特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

迷 ~後編~(公開コメント版)

2012-05-06 08:34:42 | Weblog
翌日の朝・・・
私は、アパートの近くの大家宅を訪問。
作業開始の挨拶と、大家の指示・要望を聞くためだった。
大家や管理会社の意向によっては、作業内容を大きく変えざるを得なくなるケースもある。
やはり、あまり神経質になられると、仕事はやりにくい。
したがって、インターフォンを押す私は、ちょっと緊張していた。

玄関に現れたのは年配の男性。
大家は、私が何者かすぐにわかったようで、開口一番「ご苦労様」。
現れた強面に、一瞬、緊張度が増した私だったが、その一言で緊張は和らいだ。
私は、「これから作業をはじめますので、ヨロシクお願いします」とペコリ。
それから、作業を実施するにあたっての注意点や要望を訊ねた。

自分のアパートをあんな状態にされて心中穏やかではなかっただろうに、大家からは特に細かい指示はなし。
前日のうちに母親から連絡を受けていたこともあり、二つ返事で作業実施を承諾。
とにかく、悩みの種だった部屋がやっと片付くことになってホッとした様子。
「お手数おかけします」「ヨロシクお願いします」と頭を下げてくれ、軟らかくなっていた緊張感を更にほぐしてくれた。

それから、私は現場アパートを訪問。
算段は、午前中は室内で荷造梱包をし、午後から荷造梱包をしながら搬出するというもの。
意図してかどうかわからなかったが、この日もまた女性は不在。
母親によると、「捨ててほしくないものを伝えて外出した」とのこと。
そして、母親も、意見もせずそれを許したよう。
私は、「酷なようだけど、自分のしでかしたことの尻拭いを母親がしている姿を女性に少しでもみせた方がいいのではないだろうか・・・」と内心で不満に思った。
反面、これまでの経緯から女性と顔を合わせるのは気マズイため、ホッとしたのも事実だった。

室内の様子は前日と少し変わっていた。


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