特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

整心力(公開コメント版)

2015-04-01 16:57:19 | 特殊清掃 消臭消毒
今日から四月、新年度のはじまり。
とは言っても、前ブログに記したとおり、私には特に変わったことはない。
何の節目もないまま、いつもの春を感じているだけ。
でも、世間の雰囲気にあやかって、少しは新鮮な気分を味わいたい。
心も身体もリフレッシュして、残された日々を満喫したいと思っている。

というわけで、昨夜は夜桜を愛でに公園へ出掛けた。
面倒臭がりの私が、風情を楽しむために、仕事の後わざわざ出掛けるなんて珍しいことだけど、出掛けた甲斐はあった。
陽下の桃色桜は気持ちが浮いてくるような感じだけど、月下の白色桜は気持ちが静まるような感じがして、また違う趣があった。
お陰で、マンネリにだらけた心が、少しは生き返ったような気がした。

そうは言いつつも、なかなかリフレッシュできないこともある。
そう・・・チビ犬のことだ。
いなくなって四ヶ月半余が過ぎたのに、なかなか立ち直れないでいる。
もう、大泣きすることはなくなったけど、「会いたい・・・」と思うと目が潤む。
遺影になってしまった待受画面を見ると、「ホント・・・可愛かったなぁ・・・」と思う。
そして、色んなことを想い出してはこぼれる溜息混じりの独り言に心を乱されている。

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大福中毒(公開コメント版)

2015-03-24 09:26:31 | 特殊清掃 消臭消毒
私は、甘味が好き。
食べることだけではなく、見るのも好き。
洋菓子・和菓子を問わず、色とりどり・多種多様の菓子が店頭に並んでいるのを見ると、子供のように気持ちが軽くなる。
クリスマスシーズンには、洋菓子店にかぎらずスーパーやコンビニにケーキのチラシが出回るが、それだけをもらって眺めてはほのぼの感を味わうこともある。
そういった具合に、菓子は、平和と豊かさを感じさせてくれる。
そして、それは、こんな社会にいられることがホントにありがたいことであることを気づかせてくれる。

そんな私だが、昨秋から冬にかけてプチダイエットを敢行。
その期間は、おのずと甘いものは控えざるを得なかった。
菓子は身体を生かすうえでの必需品ではない。
食べなくて精神の健康を害することはあるかもしれないけど、身体の健康を害することはないはず。
だから、とにかく、甘いものは口に入れないよう注意した。
しかし、理性で本性を変えることはできない。理性は本性を抑えるのみ。
“食べたい!”という欲求を抑えるのには、結構な辛抱を要した。

特に食べたくなったのは大福。
ケーキでもアイスクリームでも団子でもなく大福。
以前、大山(神奈川県伊勢原市)に登山した際の塩豆大福との葛藤を書いたことがあったが、アレで味を占めてしまい、以降、まるで中毒にでもかかったみたいに大福への欲求が治まらなくなってしまった。
しかし、まがりなりにもダイエット中。
自分の中では、おやつを食べるのはタブー!
そこで一考。
皿に切餅を並べ、チンしてやわらかくなったところに餡をかけたものを製作(“調理”といえるほどのものではない=カレーライスのカレーを餡に、ライスを餅にした感じのもの)。
そして、
「これは菓子じゃないぞ!御飯だ!御飯!」
「俺は欲望に負けたわけじゃない」
と、言い訳にしかきこえない屁理屈で痩せたダイエット魂を押さえ込んだ。
そして、これ一回きりでは済まず、以降、何回かこのヘンテコメニューに舌鼓を打ったのだった。

余談だが・・・

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ドロー(公開コメント版)

2014-12-31 12:43:36 | 特殊清掃 消臭消毒
「金は払わないからな!!」
電話の向こうの依頼者は、恫喝するかのように大きな声をあげた。
「フッ・・・」
返事をするのもバカバカしくなった私は、失笑して黙り込んだ。

