今日で4月も終わり。
本来なら穏やかなはずの春暖はどこへやら、今月も激動のひと月となった。
流れるのは厳しいニュースばかりで、世の中の空気は重い。
目に見えるほどの明るい兆しもなく、暗雲はどこまでも垂れこめている。
そこへもってきて、私は、安酒で誤魔化せるほど能天気な性格ではなく、なかなか明るい気持ちになれないでいる。
そんな今月中旬のこと。
私は、仲間4人と、とある民家に向かった。
現場は一般的な木造二階一戸建、築年数は50年くらいか。
空き家になってから、そう時間が経っていなかったにも関わらず、家屋は著しく劣化。
室内もまた、結構な傷みが出ていた。
頼まれた仕事は家財撤去、依頼者は亡くなった住人の遺族。
「遺族」といっても、子や孫ではなく、ちょっと複雑で薄い関係。
家財や家屋はもちろん、故人にも特段の思い入れはないようで、非情にも見えるくらい冷淡。