係の事件と思わせ、特命課や法歯学者を捜査に関わらせるためのものであり、法歯学を逆手にとってミス・ディレクションを誘った真犯人は、歯科医と教授選を争う女助教授だった。
特命課とともに女助教授を訪れ、自身の推理をぶつける冷泉だが、女助教授は「何の証拠がある」と突っぱねる。だが、被害者の着衣に残されたクリームの痕が、漆かぶれを予防するものだったことが証拠となり、女助教授はついに敗北を認める。「男なんかに負けたくなかった」と動機を語り、「でもいいわ。私が負けたのは、同じ女性だもの」と負け惜しみのように口走る助教授。だが、先に女助教授のトリックを見破ったのは神代であり、自分もまた神代に敗北したのだと知る冷泉は、複雑な思いで女助教授を見つめるのだった。
350回記念作として、神代課長を演じる二谷英明の奥様、白川由美をゲストに迎えた一本。不勉強ながら、白川氏については何も知りませんでしたが、調べて見ますと「ラドン」や「美女と液体人間」でヒロインを演じるなど、特撮方面でも有名な方でした。脚本を担当した長坂氏の著書によれば、夫婦対面が実現しなかったのは白川氏の希望とのことですが、419話「女医が挑んだ殺人ミステリー!」で再登場した際には、いよいよご対面とのこと。神代と冷泉の過去の因縁も、その際に明らかにされるでしょうか?楽しみに待ちたいと思います。
内容的には、緻密なトリックと、それを解き明かしていく過程が見所と言えますが、練りに練りすぎた余りに視聴者を置いてきぼりな感が否めません。特に、ラストで真犯人を追い詰めるシーン。余りにややこしいので粗筋では省略しましたが、「女助教授が実際の漆でなくてもかぶれること」と、「死体の着衣に残っていたクリームが助教授のものであること」の間には、何の論理性もありません。こうした「論理でなく、精神的ショックを与えることで真犯人を屈服させる」という展開は、長坂脚本に限らず特捜ではよく見られるシーンですが、正直、余り感心しません。また、実際の捜査に参加してないにも関わらず、わずかな情報をもとに真相を見通す神代課長の推理力は、ほとんどご都合主義に近いようにも思われます。
まあ、推理小説を読んでいるわけではないので、余り細かなとことろに目くじらを立てるつもりはないのですが、演出でうまく誤魔化される場合と、気になってドラマどころではなくなってしまう場合があります。今回は誰が見ても後者であり、ちょっと納得いかない仕上がりと言えます。
アッキーパパさん同様、オフ会でロケ地の話題に花を咲かせるのが楽しみです!
で、ぶらぶら界隈を散歩してたら冷泉教授と吉野が捜索するシーンでも京急線が出てたな~と脇に逸れたら「一円玉の詩!」で使用された京急羽田線と首都高速が交差する例のロケ地を発見!「ココかよ!!!」。
紅林と吉野が車で海老取川の弁天橋から土手伝いに水門~旧・大師橋に走行するシーンなど、かなりロケが集中してるのを実感。
河原は彼岸花が咲き乱れ、対岸の川崎側ではプラントの煙突から激しく炎が噴き上がってました。視線を彼岸から橘&紅林が歩いた多摩川の河原に戻すと、被害者の工場はマンションに立替えられてました。
そういえば夏さんも赤いジャンパー姿で登場したエピソードが有ったな~としみじみしてました。橋の赤、彼岸花の赤、煙突の赤、ハゼ釣りのオモリの赤・・・。因みに釣った獲物は天ぷらにして油炎の中へ(もちろん赤い縁取りの鍋を使用 ^^)。お後がよろしいようで。