ことの経緯はこう・・・
相手はアパートの大家。
所有するアパートの一室で住人が孤独死。
生活保護を受けていた故人は社会との関わりが少なく、遺体はかなりの腐乱状態で発見。
賃貸借契約には連帯保証人も立てておらず、結果として、部屋の復旧は大家が負うしかなかった。
しかし、大家はそれが承服できず。
「この部屋だけが廃墟になるのさえ諦めれば問題ない」
と、アパート住人からの苦情を無視。
異臭が出ようが、虫が出ようが、
「ニオイなんてそのうち消えるし、虫もそのうちいなくなる」
と、何日も放置。
しかし、それで問題が片付くわけはなく、事は深刻化するばかり。
いくら言っても腰を上げない大家に堪忍袋の尾を切らした住人達は、
「出て行く!」「引越費用を払え!」
と、大家に詰め寄った。
大家としては、住人に出て行かれては困る。
引越費用の負担なんて論外。
それで、結局、うちに電話を入れてきたのだった。

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自悶自闘(公開コメント版)

2014-11-01 15:04:19 | 特殊清掃 消臭消毒
今年の夏も暑かった!過酷だった!すごく疲れた!
好きじゃない栄養ドリンクを飲んで踏ん張ったり、嫌いなコーヒーを飲んで眠気をごまかしたりして、何とかしのいだ。
しかし、もう11月。
気がつけば秋涼の風に、ジャンパーを羽織る季節になっている。

季節が変わっても、私は、相変わらず。
変わりばえのない毎日を過ごしている。
良いことと言えば、臭休肝二日が途切れることなく堅持できていること。
月単位で平均すると、週休肝三日くらいにはなっている。
一度に飲む量が減らせていないのが難点だが、我ながら上出来だと思っている。
悪いことと言えば、体重が重いこと。
ここ何年も体重は気にしていなかったのだが、9月のとある現場で荷物を抱えて階段を何度も昇降する作業に従事したときバテてしまったことがあった。
作業終盤になると、やたらと身体が重く感じ、かなりしんどい思いをしたのだ。
家に帰ってから量ってみると、体重は、身長に対する標準体重より5kg余オーバー。
もともと痩型だとは思っていなかったけど、5kg余も超過していたとは・・・さすがに無視できなくなった。
結果、ひと月くらい前から、食事量に気をつけるようにしている。
「ダイエット」というほどではないけど、これまで当り前のようにしてきた大盛・ドカ喰いはできるだけしないように心がけている。
週休肝二日と同じように、何とか“大盛・ドガ喰い禁止”も習慣化したいものである。

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察心(公開コメント版)

2014-03-27 12:11:58 | 特殊清掃 消臭消毒
仕方がないことと諦めつつも、なかなか割り切れないことがある。
それは、うちのチビ犬のこと。
正確な年齢はわからないものの、身体の具合からみて、もう結構な高齢であることは間違いない。
ここのところ、加齢が原因と思われる身体機能の衰えが顕著に現れてきているのだ。

足腰はだいぶ弱り、飛び跳ねることはもちろん、もう走ることさえしない。
更に、今では、あまり長い距離は歩かなくなっている。
つい、一年くらい前までは、散歩にも喜んで出掛けていたのに・・・
少し前のことなのに、一緒に歩いたあたたかい日々が懐かしく思える。

両眼球は白く濁り、片目は完全に失明。
もう片方の目も、あまりよく見えていないよう。
歩いていて、壁や物にぶつかることも珍しくない。
それが不安なのか、夜もあまり安眠できていないよう。
たまにだけど、夜中や早朝に鳴く(泣く?)こともある。

食欲はあるけど、以前に比べて明らかに食べる量は少なくなった。
だから、体を触ると、皮膚の下にすぐ骨を感じるくらいに痩せてしまっている。
出会った頃は、メタボ気味だったのに・・・
この頃は、少しでも体重が増えるように、できるだけ好きなものを与えるようにしている。

トイレの失敗もよくするようになってきた。
以前は、回数も少なかったし、躾のつもりで、いちいち叱っていた(かなり甘い叱り方だけど)。
しかし、今は、もう許している。叱ったりしない(たった一犬の糞尿掃除なんて、特掃隊長にとっては朝飯前だし)。
当人(当犬)だって、わかっていると思うから。
思うようにできないことで、悲しい思いをしているかもしれないから。

とにもかくにも、その様はちょっとツラい。
余計に手がかかることが負担になってきたのではない。
世話をしてやることが重荷になってきたのではない。
とにかく不憫、可哀想に思えて仕方がないのだ。

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脱出(公開コメント版)

2014-02-19 09:03:01 | 特殊清掃 消臭消毒
14日、関東に再び大雪が降った。
まさか、一週間のうち二度も大雪に見舞われるなんて・・・
翌15日も予定が入っていたのだが、それも延期。
駐車場から車を出せなくなったら困るので、前回の雪かきの筋肉痛も癒えぬまま、再び、雪かきに汗を流したのだった。

