特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

立って半畳・寝て六畳(後編) (公開コメント版)

2007-11-13 17:49:19 | Weblog
顔の表情からその中の感情を推察するのは難しい。
この現場に現れた大家の男性は、怒ったような表情をしていたが、実際はどうだかわからなかった。
とにかく、固い表情のまま私達に話し始めた。

このアパートは昭和30年代に建てられたもの。
当初の入居者は若い人ばかり、夢を持った学生や若い独身者で活気に溢れていた。
しかし、築年数が古くなるに従って、入居してくる年齢層も上昇。
近年は老人ホームにでもなったかのように、どの部屋も独居老人ばかりになった。
初老だった故人もそんな時期に入居してきた一人。
近隣ともうまく付き合い家賃もきちんと払っていた故人は、大家の心象もよかった。
それからしばらくの時が流れ、アパートは次第に空室が目立つようになってきた。
しかし、大家は、新たに入居者を募集することもなく、アパートを取り壊す算段を始めた。
そんな中で、故人は最後の住人になった。
そして、アパートは、故人が退去し次第に取り壊されることに決まった。




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