葉がないから確定はできないが昨年夏にみた記憶ではこれはイヌコリヤナギだった。冬芽は対生かやや対生し、長卵形で先端はややとがり1枚の芽鱗に包まれる。帽子のような芽鱗が脱げ落ちて絹毛におおわれた花序が現れる。
根元から叢生している。
ここは縄文貝塚の跡なのでいたるところ白い貝殻が落ちている。海からは遠く離れた内陸だからここまでは縄文人が船で運んで来たにちがいない。イヌコリヤナギの根元近くには貝がらと一緒に縄文の入った素焼きのかけらが散らばっていた。縄文土器の一部だろうか?よく見ると似たような縄文の入ったかけらは辺りにたくさん散らばっている。
数千年も前にこの場所に生活していた縄文人は、同じ場所で彼らが捨てた貝殻と彼らが作った土器を未来の人間が拾い上げて観察するだろうとは夢にも思わなかったはずだ。遺物がなければただの野原であるのに、動かぬ過去の証拠があることで現在と当時がつながり、数千年に及ぶ数えきれない人間の歴史がここにあったと気付かされる。無限の時間と空間に閉じ込められた多くの人々の魂がここに眠っている。