そんな冬季、朝の起床はかなりツラい。
一日のうち、憂鬱のピークは朝。
気温が低いせいもあるけど、気持ちの温度が低いせいもある。
「このまま夜が明けなければいいのに・・・」
布団を頭からスッポリかぶり、毎朝のようにそう思う。

それでも、起き上がらなければならない。
精神的なことを理由に仕事を休むようになったら、私は終わり。
そのぬるま湯から脱け出せなくなり、坂道を転げ落ちていくのみ。
だから、どんなに憂鬱でも倦怠感に襲われても、布団から這い出る。
そして、決められた労働環境に身を投じる。

私は、引きこもりの経験を持つ。
もう20年以上も前の話だが、この仕事に就く前の数ヶ月間、実家の一室に引きこもったことがある。
それは、労働なき生活。ある意味で堕落した生活。
身体は楽をしているのに、精神は極度の欝状態。
罪悪感・劣等感・虚無感・失望感・倦怠感・疲労感・恐怖感・・・
そういったものにヒドく苛まれていた。
そして、
「誰か俺を殺してくれないかな・・・」

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雪どけ(公開コメント版)

2014-02-12 13:29:20 | 特殊清掃 消臭消毒
今月の8日、大雪が降った。
何日か前から、天気予報では、大雪が降る可能性が大きいことを伝え、注意を呼びかけていた。
だから、ある程度の覚悟はできていた。
しかし、実際は、その覚悟を超えた量が降るものだから、大雪を喜ぶ子供心と仕事を心配する大人心が交錯して、私のテンションは妙に上がった。

当日の8日、私は、外での作業予定をもっていた。
休むことはもちろん、遅刻することも許されない状況にあった。
そこで、私は、大雪で出社が阻まれる可能性があることを考え、会社に泊まることに。
一度、帰宅し、夜になって再出社。
その日は、事務所で眠れない夜を過ごした。

予報の通り、8日の大雪。
早朝(夜中?)から降り始めた雪は、ひたすら降り続いた。
それでも、湿気の多い雪は、降る量に比して積もらず。
「何とか行けるか?」という期待感をもたせた。
しかし、時間が経つごとに雪は降るペースを上げ、周囲はみるみるうちに真っ白に。
とても外で作業できるような状況ではなくなり、会社に前泊した努力もむなしく、結局、予定していた作業は中止(延期)となった。

雪は、その日の夜まで降り続いた。
積雪量は、私の中で伝説になっていた昨年1月の大雪のときをはるかに超え、私の記憶の中では最大。
私は、甦った童心に動かされて、用もないのに外にでた。
そして、普段は気にも留めない当り前の景色を白い雪が覆う様をしみじみと眺め、季節の機微と夢幻を味わった。

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探しもの(公開コメント版)

2014-01-31 09:19:54 | 特殊清掃 消臭消毒
一月も今日で終わりか・・・
私にとって、この一月はえらく長く感じるものだった。
正月を祝ったのはたった一月前のことなのに、だいぶ前のことのよう・・・
精神状態がよろしくないせいで、一日一日を噛みしめながら・味わいながら過ごしたものだから、長く感じたのだろうと思う。
ま、一日一日をそうして過ごすのは、悪いことではない。
むしろ、いいことだと思う。
心地いいのか悪いのかわからない疲労感をともなうけど、時間の有限性を意識しながら過ごすのは、なかなか乙なものである。

悪いことといえば、気持ちに余裕がないこと。
そのせいかどうか定かではないけど、日常の生活で、探しているモノが目の前にあるのに視界に入らないことがたまにある。
例えば、カバンの中のボールペンとか、冷蔵庫の中の調味料とか、下駄箱の上の鍵とか。
完全に視界の中にあるのに、自分ではそれに気づかない。
冷静に探せばすぐに見つかるはずなのに、目がそれに気づかないのである。

それでも、
「ここにあったはずなのに・・・」
「おかしいなぁ・・・」
と怪訝に思いながら探し続ける。
そうすると、大方のものは見つかる。
しかも、自分の視界の中から。
そうすると、視界の中にあったのにそれが完全に見えてなかったことに気づく。
そして、「俺、どうかしてるな・・・」と、何かのトリックにひっかかったような、キツネにつままれたような奇妙な気分になるのである。


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